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12月07日-一般質問-04号

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  1. 新潟県議会 2021-12-07
    12月07日-一般質問-04号


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    最終取得日: 2023-06-14
    令和 3年 12月定例会 本会議令和3年12月7日(火曜日)  議事日程 第4号    午前10時 開議第1 第138号議案第2 第168号議案第3 請願第5号から第7号まで第4 陳情第20号から第24号まで第5 県政に対する一般質問本日の会議に付した案件日程第1第138号議案 決算の認定について(令和2年度新潟県一般会計・特別会計)日程第2第168号議案 令和3年度新潟県一般会計補正予算日程第3第5号 子どもたちにゆきとどいた教育を!30人以下学級の実現、教職員定数の増加及び教育予算の増額を求めることに関する請願第6号 すべての子どもたちに、ゆきとどいた教育をすすめることを求める意見書提出等に関する請願第7号 学費と教育条件の公私間格差の是正へ私学助成の増額を求めることに関する請願日程第4第20号 新型コロナウィルス感染症の広報に関する陳情第21号 「テクノロジー犯罪」へのご理解と法整備・被害者救済を求めることに関する陳情第22号 「嫌がらせ犯罪」へのご理解と法整備・被害者救済を求めることに関する陳情第23号 新潟市秋葉区矢代田地区の、(一社)新潟県猟友会のライフル射撃場建設の中止を求めることに関する陳情第24号 秋葉区矢代田地内に建設計画中のライフル射撃場の建設を断念して他の候補地に変更することを求めることに関する陳情日程第5 県政に対する一般質問(桜庭節子君、与口善之君、保坂裕一君、高見美加君、市村浩二君、佐藤久雄君)   ――――――――☆――――――――出席議員(51名)          河原井 拓 也 君  小 山 大 志 君  中 川 隆 一 君  高 見 美 加 君          保 坂 裕 一 君  与 口 善 之 君  桜 庭 節 子 君  斎 京 四 郎 君          中 村 康 司 君  松 原 良 道 君  笠 原 義 宗 君  高 橋 直 揮 君          宮 崎 悦 男 君  青 柳 正 司 君  横 尾 幸 秀 君  小 林 一 大 君          冨 樫 一 成 君  楡 井 辰 雄 君  小 島   隆 君  佐 藤   純 君          桜 井 甚 一 君  岩 村 良 一 君  沢 野   修 君  尾 身 孝 昭 君          柄 沢 正 三 君  小 野 峯 生 君  帆 苅 謙 治 君  渡 辺 惇 夫 君          石 井   修 君  星 野 伊佐夫 君  樋 口 秀 敏 君  小 島   晋 君          池 田 千賀子 君  上 杉 知 之 君  大 渕   健 君  長 部   登 君          小 山 芳 元 君  小 泉   勝 君  杉 井   旬 君  重 川 隆 広 君          秋 山 三枝子 君  片 野   猛 君  市 村 浩 二 君  安 沢 峰 子 君          遠 藤 玲 子 君  青 木 太一郎 君  佐 藤 浩 雄 君  小 島 義 徳 君          佐 藤 久 雄 君  渡 辺 和 光 君  飯 野   晋 君議員以外の出席者  知事           花角 英世 君  副知事          佐久間 豊 君  副知事          橋本憲次郎 君  知事政策局長       小岩 徹郎 君  総務管理部長       森永 正幸 君  県民生活・環境部長    村山 雅彦 君  防災局長         熊倉  健 君  福祉保健部長       松本 晴樹 君  産業労働部長       佐野 哲郎 君  観光局長         妹尾 浩志 君  農林水産部長       小幡 浩之 君  農地部長         登り 俊也 君  土木部長         金子 法泰 君  交通政策局長       佐瀬 浩市 君  会計管理者兼出納局長   綱島 知子 君  病院局長         藤山 育郎 君  企業局長         桑原 勝史 君  教育長          稲荷 善之 君  人事委員会事務局長    川上 克也 君  警察本部長        村田 達哉 君  労働委員会事務局長    須貝 幸子 君  監査委員事務局長     山田富美子 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(佐藤純君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 第138号議案 ○議長(佐藤純君) 日程第1、第138号議案を議題といたします。 普通会計決算審査特別委員長の報告を求めます。中村康司君。   〔中村康司君登壇〕 ◆中村康司君 普通会計決算審査特別委員会に付託されました第138号議案、令和2年度決算の認定について、本委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案につきましては、去る9月定例会において、継続審査となり、閉会中審査を重ねてまいりましたが、12月6日にその審査を終了したものであります。 以下、審査の過程で述べられた主な意見について申し上げます。 まず、教育委員会関係として 教職員の働き方改革に当たっては、長時間勤務の割合が減少傾向にあるものの持ち帰り残業が懸念されるので、勤務実態の正確な把握はもとより県立学校における教員の勤務時間の上限に関する方針に基づく効果的な取組をさらに進めるべきとの意見。 次に、産業労働部関係として IT企業の誘致に当たっては、コロナ禍において活発化している地方分散の動きを取り込めるよう、企業が本県へ進出した要因を分析の上、さらなる戦略的な施策を検討すべきとの意見。 次に、土木部関係として 本県の建設業については、災害や除雪対応の担い手として重要な役割を果たしているので、コロナ禍にあっても経営が続けられるよう県内調達の促進や地域保全型工事の安定的な発注による受注機会の確保など一層の支援に努めるべきとの意見。 以上が、審査の過程で述べられた主な意見の概要であります。 次に、議案採決に先立ち、各党の党議結果並びに無所属委員の検討結果の報告を求めたところ、第138号議案については、各党・無所属委員とも原案賛成というものであります。 次いで採決を行い、原案のとおり認定すべきものと決した次第であります。 以上をもって、報告といたします。 ○議長(佐藤純君) 第138号議案に対して討論の通告がありますので、これを許します。 遠藤玲子君の発言を許します。遠藤玲子君。   〔遠藤玲子君登壇〕 ◆遠藤玲子君 日本共産党の遠藤玲子です。ただいま議題となっております第138号議案、すなわち令和2年度新潟県一般会計決算並びに令和2年度新潟県国民健康保険事業特別会計決算について、反対、不認定の立場から討論を行います。 反対理由の第1は、まず何よりも令和2年度、2020年度が新潟県行財政改革行動計画の全面実施に踏み切った年だという点です。 我が党は、本県の財政悪化の根源的な要因として、長年続いてきた自由民主党県政により、県財政が公共事業・投資的経費に偏重し、過大な借金が積み重ねられてきたこと、その上に、国の地方交付税の大幅削減といった地方財政切捨て攻撃や、非正規雇用を拡大させたあしき雇用政策、消費税増税と農産物の輸入自由化、平成の大合併などの悪政が重なって、今日の事態を招いていることなどを指摘してまいりました。 しかし、こうした問題にはメスを入れることなく、真摯な反省もないまま、県立病院附属看護学校授業料や職業訓練校の受講料、車庫証明手数料などの数々の使用料・手数料を値上げし、県職員の給与はこの年から50億円、4年間も連続して削減するというツケ回しを行ってきたのであります。 反対理由のもう一つは、財政危機の要因の一つに県立病院財政がやり玉に上げられ、政府、厚生労働省の医療削減政策の下、地域医療構想の名による大規模な病床削減計画と県立病院の再編・統廃合計画が実践に移されたからです。 折しも昨年は、年度当初から新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、公立・公的病院の役割の重要性が根本から見直された年でもありました。 にもかかわらず、全国と比較して医療資源の最も少ない新潟県であることを振り返ることもせず、県立病院の再編を含めた医療削減計画を淡々と、むしろ全国に先駆けて積極的に推進し始めたのは、看過するわけにはいかないものであります。 国民健康保険事業特別会計決算について一言触れれば、平成30年1月に策定され、令和3年1月に改定された新潟県国民健康保険運営方針では、市町村が高過ぎる国保料を引き下げるために努力してきた歴史的経過も無視して、法定外一般会計繰入れを一律に削減・解消すべき赤字額と規定し、今後は事務の効率化・標準化を推進するとして、将来的には全県一律の制度にしようとしていることを認めるわけにはまいりません。 以上の立場から、令和2年度決算2件について、不認定とすることを表明して、討論といたします。 ○議長(佐藤純君) これにて討論は終局いたしました。 これより、第138号議案を採決いたします。 議案のうち、まず、令和2年度新潟県一般会計歳入歳出決算及び令和2年度新潟県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算を一括して採決いたします。 これら2件に対する委員長の報告はいずれも認定であります。2件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕 ○議長(佐藤純君) 起立多数。よって、2件は委員長報告のとおり認定いたしました。 次に、同じく第138号議案のうち、残りの令和2年度新潟県県債管理特別会計ほか11特別会計の歳入歳出決算を一括して採決いたします。 これら12件に対する委員長の報告はいずれも認定であります。12件を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(佐藤純君) 御異議なしと認めます。よって、12件は委員長報告のとおり認定いたしました。   ――――――――☆―――――――― △日程第2 第168号議案 ○議長(佐藤純君) 日程第2、第168号議案を議題といたします。 提出者の説明を求めます。花角知事。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) ただいま上程されました議案について、御説明申し上げます。 第168号議案は、令和3年度一般会計補正予算案でありまして、総額51億4,907万円の増額補正についてお諮りいたしました。 このたびの補正予算は、国の新たな経済対策を踏まえて実施する新型コロナウイルス感染症に係るワクチン・検査パッケージ等に必要な無料検査体制の整備や、生活困窮世帯への灯油購入費助成といった、緊急に必要な経費について計上するものであります。 この結果、補正後の予算規模は、1兆4,638億9,983万3,000円となります。 何とぞ慎重に御審議の上、御賛同賜りますよう、お願い申し上げます。 ○議長(佐藤純君) お諮りいたします。 第168号議案は、審査のため、諸君のお手元に配付の議案付託表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(佐藤純君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔議案付託表は付録に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第3 請願第5号から第7号まで △日程第4 陳情第20号から第24号まで ○議長(佐藤純君) 日程第3、請願第5号から第7号まで及び日程第4、陳情第20号から第24号までを一括して議題といたします。 お諮りいたします。 請願第5号から第7号まで及び陳情第20号から第24号までは、審査のため、諸君のお手元に配付の請願・陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(佐藤純君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔請願・陳情文書表は付録に掲載〕   ――――――――☆――――――――
    △日程第5 県政に対する一般質問 ○議長(佐藤純君) 日程第5、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、桜庭節子君の発言を許します。桜庭節子君。   〔桜庭節子君登壇〕(拍手) ◆桜庭節子君 おはようございます。自由民主党の桜庭節子でございます。早速ですが、通告に従って一般質問を始めます。 第1項目めは、教育の課題について伺いたいと思います。 先日私は、今話題となっている教師のバトンの書き込みをのぞいてみたのですが、そこには大量の校務分掌、過労による心理的・肉体的疲弊、相談体制の事実上の欠如、長時間労働に見合う手当の欠如など、挙げれば切りのない学校現場での教師の悩みが列挙されていて、少なからず動揺を覚えた次第でございます。 また、昨日の小島晋議員の一般質問にもありましたが、今年の10月には、さいたま地裁で教員の時間外労働の労働基準法違反を問う裁判の第一審判決が出されました。 訴えを起こした小学校教師は、同僚の女性教師が、こんなに忙しくては教員を続けながら子供を産み育てることもできないと嘆いたことを契機に、若い教師のために、また教師を目指す学生たちのために提訴することを決意したのだそうです。 昨年の6月定例会でも取り上げましたが、こうした課題を一日も早く解決しないと日本の教育が崩壊してしまうと感じ、以下の提言を行います。 まず、教師の多忙化解消について伺います。 新しい学習指導要領の実施に伴い、英語教育、プログラミング教育、あるいはICT教育の導入などが続き、教育現場への負担が大きくなっています。また、依然として減少することのないいじめの問題への対応やPTA、学校運営協議会制度への対応など、全方向に向けて教師の責任が増していると言えます。 普通の企業であれば、新しい事業や新しい部門を増やそうとすれば、それに見合った人材を増やすか、もしくは採算を出していない部門を縮小するというように調整するはずです。しかし、日本の学校というこの組織では、ひたすら仕事が増え続け、もはや限界に達していると言ってよいのではないかと思われます。 こうした現場の多忙化は、現職教師への負担になるだけではありません。学校がブラック企業ともやゆされる現状にあって、志を持って教師の仕事を目指す若者にも悪影響を与えております。教員採用試験の倍率はピーク時には13倍であったものが年々低下する一方で、昨年の公立小学校では2.6倍となり、もはや教師の成り手不足は警報レベルだとも言われ、教員の質の低下をももたらすことが危惧されています。 また、学校の働き方改革で超過勤務が問題となっていますが、たとえ勤務時間を管理するとしても、やるべき仕事が増加する一方では、どう管理できるのでしょうか。現場の職員の意欲低下はもちろん、実態を反映しない報告や申告が多くなり、改善にはつながらないのではないかと思われます。 アメリカなどでは、カウンセリングや専門的な教科には専門性の高い人材を導入することは当たり前であります。また、そうした人材を雇用することは、地方において不足していると言われる専門職の就業機会を増やすことにもつながるはずです。 様々な学校課題の解決のために、また現場の職員の負担軽減を図るためにも、外部人材を積極的に登用し、現場の負担を減らすような取組を今こそ強力に推し進めるべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 次に、少子化、過疎化における新しい学校モデルの在り方について提案いたします。 少子化、過疎化の影響で私の住む上越市牧区では現在、小学校、中学校が1校ずつ残っております。在校生徒数は小学校が47人、中学校が29人であります。たった1つ残ったこの小中学校も、吸収合併、再編の危機にさらされております。 一方で、個別最適化学習の推進、ICT教育の導入などで、少人数の学級あるいは学校ほど、そうした環境を生かすことで充実した教育環境を整備できるのではないかという意見もあり、例えば、昨年一般質問しましたが、軽井沢風越学園のような異学年集団による教育効果の検証が一部で始まっております。 また、かつて日本では寺子屋という学習環境があり、貧しい地域であっても子供に先輩たちが教えることで教育の機会が与えられたとも言われています。少人数であっても異学年集団の形成がかえって子供の学習や社会性の向上に役立つ面も否定できないのではないでしょうか。 こうした古くて新しいトレンドを検証するためにも、多くの過疎地や中山間地域の小規模校を抱える本県が、例えばモデル地区を設定して、小中一貫の異年齢集団による学習環境を整えた実験校を設置することは意義のあることではないでしょうか。 上越市牧区においては既に小中一貫教育への取組が長年にわたり蓄積されておりますので、そうしたモデル地区に移行する可能性を既に有していると言えます。 また、異年齢集団による小中一貫校教育の取組を学術的にも研究・検証するためには、専門の機関が必要でありますが、市町村合併により多くの中山間地を抱える一方で、上越教育大学という研究機関を有する上越市は、まさにその地にふさわしいと考えます。 そこで、そうしたモデル地区設置に向けて、県教育委員会としても市町村教育委員会と連携して検討してはどうかと考えますが、県の所見を伺います。 次に、今後の日本の教育に関して質問いたします。 近年では、学術的に十分な検証がなされないまま一つの考えが拡散されて、国際社会全体がその影響を受けて動いていくということも多いように感じられます。日本では何でも、欧米が言っているからといって合わせる傾向があるように思いますが、そのような安易な傾向に危険性はないのでしょうか。 私がニューヨークで最初に友達になったタクシーの運転手がおりました。彼は、ある日、自分の非番だからと言って、これからあなたをニューヨークで一番よこしまな連中が集まっている場所に連れていってあげるよと言われ、車で行ったところがイースト1番街42丁目、国際連合本部の前でありました。そこで車を止めてしばらく見ていると、夜のとばりが下りてきて、気がついたら足の長い美しい女性がその角に1人立っておりました。見る見るうちにそのような女性がたくさん現れて、四つ角が覆われ、黒い車がすうっと近づくと、話しかけて、一人一人がその車に乗って去っていきました。彼は私に言いました。ここにはね、世界中から物すごいお金が集まってくるんだよ。汚いお金もきれいなお金も集まるんだよ。さっきの連中は、外交官についてきた下っ端の役人のお相手で、外交官のお相手はあのペントハウスで今待っているんだよと教えてくれました。 大変赤裸々な話でありますが、そのかいわいにいたのは街娼だけではありません。靴磨きをしているそのおじさんたちのテーブルの下には黒いかばんが置いてありましたが、その中には白い粉がいっぱい入っているんだよと教えてくれました。真っ白い粉の中身が小麦粉でないことは、皆さんは御存じであると思います。 当時の私にとって、その国連という組織は格調が高くて、世界中から本当にすばらしい、能力の高い人たちが集まって、この世界のこと、これからの未来のことを話し合う場所だという思いがございましたので、この経験は私にとって驚きと同時に、アメリカの現実を見たといいますか、アメリカ主導の民主主義の幻想が木っ端みじんに吹っ飛んだ体験でございました。 圧倒的な数の世界中から集まったロビイストたちが国連本部の廊下で外交官たちと人脈をつくり、商談をまとめていると言われています。最近では、WHO代表のテドロス氏が中国寄りの発言をしたということで批判を受けておりました。 また、国連の人権委員会では毎年決議や勧告が出されておりますが、判断を下すための独自のチェック機能を十分持ち合わせていないと批判されています。残念ながら、大金を使う者や声の大きい者の主張がまかり通るという現状があり、それに付け込んで世界を動かそうとしているよこしまな人々もいるということを、真面目な日本人はぜひ理解しなくてはならないと思っております。 さて、こうした残念な現実世界の中で、これからも日本という国が生き延びていくためには、日本人が自分の目できちんと調べて判断し、その判断を世界に向けて主張していく能力を持たなくてはならないと感じております。 そのためには、判断の基準となる規範や精神文化を持つこと、広範囲な情報の中から正しい情報を抽出する能力、そして自らの考えを主張する能力が要求されてくると思います。 先ほど教育現場の負担を減らせと言ったばかりですので、これから申し上げることを今すぐ学校で行ってほしいということではありません。ただ、日本の教育のあるべき姿を議論したいと思い、その観点から質問いたします。 第1に、生きるためには経済的な基盤が大切であります。ヨーロッパでは子供でも買物をするときは地域の商店を選ぶという話をよく聞きます。グローバル化の中で、我が国においても地域の経済の成り立ちや地産地消に関して学ぶことが重要であると考えます。 自分の住む地域の産業の在り方、地域経済、そこに自分がどう関わるかなどの実体験を交えた教育が義務教育段階で必要だと思われますが、教育長の所見を伺います。 人が生きていく上での様々な現実問題を解決するために政治があるにもかかわらず、日本では若者の政治への関心が低いとされ、理由としては政治で何かを変えられるという期待感が少ないと挙げられています。 日本では民主主義を血と汗で勝ち取ったというよりは、歴史的に外国から先進的な制度を取り入れたものが土台となってつくられてきたためでしょうか、政治は誰か立派な人がやってくれるのだろうという他人任せな風潮が今も残っておるような気がいたします。 しかし、時代は他人任せを許さず、日本人も18歳から主権者としての権利と義務を負うことが求められていますので、主権者教育が必要であります。 地域課題や政治に関する実地の教育、例えば生徒自身の問題意識に沿った地域課題研究を大人と一緒に行ったり、解決に向けた手段を講じるための予算の仕組みなどを行政から出向いて説明してもらうなど、身近な現実に沿った政治教育が重要と考えます。 本県でそのような取組ができないのか、教育長の所見を伺います。 自国の歴史や文化伝統を理解することで自分自身のアイデンティティーを見つけることができると言われています。また、アイデンティティーを確立していなければ、国際社会の中で何かを主張することは困難だと感じます。 外国生活を体験した多くの日本人が日本の教育に欠けているものの一つに挙げるのが、愛国教育です。愛国という言葉だけで軍国主義と結びつけて拒否反応を示す方もまだ多くいらっしゃるのが残念でありますが、一般的な愛国教育は諸外国でも頻繁に行われています。 我が国では子供たちの自国を誇り、愛する精神をどのようにして育むことができると考えるのか、教育長の所見を伺います。 情報化社会の進展に伴い、情報リテラシーの重要性はますます高まっています。SNSの投稿に気をつけろということはもとより、公的な言論機関である新聞やその他のメディアの主張にも、発信する側の人間の考えが加わっているわけですので、少なからずバイアスがかかっている場合があります。私たちは、そこにある主張の全てをうのみにするのではなく、対極の主張も聞いた上で冷静に判断しなくてはなりません。 学校における情報リテラシー教育の現状について伺います。 最後に、日本人は自己主張をしない文化の中で育ってきたと言われております。その影響でしょうか、異なる意見を闘わせる、議論の習慣が定着していないように思います。 私が実家の町内会に出席したとき、町内会長が、それでは、皆さん、何か御意見ありませんかと聞かれるわけですが、あるとき手を挙げて、慣習で行われていた幾つかのこと、今後も続けるべきでしょうか、議論したいのですがと申し上げました。それに対するお答えは、俺の目の黒いうちにはそんなことはできませんというものでございました。何でそうなるのと私は思ったわけですが、日本では異なる意見を客観的に受け止め、議論する教育がなされてこなかったのだと思います。 今は民間でも様々な対話教育がなされています。学校教育の中でも議論することを積極的に取り入れて、議論の手法も含めて指導していく必要があると考えますが、所見を伺います。 次に、カーボンニュートラルの実現に向けた取組について伺います。 1992年に国連気候変動枠組条約が採択され、世界120か国以上が地球温暖化対策に全世界で取り組んでいくことに合意しました。 私も基本的には環境を美しく守る、この方向には何の異論もないわけですが、研究者たちの中には、気象変動の理由を温室効果ガスの影響とは考えない人も実はとてもたくさんいたにもかかわらず、今や世界中が脱炭素、SDGsの大合唱をしていることに私は少なからず抵抗があります。大企業や政府が差し出す資金が頼みの研究者たちが、その意向に従った方向でしか研究できないという現状は憂慮すべきことだと感じています。 私が少数派なのは承知ですが、あまりにも急速に全世界的に動いていくこのカーボンニュートラル大運動の背後で、環境ビジネスの巨大資本が動いていることを感じてしまい、それに踊らされて全ての産業が変革を強要されていくという現実に懸念を感じております。特に日本の基幹産業である自動車産業界などの将来を憂慮いたします。 卑近な例で申し訳ないのですが、上越市でも何代か前の市長が環境都市宣言というのを行い、生ごみを回収して肥料を生産するという取組が行われました。今でも続いているこの取組ですが、従業員が悪臭に耐えながら一生懸命作ったその肥料が思ったような値段では売れませんでした。結局、最終的には市が一般財源から毎年数千万円を投入することで運営を続けています。焼却炉で燃やしていれば全くコストはかからなかったものでございます。 この取組の悪影響は、これだけでは終わりませんでした。上越市の指定ごみ焼却炉では、それまで可燃ごみと一緒に生ごみを燃やしていたものですから、焼却炉の温度設定があるわけです。一遍に生ごみがそこから取り除かれてしまったため、その焼却炉の焼却時の温度が非常に上がってしまい、ひびが割れて、耐久年月よりも20年以上前に建て直しをせざるを得なくなったわけであります。100億円以上かけた新しい焼却炉が現在稼働中です。 市議会議員の1期生だった私は、よほど一般質問で突っ込んでみたかったのですが、当時の市長には責任がないことと、焼却炉の建て替えはもはや動かせない事実だったので、取り上げることはしませんでした。すみません、独白が長くなっておりますが。 なぜこんなことを言ったのかといいますと、実効性が確立されていないことへ投資するに当たっては、慎重な検討が必要だと思うからです。 さて、本題に戻ります。温室効果ガスが諸悪の根源であるかどうかは科学的には未確定でありますが、国として国連と同調して約束したからには削減を進めていかなくてはなりません。進めるならば無駄なく有効な事業にしていかなくてはなりませんので、質問いたします。 県は、新潟県カーボンニュートラル産業ビジョンを昨年度末に策定しました。ビジョンはかなり意欲的なものとなっておりますが、関連事業体との協力なくしては実現できないと思われます。県内の関連事業者の集積や優位性を伺います。 また、ビジョンのロードマップでは、次年度までの短期目標が主に実証や計画策定に充てられています。そうした事業所をしっかりと巻き込んで取組が進められているのか、現在の取組状況について伺います。 次に、県ではカーボンゼロ実現戦略プロジェクトチームを設置して、再エネ利用促進、脱炭素型企業・消費行動、運輸・吸収源対策について検討していますが、現在までの検討状況と、今後の取りまとめに向けた方向性を伺います。 また、これからエネルギーの地産地消を進めるためには、地域の小規模電力会社の立ち上げなどを支援する必要があると考えますが、県の対応を伺います。 次に、虐待など課題を持った親たちへの支援について伺います。 児童相談所における虐待対応では、まず子供の命の安全を守るということが優先されることは言うまでもありません。しかし、虐待を行う親も、自分の行いが虐待に当たると考えていないことも多いと言われます。 専門家の研究では、ごく普通の愛情を持った親でも経済的または様々な生活上の理由からストレスをためて孤独になり、それが体罰と結びついたときに深刻な虐待を起こすおそれがあると考えられています。 虐待に至る前にその兆候に気づいて対応していくというような親への支援がとても重要であり、行政や学校、関係団体など地域全体で子育てを行う親を支援していく体制整備が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 児童相談所としての親への対応は、子供の安全を守るという第一の視点から見れば、厳格なものであるべきと考えます。そうした視点を持つべき児童相談所が同時に親の問題解決に向けて親に寄り添い、継続的な支援を行うということは極めて難しいことだと感じています。家庭で子供を育てる場合でも叱る役目とかばう役目が分担できるほうが、子育てしやすいと言われています。 県は私の過去の質問で、初期調査を行う部門と継続的な支援を行う部門の機能分化を中央児童相談所において取り入れた一方で、児童相談所の家庭との関わりにおいて、同じ職員が継続して関わるほうが、保護者との信頼関係が構築しやすいなどとの意見から、どのような体制が望ましいか引き続き検討してまいりたいとお答えになりましたが、それ以後の検討状況をお尋ねいたします。 国が児童相談所に求める役割の中で、親への支援が最も難しい部分なのではないかと私は考えております。外部団体からの支援や、環境を変えた学びの機会の提供など、親の状況に応じたきめ細やかな支援が必要だと考えます。 MY TREE、SoS、CRCなど、虐待した親を支援する優れたノウハウを持つ民間組織は全国各地に点在しております。そうした団体の持つプログラムを本県でも取り入れて親への支援を拡充していくべきと考えますが、所見を伺います。 こうしたペアレント・トレーニングは現状では虐待などに至った親が受けていると思われますが、できることであれば、そこに至る前に受けてほしい虐待防止のプログラムであります。 今後、課題を持つ親はもとより、全ての親にプログラムを活用してもらえるよう、県としても取り組むべきと考えますが、所見を伺います。 最後の項目は、県政の諸課題に関して伺います。 まず、知事は去る11月12日、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算確保等に向けて、令和4年度当初予算等に対する新潟県の特別要望を自由民主党本部と関係省庁へ要望されました。 豪雨や豪雪などの自然災害が激甚化・頻発化する中、たとえ財政再建途上にあったとしても、住んでよし、訪れてよしの新潟県の実現に向け、防災・減災のための整備は着実に進めるとの知事の強い意志の表れだと捉え、私も県民として頼もしく思っております。 改めて、防災・減災にかける知事の思いを伺います。 次に、不妊治療の現場では女性の卵巣中の卵の数を調べるためにAMH検査というものを行うと聞きました。女性は生まれる前、胎児のときに既に持っている卵子の数が決まっているのだそうですが、その数は生まれた直後から減り続けているのだそうです。 ライフプランを立てたり、妊活する際には、こうしたことや、加齢とともに妊娠率が低下していくといった医学的知識やその普及啓発が重要と考えますが、県の所見を伺います。 平成29年から介護予防・日常生活支援総合事業がスタートし、通所型サービスAというサービスが設けられました。これは主に高齢者の身体機能を維持するためのプログラムですが、要支援1・2の方や基本チェックリストに該当する方であれば介護保険内の料金で利用することができる画期的な仕組みだと思います。県内のこのサービスの提供状況を伺います。 次に、この通所型サービスAという事業は軽度の方を対象とするので、単価が低く、取組事業所が少ないとされますが、予防という観点では、この時点でこそしっかり指導するのが重要だと考えます。このサービスの普及に向けた県の対応を伺います。 次に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う雇用の悪化などにより、本県でも生活困窮者が増加していると思われます。生活保護世帯数や相談窓口での対応数など、現状を伺います。 また、本日の追加議案でも出されたように、生活困窮者の置かれている現状は様々でありますが、孤立しがちな困窮者を早期に支援につなぐためには、行政だけではなく地域の人々にとって身近な民間の組織・団体と連携するなど、きめ細やかな支援の体制を構築することが必要だと思いますが、知事の所見を伺います。 県は新潟県ひとり親家庭等支援計画を策定し、独り親家庭の雇用を充実させるための施策、それらの施策の周知徹底や相談機能の強化などを図っていますが、コロナ下で計画はどの程度実行できているのかを伺います。 また、独り親家庭への支援策について、新潟県フードバンク連絡協議会等の活動と連携して周知し、行政サービスとつなげようとしていますが、実施状況を伺います。 雇用調整助成金の新潟県における支給実績を伺うとともに、新型コロナウイルス感染症の流行が収まりつつある中、休業や雇い止めなども減少しているものと考えますが、現在の雇用の状況について県はどのように認識しているのかを伺います。 以上4項目について、よろしく御回答お願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 桜庭議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、新潟県カーボンニュートラル産業ビジョンについてでありますが、本県には、エネルギー産業や化学産業などが集積しており、その技術やインフラの活用により、カーボンニュートラルな燃料・素材の製造やガスパイプライン等を通じた県内外への供給などの面で潜在的可能性があるものと認識しています。 本年1月に設立しました協議会には、こうした事業者も参画しており、引き続き、企業間連携を促進するとともに、カーボンニュートラルにつながるサプライチェーンの構築など、具体的な実証事業の実現に向けた支援を行ってまいります。 次に、カーボンゼロ実現戦略プロジェクトチームにおける検討状況と今後の取りまとめについてでありますが、このプロジェクトチームでは、本県の特性や課題、また新たな国の2030年度における削減目標等を踏まえまして、産業や家庭などの部門ごとに、再生可能エネルギーの利活用や住宅のゼロエネルギー化など、具体的にどのような対策を行う必要があるか検討を行っています。2030年度の新たな県の削減目標や、これを実現するための部門ごとの施策について、国・民間の取組も踏まえた上で、市町村や事業者の皆様の御意見も伺いながら、年内を目途に中間の取りまとめを行うこととしております。 さらに、水素の利活用など中長期的な技術開発等も考慮し、年度内に2050年までの戦略として策定したいと考えております。 次に、小規模電力会社の立ち上げ支援についてでありますが、多様な地域資源を活用した再生可能エネルギーの地産地消を推進することは、脱炭素社会実現に向けて重要と考えています。 議員御指摘の地域電力会社の設立は、地域への利益還元が期待できることから、県内各地で設立や検討が進んでいると聞いております。 県といたしましては、地域や企業が事業採算性を確保し、再生可能エネルギーの着実な導入を進められるよう、引き続き、事業計画策定や事業可能性の調査などの取組に対する支援や、創業時の資金支援などを行ってまいります。 次に、虐待など課題を持った親たちへの支援についてお答えします。 児童虐待防止のための地域と一体となった保護者への支援体制についてでありますが、児童虐待は、少子化・核家族化からくる保護者の育児知識や技術の不足、さらには夫婦間のDVなど、様々な要因が絡み合って起こるものと言われており、地域での子育て環境の充実や、行政や学校、関係団体などが連携し、早期発見・支援につなげていくための体制づくりが重要であると認識しています。 そのため、本県においては全ての市町村において、保育所や学校、児童相談所等で構成されます要保護児童対策地域協議会を設置し、支援が必要な子供や家庭を早期に発見し、関係機関が情報共有を行った上で、必要な支援につなげるための体制が構築されています。 県といたしましては、より効果的な支援がなされるよう研修などの資質向上に取り組み、さらなる体制強化を図ってまいりたいと思います。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、防災・減災に対する認識についてでありますが、本県は、広い県土と長大な河川等を有し、脆弱な地質から自然災害リスクが高いことに加え、インフラ施設の老朽化が喫緊の課題となっています。 また、昨冬の大雪では、県内各地で交通障害が発生するなど、県民生活や社会経済活動に大きな影響を与えたところです。 県といたしましては、激甚化・頻発化する自然災害から県民の命と暮らしを守るため、公債費負担適正化計画の下、5か年加速化対策等の有利な財源を最大限活用して、防災・減災対策などを着実に推進することが重要と考えており、改めて、先月、国等に必要な予算確保などを要望したところです。 引き続き、住んでよし、訪れてよしの新潟県の実現に向けて、防災・減災、国土強靱化対策に取り組んでまいりたいと思います。 次に、生活困窮者支援のための民間団体等との連携についてでありますが、議員御指摘のとおり、様々な事情を抱える生活困窮者を支援していくためには、行政だけではなく、福祉団体、NPO法人、住民を主体とする活動団体などが、相互に連携しながら支援につなげていくことが重要と考えています。 そうした中、地域共生社会の実現を目指し、本年4月に改正社会福祉法が施行され、市町村において様々な取組が進められております。 県内市町村においては、行政機関や民間団体等が分野を超えた顔の見える連携・ネットワーク構築を行っている先行事例もあり、このような事例を県から情報提供することによって、市町村がきめ細やかな取組を行えるよう支援してまいります。 なお、生活保護世帯数等の現状につきましては、福祉保健部長からお答えをいたします。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 8点お答え申し上げます。 まず、児童相談所の相談対応における機能分化の検討状況についてでありますが、令和元年度に本県の児童相談所と所管課で検討を行い、保護者との対立関係の長期化の回避や担当職員の負担軽減といった面でのメリットが大きいため、機能を分化して対応することが適当であるとの結論に至っております。 この結論を受け、令和2年度から機能分化の対応を本格的に始めましたが、同年4月に施行された改正児童虐待防止法において、児童相談所の介入機能と支援機能の分離等が規定されたこともあり、機能分化がより効果的に機能するよう、専門職である児童福祉司を増員してきたところです。 このため、令和3年度からは、全ての児童相談所において十分な対応が可能となっております。 今後も、各業務を担当する職員の専門性の向上のための研修等を行うことにより、緊急保護が必要な場合など、ちゅうちょなく介入し、その後の継続的な保護者支援につながるための体制の強化を図り、子供の安全・安心な生活に向けた保護者との関係づくりに取り組んでまいります。 次に、児童相談所における保護者支援についてでありますが、児童虐待に至った保護者を支援する上で、海外で開発された優れたプログラムを、議員御指摘のような民間組織が国内向けに開発し、効果を上げているということは承知しており、本県児童相談所においても、そういった支援プログラムを活用し、保護者支援に取り組んでいるところであります。 また、こうした取組をさらに推進するため、児童相談所の児童心理司の増員を図るとともに、先進的な支援プログラムについての情報収集や研究などに努め、より効果的な親への支援体制の充実・強化を図ってまいります。 次に、ペアレント・トレーニングの取組促進についてでありますが、ペアレント・トレーニングは、叱らない子育ての方法などを学ぶ親支援プログラムとして、もともとは発達障害の子供の保護者向けに開発されたものですが、議員御指摘のとおり、児童虐待防止対策の一環として、広く活用していくことは重要な取組と考えております。 このため、本県においても、医療機関や児童相談所に加え、県内14市町村において、広く乳幼児期の保護者を対象とした取組が行われており、県といたしましては、さらにこの取組が広がるよう市町村に働きかけていくとともに、運営に当たるスタッフの研修機会の確保等に努めてまいります。 次に、妊娠・出産に係る医学的知識の普及啓発についてでありますが、安心・安全な妊娠・出産を実現するためには、議員御指摘のとおり、医学的知識の普及啓発等が重要であると認識しております。 県では、これまで、妊娠・出産に係るリーフレットの作成・配布や、保健所における高校生や中学生を対象にした性に関する講演事業などにより、普及啓発に努めてきたところです。 今後とも、希望する妊娠・出産を実現するため、また、妊活やライフプラン作成にも資する医学的知識のさらなる普及啓発に努めてまいりたいと考えております。 次に、通所型サービスAの県内の提供状況についてでありますが、介護予防・日常生活支援総合事業は、要支援や基本チェックリストの該当者に対して、従来の専門的なサービスに加え、住民等の多様な主体が参画し、サービスを充実させることにより、介護予防や地域の支え合いの体制づくりを推進することを目的としています。 この中で、通所型サービスAは、従来の通所介護に比べ、人員や運営基準などが緩和され、NPO法人や民間事業者、元気な高齢者など多様な実施主体がサービスの担い手となることが可能となっており、令和3年4月現在、21市町村260事業所で取り組んでいるところです。 次に、通所型サービスAの普及に向けた県の対応についてでありますが、議員御指摘のとおり、要介護状態にならないための介護予防の取組は重要と考えております。 一方で、この事業が全ての市町村で実施されておらず、取り組む事業者が少ないとされる背景としましては、担い手の不足が大きな要因とされており、認知度の向上が課題と認識しております。 県といたしましては、サービスの普及拡大に向け、担い手を確保するため元気な高齢者をはじめとした住民向けの研修や、担い手候補者を事業主体である市町村に情報提供する取組などを実施することにより、市町村を支援してまいります。 次に、本県の生活保護世帯数等の現状についてでありますが、生活保護世帯総数を、新型コロナウイルス感染拡大前の令和元年度と、令和2年度を月平均で比較すると、令和2年度は1万6,346世帯で、0.1%の微減となっております。 一方、今年度4月から9月の動きを見ると、相談件数は、日常生活の不安なども含めて月平均495件で、前年同期比11件、2.3%の増加、保護開始数は、月平均180世帯で、前年同期比13世帯、8.1%の増加、生活保護世帯総数は、月平均1万6,433世帯で、前年同期比102世帯、0.6%増となっております。 こうしたことから、生活保護の受給について新型コロナウイルスの影響が少なからずあると分析する福祉事務所もあると聞いており、引き続き、動向を注視するとともに、保護の相談等においては、懇切丁寧な対応に努めてまいります。 次に、ひとり親家庭等支援計画に基づく施策の進捗状況等についてでありますが、約半数が非正規雇用である母子世帯など、新型コロナウイルス感染症の影響が大きい独り親家庭への支援を充実することは重要であると認識しております。 このため、県といたしましては、令和3年3月に改定したひとり親家庭等支援計画に基づき、新たに独り親の就業バンク、ひとり親ジョブマッチにいがたの創設や登録企業を増やすための企業開拓員の配置、就職に有利な資格取得支援の対象資格の拡充、養育費確保対策など、各種支援策の強化を図ってきたところであり、おおむね計画どおりの進捗と考えております。 また、フードバンク連絡協議会との連携については、フードバンクが行う食料配布時や連絡協議会のSNSの活用などにより、行政の各種支援施策や相談窓口等の周知を行うなど連携を深め、情報発信の強化にも取り組んでいるところです。 県といたしましては、こうした取組を今後も継続的に行うことにより、独り親世帯へのきめ細やかな支援を進めてまいります。   〔産業労働部長佐野哲郎君登壇〕 ◎産業労働部長(佐野哲郎君) お答えいたします。 県内の雇用調整助成金の支給実績と雇用情勢についてでありますが、新潟労働局によりますと、令和3年11月28日現在で、雇用調整助成金の支給決定件数は、累計8万5,300件となっており、相談件数で見ますと、製造業、飲食業、卸・小売業、宿泊業が多くなっております。 また、県内の雇用情勢は、10月末の有効求人倍率が1.45倍と8か月連続で上昇しており、持ち直しつつあるものと認識をしております。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 7点についてお答えいたします。 外部人材の配置等による教育現場の負担軽減についてでありますが、現在、服務監督権者である市町村教育委員会が、教職員の勤務時間の上限方針を定め、業務の見直しを行い、教員の負担軽減に取り組んでおります。 県教育委員会としても、国から措置された英語専科教員の配置により、教育の質の向上と併せ、教員の授業時数の軽減を図っております。 また、スクール・サポート・スタッフやICT支援員など、外部人材の活用は、教員の負担軽減に有効であると認識しており、国による市町村への財政措置が一層拡充するよう、引き続き、都道府県教育長協議会等を通じて、国へ働きかけてまいります。 次に、小中一貫教育の推進についてでありますが、県内においては、三条市や湯沢町など7市町村で、既に取組が進められております。この中には、複式学級を持つ小学校23校、3学級以下の中学校11校も含まれており、小規模校における小中一貫教育が進められ、9年間を通した教育の充実が図られていると承知しております。 県教育委員会といたしましては、現時点で、モデル地区を指定する予定はありませんが、市町村が新たに小中一貫教育に取り組んでいく場合には、必要に応じて支援してまいります。 なお、少人数学級に取り組む文部科学省の動向を注視するとともに、他県では小中一貫の異年齢集団により教育を行う学校が開設された例もあり、引き続き情報収集に努めてまいります。 次に、地域経済に関する実体験を交えた教育についてでありますが、現在、県内の小中学校では、社会科や家庭科、総合的な学習の時間等で、地域の伝統産業の見学や、ものづくりの体験及び地産地消に関わる学習を通して、地域経済の状況等について学んでおります。 議員御指摘のとおり、実体験を交えた教育は、児童生徒に主体性や実感を伴った理解を促すことから、学びを深める効果があるものと認識しております。 今後、県教育委員会では、地域の伝統産業や地域人材を取り上げた好事例を教育支援システムなどを通して紹介することで、地域参画型のキャリア教育がさらに広がるよう努めてまいります。 次に、若者の政治への関心を高める取組についてでありますが、中学校や高等学校では、社会科や公民科を中心に、民主政治の意義の理解と、主権者として政治参加する態度の育成を図っております。また、県や市町村の選挙管理委員会等と連携して出前授業や模擬選挙を行ったり、税務署等と連携して租税教育の中で、税金や予算などの理解を深める取組を行っております。 今後、これらの取組を継続するとともに、総合的な学習の時間等で、生徒自ら課題を設定し、その解決策を考える過程で地域の産業や行政の関係者などと交流し支援を受けることにより、生徒の社会参画意識の向上等につなげていきたいと考えております。 次に、国を愛する精神の育成についてでありますが、小・中・高の学習指導要領では、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育において、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた国や郷土を愛するとともに、他国を尊重することが示されております。 具体的には、義務教育段階では特別の教科道徳や社会科、高等学校段階では地理歴史や公民をはじめとした各教科において、議論や課題追求などの児童生徒の主体的な学びを通じて、自国と他国の文化、歴史、伝統などの違いを理解することで、自国のよさや特徴を改めて認識することができ、そのことが日本人としてのアイデンティティーの確立や国を愛する精神の醸成にもつながるものと考えております。 次に、学校における情報リテラシー教育の現状についてでありますが、学習指導要領では情報活用能力を、情報や情報技術を適切に活用して、問題を発見・解決したり、自分の考えを形成したりするために必要な資質・能力と定義づけております。小中学校、高校では、各発達段階に応じて、教科等横断的に、こうした能力の育成に努めております。 議員御指摘の正しい情報の選択や理解につきましては、例えば高校では、教科、情報で様々なメディアの特性について調べたり、公民などの教科で複数の情報源を比較して情報の信頼性や信憑性を判断するなど、情報リテラシーの育成に取り組んでおります。 次に、学校における議論の機会の拡大についてでありますが、グローバル化が進展する中、若い世代には、課題解決に向け議論しながら一定の結論を導き出す力を身につけることが求められているものと認識しています。 新学習指導要領においては、議論や討論を通じて、自分の考えを根拠に基づき伝えるとともに、他者の考えを理解し、自分の考えを広げ深めることが重視されていることから、義務教育段階では国語や社会科を中心に、高等学校段階では国語や地理歴史、外国語などで、自分の立場を明確にして、思考、判断したことを基に議論する機会をこれまで以上に設けてまいります。 ○議長(佐藤純君) 桜庭節子君の質問は終わりました。 次に、与口善之君の発言を許します。与口善之君。   〔与口善之君登壇〕(拍手) ◆与口善之君 自由民主党の与口善之でございます。通告に従い、一般質問させていただきます。 初めに、デジタル化と地球温暖化対策の課題について伺います。 経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針2021では、日本の未来を拓く4つの原動力として、グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策をキーワードに挙げています。 このうち、活力ある地域創り、少子化対策については、本県においても重要な課題として位置づけられ、様々な取組が行われてきているところであります。 一方で、グリーン、デジタルについては、ここ数年で急浮上してきたテーマであります。 気候変動問題は世界的な課題となっており、イギリスで開催されたCOP26が大きな注目を集めたことは記憶に新しいところです。本県でも昨年9月定例会の所信表明において知事は、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを表明されました。地球温暖化対策は世界的な課題ではありますが、本県としての取組も着実に進めていかなければなりません。 また、コロナ禍でテレワークなどが進んだことや、行政・産業のデジタル化の遅れが表面化したことから、デジタル化が重要な課題として浮上しました。 グリーン、デジタルといった新たな課題に対して、本県としてどのように取り組んでいくのか伺います。 まず、デジタル化について伺います。 県では、知事を本部長とするデジタル改革実行本部を立ち上げ、7月にデジタル改革の実行方針を公表しました。実行方針では、人口減少やそれに起因する少子高齢化、活力・競争力の低下などを本県の課題とし、デジタル技術・データを最大限活用し、行政・産業・暮らしの変革につなげていくことの必要性を指摘しています。 ペーパーレス化などの県庁内部の効率化にとどまらず、産業や県民の暮らしの変革を目指している点は非常に重要な観点であり、ぜひとも強力に推進していただきたいところです。 そこで、質問ですが、県のデジタル改革の実行方針では、市町村等と連携しながら、暮らしにおけるデジタル改革を進める方針が示され、市町村と協働した施策展開を行うこととしていますが、どのような分野で協働していくのか伺います。 また、円滑な施策展開に向け、市町村がどのような課題を抱え、県としてどのように対応していくのか、知事の所見を伺います。 次に、産業分野のデジタル化についてですが、本年3月に策定された県内産業デジタル化構想では、新潟県はIT投資が全国と比較して遅れており、またソフトウエア関連費用の内訳が低く、運用保守費用が高いことからレガシー運用を継続している可能性が高いなどと指摘されています。 これまで既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうといった問題が指摘されています。 また、既存システムの維持・保守に資金や人材を割かれ、新たなデジタル技術を活用したIT投資にリソースを振り向けることができないといった問題も指摘されています。 さらに、これを放置した場合、今後ますます維持・保守コストが高騰するとともに、既存システムを維持・保守できる人材が枯渇し、セキュリティー上のリスクも高まることを指摘する声もあります。 IT投資の遅れを取り戻していく上で、企業の意識改革、システムや設備導入などの環境整備への支援が重要と考えますが、取組状況と課題、今後の方向性について所見を伺います。 デジタル改革の実行方針において示された本県の課題である人口減少やそれに起因する少子高齢化、活力・競争力の低下に対応していくためには、デジタル技術・データを最大限活用し、行政・産業・暮らしの変革につなげていくことが不可欠であり、今後、社会の様々な面でデジタル化が進んでいくことになります。 また、AI、IoT、自動運転などの社会実装により、我々の周囲を行き交う情報量は飛躍的に増加することは間違いがなく、情報通信分野の消費電力が激増することが見込まれています。 国の機関の推計によると、情報通信分野での消費電力は、技術進歩がないと仮定した場合、情報量の拡大により、2030年には現状と比較して約36倍に、2050年には4,200倍以上になると見込まれています。 デジタル化の進展に伴う電力需要の大幅な拡大が見込まれる中、電力供給県である新潟県としては、脱炭素の動きも踏まえながら、将来的な電力供給についてどのように対応していく考えか、知事の所見を伺います。 第6次エネルギー基本計画では、カーボンニュートラルに向けた対応として、温室効果ガス排出量の8割以上を占めるエネルギー分野の取組が重要とし、水素・アンモニア発電や炭素貯蔵・再利用を前提とした火力発電など、イノベーションが必要な新たな選択肢の追求がうたわれています。 しかし、現状ではアンモニアは発電時に二酸化炭素を出しませんが、製造過程では二酸化炭素が発生し、燃焼時は窒素酸化物を生成するなど課題は多くあります。水素も、製造や輸送にかかるコストが高いという課題があります。 計画では、実証段階にある技術や再生可能エネルギーの導入目標の大幅な拡大に依存する内容となっており、実現可能性には疑問を感じますが、第6次エネルギー基本計画で示された2030年の電源構成について、知事の所見を伺います。 全国で森林での太陽光発電施設の設置を目的とした開発が増加しており、最近では、森林法に基づく林地開発許可の対象外となる1ヘクタール以下の小規模な林地での計画も見られます。 本年7月、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生したこともあり、地域住民から心配の声が寄せられています。 全国知事会でも地域との共生のため、太陽光発電に係る規制整備等を要望し、林野庁では令和元年12月、有識者会合での検討を踏まえ、太陽光発電施設の設置に関する林地開発許可基準の運用細則を定めました。 また、最近の研究では、海や森林の二酸化炭素吸収能力が落ちてきている兆候が認められるとの指摘もあります。 一つ一つの林地開発は小規模であっても、まとめると大きな開発となる場合もあることから、森林の持つ土砂災害の防止やCO2吸収源等の機能を保全するため、1ヘクタール以下の小規模な林地開発についても規制を強化する必要があるのではないかと考えますが、どのように対応していくのか伺います。 新潟県は長い海岸線を有し、海岸漂着ごみの処理が大きな課題となっています。 私の地元の柏崎市によると、ロープ、漁網、1人で持ち上げることのできない大きさの流木、有害性漂着物や爆発性漂着物、その他処理困難な漂着物を発見した場合は、県に通報し、処理を依頼しているとのことです。特に、数年来蓄積されている流木等の撤去がなかなかなされていない現状もあると聞きました。 海岸漂着ごみは、海洋生物への影響はもとより、漁業や観光業等にも影響を与えますが、近年ペットボトルなどプラスチックごみが、太陽光や水にさらされて劣化する過程で、温室効果ガスであるメタンガスを発生させることが明らかとなりました。 廃棄物由来の温室効果ガスの排出抑制につながることもあり、海岸漂着ごみの回収は喫緊の課題ではないかと考えますが、現状認識、対策について所見を伺います。 次に、原子力災害時避難経路阻害要因調査結果について伺います。 原子力災害時の避難経路上における阻害要因を把握し、避難経路の変更や避難開始の分散化など、円滑に避難するための対策を検討するために行われた原子力災害時避難経路阻害要因調査の結果が先月公表されました。 原子力災害時避難経路阻害要因調査の結果では、様々な想定を基に、課題の抽出やその対策及び効果検証を行い、避難計画等に関する改善提案まで盛り込まれていますが、まず改善提案の実現に向けた知事の意気込み、思いを伺います。 原子力災害時避難経路阻害要因調査において、北陸道と国道8号の交差部にスマートインターチェンジを整備し、高速道路を活用することが、PAZ住民の避難時間の短縮に効果的であることが示されました。 UPZ住民の避難には既設の柏崎インターチェンジもありますが、さらなる増設の必要性についての検証も必要です。 全国的に見てもPAZ内に高速道路が整備されている地域は限られている中、北陸道という既存インフラを活用し、避難の円滑化を図るスマートインターチェンジの整備は効果的な対策であり、国に対し強く要望していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 県は、平成31年3月の広域避難計画の策定以降、毎年、住民参加規模を拡大するなど、市町村、関係機関と連携し、積極的に原子力防災訓練を実施してきました。 11月9日から13日にかけて実施された今年度の原子力防災訓練では、ホバークラフト型の船舶を利用した避難訓練も予定されていましたが、波が高かったことから住民の安全を考慮し計画が変更されました。 船舶だけでなく、積雪期の訓練で利用されたヘリコプターなどの利用拡大も検討する必要があると考えます。 今回の原子力防災訓練における成果と今後の方針について、知事の所見を伺います。 次に、地方分散の課題について伺います。 内閣府の調査によると、東京圏在住者の地方移住への関心は高まっており、特に若い世代で地方への関心の高まりが見られるとのことです。 テレワークによって地方でも同様に働けると感じたことが、地方移住を考える理由の一つとされていますが、どのようにして実際の行動につなげていくのかが課題であります。 県では、今年度から、市町村と連携して、東京圏の業務をテレワークで実施する場合や、テレワークを伴うU・Iターン者に対する支援を行っていますが、他県と差別化を図る工夫や支援の実績、評価、今後の見通しについて伺います。 地方分散の流れを受けて、ワーケーションの取組が全国各地で進められ、新潟県観光立県推進行動計画においても、ワーケーション等による滞在時間の創出など域内消費を促す取組について、積極的に取り組む地域を支援するとし、ワーケーション需要の高まりを見据えて、ワーケーションの体験プログラムの造成等を支援する取組を進めていますが、取組の進捗状況と評価を伺います。 また、共働き世帯は年々増加傾向にあり、2015年には約6割を超え、世代的にも30代前半から50代前半のいわゆる子育て世代でもあることから、ワーケーションという働き方を選択する上での制約は多いのではないかと思われます。 また、地域間競争等も生じているのではないかと思いますが、こうした状況を踏まえ、ワーケーション市場の需給の現状と将来性をどのように評価しているのか伺います。 次に、都市部の女性を対象とした取組について伺います。 内閣府は、第5次男女共同参画基本計画において、地方から都市部に若い女性が流出している背景として、固定的な性別役割分担意識や性差に関する偏見、無意識の思い込みが根強く存在しており女性の居場所と出番を奪っていることや、企業経営者などの理解が足りず、女性がやりがいを感じられない環境になっていると分析しており、自治体や企業に女性が働きやすい環境を整えるよう求めています。 自治体、地域社会、企業の対応にも課題がないか振り返ってみるとともに、県内外の若い女性に選ばれる地域になるために、こうした課題にも向き合っていく必要があります。 県では女性のU・Iターンを促進するため、県内にU・Iターンした女性の視点から、新潟暮らしの魅力発信や移住を検討している方との交流の機会を提供しています。 交流イベントでは、参加者から、リアルな話を聞けてよかった。移住には思い切りが大切だと思った。なりわいをつくらなければ転職を繰り返すことになるという言葉が印象に残ったという感想が寄せられたと伺いました。 これらの声は移住を検討している方々にとって、大変厳しく、また、大切な指摘がなされたと思われますし、こうした場は移住後のライフスタイルを描いていくための貴重な機会になっていると考えます。 そこで質問ですが、県では、分散型社会への対応として、県外の若い世代への情報発信力を強化することとしていますが、本県は女性の流出が課題であることから、既に取り組まれている女性を対象とした移住・定住支援施策とも連動させるなどして、県外の若い世代のうち、女性に向けた情報発信をさらに強化していく必要があるのではないかと考えますが、所見を伺います。 また、先ほどの交流会参加者の感想にもあったとおり、仕事は移住において大きなハードルとなります。 本県は、全国と比べてサービス産業よりも製造業のウエートが高いため、女性が望む求人が少ないと思われますが、地域に魅力的な仕事がつくられれば、都市部の女性にも関心を持ってもらえるきっかけとなります。 そのため、広く、明るく、デスクはフリーアドレスといった、若い女性が働きたくなる職場環境へのリノベーションなど職場環境の整備をはじめとして、仕事内容、勤務形態、福利厚生の変革を企業に促すなど、女性にとって地域の中小企業が魅力的になるような支援が必要と考えますが、所見を伺います。 次に、除雪の課題について伺います。 昨年度のような短期間の集中降雪時には、除雪作業が間に合わない状況が発生することがあります。国道、市町村道、高速道路の連結部分など、道路管理者が異なる場合であっても円滑な交通の確保に向けて、柔軟に作業を行い、相互乗り入れをできるようにすることが必要ではないかと考えますが、所見を伺います。 また、除雪車両の稼働状況の情報共有だけにとどまらず、優先して除雪する道路区間などへの対応についても道路管理者間で連携すべきと考えますが、所見を伺います。 中山間地や山間地の除雪業者は、冬期間の除雪体制を維持するために通常業務を調整し、冬期間の除雪業務に支障が生じないよう体制を整えています。また、除雪要員を確保するため、オペレーターの通年雇用や新規養成を図る必要もあり、除雪業者の大きな負担となっています。 除雪体制を維持することを優先した上に暖冬少雪であっては、売上げ減少に与える影響は計り知れませんが、そのような場合に除雪期間中の待機人員の人件費などを補償する制度の創設などが必要ではないかと考えますが、所見を伺います。 働き方改革により、社会全体で完全週休2日制の導入が進んでいますが、除雪作業では降雪状況によって休日の出勤もあることから、労務単価の休日割増しを導入するなど、作業員の待遇改善が図りやすくなるよう積算上の配慮をする必要があると考えますが、所見を伺います。 除雪作業に関して、自宅敷地内から雪を道路上に出したり、除雪の作業効率を高めるため空き地や耕作地などを雪置場にしたくても協力していただけなかったりするなど、住民の協力が得られない場合があると聞きます。 また、やむを得ないことですが、作業の遅延や除雪車の通過後は、玄関先などに雪が残されてしまう場合も多いため、作業後の苦情も絶えないとのことです。 除雪作業は不眠不休で対応する場合もあり、作業員の肉体的・精神的な負担も大きいことから、円滑な除雪作業と作業員の負担軽減のため、除雪作業への注意や協力、理解を促す取組が今まで以上に必要だと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、外国人材の確保の課題について伺います。 県では、外国人材受入サポートセンターを設置し、企業・団体等からの相談対応や、関係機関・県内企業などとの連携を図りながら、外国人材の受入れを推進しています。 コロナ禍で相談件数は減少してしまいましたが、新型コロナウイルスでの帰国困難や解雇・雇い止め等、困っている外国人の相談対応を行うなど、外国人材の活用・フォローなどで重要な役割を担っていると考えますが、知事は、外国人材受入サポートセンターの取組の現状と成果をどのように評価されているか伺います。 外国人材受入サポートセンターは、その設立目的から、企業の依頼があっても、外国人の求人・求職の情報提供ができないという課題があります。また、不正行為や法令違反が認められ、取消しとなる監理団体がほぼ毎月発生しているとも言われていますが、監理団体の紹介、詳細な情報提供ができないという課題もあるとのことです。 こうした課題に県として講じてきた対策と今後の対応方針について伺います。 厚生労働省の機関である、在留資格を持つ外国人の方を支援する外国人雇用サービスセンターは、東京の四谷と新宿、名古屋、大阪、福岡の全国5か所だけであり、また、ハローワーク新潟では外国人採用の区分で求人を出すことができないため、外国人の求人・求職状況が効率的に把握できていません。 新潟でも外国人の求人と求職のマッチング環境を整えることが必要ではないかと考えますが、所見を伺います。 本県では外国人材の定着率の低さ、首都圏への流出の多さが問題になっていると聞きますが、その理由として、他県と比較して賃金が安いということもありますが、外国人を労働者として適切に扱っていないことや、高度な外国人材活用ノウハウができていないなど、企業側の意識の問題もあると言われています。 外国人材を雇用する採用側の意識改革も必要と思われますが、今後の取組の方向性を伺います。 最後に、県政の諸課題について伺います。 令和元年度版観光白書によれば、国内の旅行消費額26兆1,000億円のうち、日本人による消費は8割を超えており、訪日外国人旅行、いわゆるインバウンドは4兆5,000億円にすぎません。 日本人観光客によるものは82.7%、21兆6,000億円を占め、また、日帰り旅行による消費額だけでも4兆7,000億円。さらに、日本人の海外旅行における海外消費分が2兆8,000億円となっていることも考慮すべきです。 新型コロナウイルス感染症が終息してもインバウンド需要は簡単には戻らないとも言われており、昨年度のGo To トラベルキャンペーンの需要回復効果や国内旅行の需要の大きさを考えれば、今後は日本人をターゲットとした国内旅行の取組を強化すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 県警察では、可搬式オービスの速度抑制に関する効果検証を行っていますが、通学時間帯だけ車両の進入を防ぐ目的で新潟市内に設置されているライジングボラードや、道幅を狭くするポール、道路の一部を隆起させて通過車両に上下の振動を及ぼすことで運転者に減速を促すハンプなど、物理的な交通安全対策も効果を上げています。 国は、2012年、事故が相次いだことから、通学路の緊急点検を行い、その結果、事故などが起きるおそれのある危険な場所が7万4,483か所見つかり、歩行者と車両の分離や自動車速度の低減、危険を予測し回避するという交通安全教育の基本の徹底などの対策が実施され、2019年度末には98%が対策済みとなっています。 さらに、今年6月の千葉県八街市の事故を契機に、文部科学省、国土交通省、警察庁の3省庁が今夏以降、見通しのよい道路や住民からの要望があった箇所を含めて再点検を進めており、点検結果は近く公表される見通しとなっています。 そして今般、速度規制の標識の新設や横断歩道の整備、歩道の設置や拡幅、路面を緑色に塗ってドライバーに注意喚起を促すグリーンベルトやガードレールの整備の補正予算が計上されましたが、痛ましい事故をなくしていくためには、道路の状況に応じた実効性のある対策を着実に進めていかなければならないと考えます。 このため、通学路や生活道路の安全対策として、より直接的に速度抑制等に効果が期待できるグリーンベルトやハンプなどの物理的な対策の導入について、積極的に道路管理者に働きかけていくべきではないかと考えますが、所見を伺います。 地域医療連携推進協議会でも要望していることですが、JA新潟厚生連は県民の命と健康を守るという大きな使命を果たすべく、県立病院と同等以上の働きをしているものと考えます。 厚生連病院の所在自治体では、厳しい財政状況下であっても、特別交付税等の活用により財政支援を行っており、県においてもJA新潟厚生連の地域における重要な役割を踏まえ、財政支援策のさらなる強化を行うべきと考えますが、知事の所見を伺います。 また、同一労働同一賃金という考え方がありますが、同一の機能を担うのであれば同等の支援が受けられるという考え方に立ち、普通交付税における病床割相当額など、公立病院と同等の支援が行われるよう、財政支援について国に働きかけることが必要と考えられることから、併せて知事の所見を伺いまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 与口議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、市町村等と連携したデジタル改革についてでありますが、県全体のデジタル改革を進めていく上で、市町村との連携も重要と考えています。 これまで、市町村からは主に行政システムに関する課題が挙げられており、デジタル改革の実行方針に基づき、外部人材の知見も活用しながら、定期的な意見交換会を実施するとともに、個別にもヒアリングや助言等のサポートを実施しております。 また、システムの効率化や財政負担の軽減のため、情報セキュリティークラウドやチャットツール等の導入について、県と市町村の共同調達や共同利用等の協議を進めているところです。 こうした取組に加え、今後は、市町村の企画部門を含めて意見交換を進め、暮らしにおける課題についても、デジタルを活用したノウハウの共有等の支援を広げていきたいと考えています。 次に、デジタル化の進展に伴う将来的な電力供給についてでありますが、議員御指摘のとおり、デジタル関連の消費電力は、今後、飛躍的に増加していくことが見込まれます。 国の第6次エネルギー基本計画においては、こうした経済成長や、電化率の向上等が電力需要の増加要因となる一方で、徹底した省エネルギーの推進などで電力需要が減少することにより、2030年度の総発電電力量は、需要を上回ると想定されています。 また、その上で電力供給については、再生可能エネルギーの導入を最大限進めることとされており、県といたしましても、国の動向を注視しつつ、多様な地域資源を活用した、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。 次に、第6次エネルギー基本計画で示された2030年の電源構成についてでありますが、国は、同計画で、2030年の電源構成について、太陽光発電などの再生可能エネルギーが36%から38%、水素・アンモニアは1%と見通しております。 この水準は、徹底した省エネルギーや非化石エネルギーの拡大を進め、需要と供給の両面で様々な課題を克服していくことを前提としており、CO2の削減に向け、野心的な目標として掲げられたものと認識しています。 県といたしましても、今年度より、私を本部長とする県環境対策推進本部の下にカーボンゼロ実現戦略プロジェクトチームを設置し、部局横断による戦略の検討を進めており、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能・次世代エネルギーの導入促進に引き続き取り組んでまいります。 次に、原子力災害時避難経路阻害要因調査結果についてお答えをいたします。 まず、調査において示された改善提案についてでありますが、今回の調査は、原子力災害時の避難経路において、どのような場所で渋滞が発生するかを把握し、より円滑に避難するための対策を検討することを目的として実施いたしました。 この調査において、北陸自動車道への進入路の整備、避難経路上の道路や橋梁等の耐災害性の強化、早期の道路除雪などの円滑な避難のための改善案が示されました。 県といたしましては、その実現に向けて、国や関係市町村、関係機関と連携をし、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。 次に、調査結果を踏まえたスマートインターチェンジの整備についてでありますが、議員御指摘のとおり、今回の調査では、PAZ住民の避難において、北陸自動車道と国道8号の交差部にスマートインターチェンジを設置することが、渋滞緩和の効果があるとされ、スマートインターチェンジなどの進入路を設置し、多くの車両が通行することができる北陸自動車道を一層活用することが、有効であることが示されました。 県といたしましては、北陸自動車道への進入路の設置を含め円滑な避難のための道路整備等の実現に必要な財政措置について、関係市町村とも連携し、国に対して強く要望してまいります。 次に、原子力防災訓練における成果と今後の方針についてでありますが、今年度の訓練においては、11月に新潟県ハイヤー・タクシー協会と締結した協定に基づきまして、福祉タクシーによる車椅子利用者の搬送手順の確認を実施したほか、避難所等において、AIを活用した顔認証による住民受付の効率化を試験的に実施するなど、新たな取組も行い、原子力災害時の対応力のさらなる向上を図るという目的は、おおむね達成できたと考えています。 また、災害時における避難手段の選択肢を広げることは重要と考えており、自衛隊や海上保安庁、民間事業者とも連携をし、輸送艦等の船舶に加え、ヘリコプターや雪上車、福祉車両など、様々な避難手段による訓練を、これまで実施してまいりました。 県といたしましては、引き続き、関係機関と連携をし、様々な想定や避難手段による訓練を実施することによって、原子力災害時における対応力のさらなる向上を図ってまいります。 次に、除雪の課題についてお答えします。 まず、大雪時の道路除雪における管理者間の連携についてでありますが、昨冬の異常降雪においては、連携が不十分であったことが課題として浮き彫りとなりました。 このため、管理者間の垣根を越えた柔軟な対応が重要と認識しており、今冬においては、除雪機械の稼働状況を共有した相互応援に取り組んでいくこととしています。 また、幹線道路や雪捨場へのアクセス道路などの優先除雪区間への対応についても、道路管理者間の確実な連携は、効率的な除雪につながり、県民生活への影響を最小限にとどめるための手段として重要であると考えています。 県といたしましては、情報連絡本部の開催などにより連携を強化し、冬期道路交通の確保に努めてまいります。 次に、除雪作業への協力や理解を促す取組についてでありますが、道路除雪は、冬期における県民生活や経済活動を支える重要な作業であり、それを担う除雪オペレーターが円滑な作業を実施するためには、議員御指摘のとおり、県民の協力や理解が必要であると認識しています。 これまで、県では、除雪作業への協力をお願いするチラシの配布などに取り組んできたところですが、現状において苦情などが寄せられている状況にあります。 このことから、除雪に対するさらなる理解促進に向け、オペレーターの技術を披露するニイガタ除雪の達人選手権の開催や、除雪作業で功績を収めた方を対象とした知事感謝状の贈呈など、新たな取組を始めたところです。 引き続き、新潟県除雪オペレータ担い手確保協議会を通じて、関係機関との連携による、取組内容の充実や県内横断的な展開を図りながら、理解等の促進に努めてまいりたいと思います。 次に、外国人材確保の課題についてお答えをします。 外国人材受入サポートセンターの取組の現状と成果についてでありますが、企業や団体等からの相談件数は、感染症拡大の影響もあり、減少傾向にありますが、在留資格や入管手続などの専門的知見を要する相談に対応し、その解決を図っております。 また、国際人材フェアや外国人採用に係るセミナー開催等に取り組んでおり、外国人材の獲得にも一定の役割を果たしているものと認識しております。 外国人材の受入れ事業所数が最多となっている中、県内には、様々な課題を抱えている企業や、困難な状況にある外国人がいるものと考えており、センターは、その知見や機能をさらに発揮して、専門的立場からそれらの課題に対応していく必要があるものと考えています。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、今後の観光施策のターゲットについてでありますが、新型コロナウイルス感染症拡大により、訪日観光の受入れ停止が続く中、落ち込んだ観光需要の回復に向け、昨年から、県民宿泊割引キャンペーンや国によるGo To トラベルキャンペーンなど、国内の旅行需要を喚起する取組を行ってきているところです。 一方で、人口減少の影響などにより、長期的には国内旅行市場の縮小も予想されていることから、本県観光の持続的な発展のためには、訪日外国人の取り込みによる交流人口の拡大と観光消費の創出も重要であると認識しています。 県といたしましては、引き続き国内誘客に注力するとともに、今後の国の水際対策の動向を注視し、訪日観光の受入れ再開時には、インバウンド誘客にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、厚生連病院への財政支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、厚生連病院をはじめとした公的病院は、地域において重要な役割を担っており、県では、これまでも、僻地や救急などの政策医療を担っている医療機関に対しては、国の財政措置を活用するなどにより、必要な財政支援を行ってきたところです。 また、県では本年4月に地域医療構想の実現に向けた今後の方向性を策定したところであり、今後、この方向性に沿って、病床の機能分化・連携に取り組む医療機関に対し、公立・公的を問わず積極的に地域医療介護総合確保基金等を活用し、必要な財政支援を行ってまいりたいと考えております。 あわせて、国に対しても基金の拡充や、それに伴う地方交付税措置のさらなる充実などについて、今後も積極的に働きかけてまいります。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 女性に向けた情報発信の強化についてでありますが、議員御指摘のとおり、進学や就職を契機とした若い女性の転出が多いという現状を踏まえ、子育てしやすい環境づくりや、女性が活躍できる魅力ある働く場の確保など、女性に選ばれる新潟となるための取組を総合的に進めていくとともに、ターゲットの属性や関心に応じた効果的な発信を行っていく必要があります。 このため、例えば県外の若い女性一般に向けては、ポータルサイト、新潟のつかいかたを情報の入り口として活用し、暮らしの魅力をストーリー性のある記事等で伝え、本県への関心を高め、イメージアップにつなげてまいります。 あわせて、SNSも活用し、本県における子育て環境、女性が働きやすい企業や移住支援策といった、よりターゲットを絞った情報に誘導するなど、関係部局とも連携を図りながら、女性への訴求力の高い情報発信に取り組んでまいります。   〔県民生活・環境部長村山雅彦君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(村山雅彦君) お答えいたします。 海岸漂着ごみの回収についてでありますが、地球温暖化への影響度は明らかになっていないものの、プラスチックが劣化する際に、温室効果ガスであるメタンが放出されるという研究結果があることは承知しております。 いずれにいたしましても、海洋プラスチックごみによる環境汚染は世界全体で取り組むべき重要な課題であると考えております。 県といたしましては、プラスチックごみを含む海岸漂着物の回収・処理を進めるとともに、不法投棄の防止など、海洋への流出防止に向けた啓発等に取り組んでまいります。   〔産業労働部長佐野哲郎君登壇〕 ◎産業労働部長(佐野哲郎君) 6点についてお答えいたします。 まず、県内産業のIT投資を促すための課題や今後の方向性についてでありますが、県では、県内産業デジタル化構想を踏まえ、業界団体や商工団体、金融機関等との意見交換を重ねており、その中で、デジタルトランスフォーメーション推進に向けた機運が一定程度、醸成されてきたと認識をしております。 その一方で、課題として、このような機運の高まりを企業の具体的な行動につなげる必要があると考えております。 県といたしましては、議員御指摘のシステム導入等に対する支援や、初期費用の負担が軽いITツールの利用実証に取り組むほか、国の補正予算に盛り込まれた補助金の活用も呼びかけるなど、県内企業の具体的な行動を後押ししてまいります。 次に、テレワーク移住に対する支援の実績と評価についてでありますが、本県では、昨年度、国や他県に先駆けて、テレワーカー・フリーランスの移住に対する応援金制度を創設するなど、テレワーク移住の促進に取り組んできたところでございます。 今年度は、国の移住支援金制度の対象に、新たにテレワーカーが追加されましたが、11月20日時点の支給実績は11件・20人と、昨年度に比べ伸びていない状況となっております。 このため、東京23区に限定されている制度要件の緩和を国に働きかけているところです。 また、県内4エリアで実施しております地域活性化リーディングプロジェクトにおいて、テレワークやワーケーションを行うための環境整備に市町村、民間事業者と一体となって取り組んでいるところであり、引き続き、本県への移住が一層進むように取り組んでまいります。 次に、女性が働きたくなる職場環境の整備についてでありますが、県では、多様な人材が活躍できる職場づくりや雇用環境改善に向け、専門のコーディネーターを派遣し、個々の事業主を伴走型で支援しているほか、優良事例の紹介や周知啓発キャンペーンの実施などを通じて働き方改革を推進しております。 魅力ある良質な働く場として、若者、特に女性に選ばれる新潟となるためにも、今後とも、県内企業の支援に取り組んでまいります。 次に、外国人材受入サポートセンターの課題に向けた対策と今後の対応方針についてでありますが、これまで、同センターが主管する国際人材フェアにおいて、情報を保有する新潟労働局や学校、関係団体等の協力を得て、外国人材を必要とする企業と、就職を希望する留学生等のマッチングに取り組んでおります。 一方で、相談窓口での職業あっせん等は、現状では、センターにおける求人・求職や監理団体等の情報の蓄積が乏しいこともあって行っていないことから、企業等への個別の情報提供については、関係団体等と調整の上、今後検討してまいりたいと考えております。 次に、外国人労働者のマッチング環境の整備についてでありますが、議員御指摘のとおり、ハローワークでは、公正採用の観点から国籍を限定した求人の受付は行っておりませんが、外国人の方が持つスキルや能力に着目した求人は可能となっており、特定の外国語能力を条件とするなどの工夫をしながら、外国籍の方のマッチングが行われているものと承知をしております。 また、新潟新卒応援ハローワークでは、従前から、留学生コーナーを設け、相談対応やマッチングを行っております。 このような対応の状況も検証しながら、外国人のマッチング環境のさらなる整備について、関係団体と調整の上、今後検討してまいりたいと考えております。 次に、外国人労働者の雇用に向けた企業の意識改革についてでありますが、議員御指摘のとおり、外国人の雇用と、その定着には、法令の遵守に加え、コミュニケーションや生活習慣のギャップ等も踏まえた上で、その能力が発揮できる雇用環境を整えていくことが重要と考えております。 県といたしましては、これまでも、外国人材受入サポートセンターにおいて、企業向けセミナーの開催や、相談対応を行ってきており、今後も、外国人材が活躍できる環境整備を支援してまいります。   〔観光局長妹尾浩志君登壇〕 ◎観光局長(妹尾浩志君) お答えいたします。 ワーケーションの取組についてでありますが、県では、県内4つの地域の取組について、昨年度から、体験プログラムの造成やモニターツアーの実施等の支援を行っており、例えば、妙高市では企業研修をターゲットとする体験プログラムを造成しているほか、胎内市では未就学児のいる家庭を想定したプログラムを造成しております。 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今年度の事業実施に影響が生じている地域もありますが、各地の取組が持続的なものとなるよう、引き続き支援を行ってまいります。 また、ワーケーション市場の評価については、現状は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大も契機となり、テレワークの普及に伴って、ワーケーションへの注目が高まっているものと認識しておりますが、国が実施した企業及び従業員に対するアンケート調査によると、認知度は高まっているものの、実際に実施された方は少数にとどまっており、地域と企業それぞれの環境整備が進むことで、ワーケーションとしての旅行が今後普及していくものと考えております。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) お答えします。 小規模な林地開発の規制強化への対応についてでありますが、規制の対象とならない小規模な林地開発においても、盛土など地形の改変により、土砂災害が発生する危険性は排除できないものと認識しております。 このため、県といたしましては、盛土等の崩落による災害の予防的観点から、盛土等を規制する条例の制定を目指し、検討を進めているところです。 また、現行の森林法においても、森林所有者等は立木を伐採する場合、面積にかかわらず、市町村への届出が必要であり、届出を受けた市町村は、その内容を審査し、山地災害防止やCO2吸収源等としての機能を確保するよう、必要に応じ、届出者に対して、指導、勧告、また命令を行うこととなっております。 県といたしましては、引き続き、市町村と連携・協力しながら、県民の安全・安心が確保されるよう必要な措置を講じてまいります。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) 2点お答えいたします。 道路除雪における少雪時の人件費等の支援についてでありますが、県では、少雪時においても除雪体制が維持できるよう、人件費の一部を補填する基本待機料制度を創設し、平成20年度から運用しているところです。 本制度については、令和元年度の記録的少雪を受け、昨年度に、基本待機料の算定基礎となる基本待機時間を改定し、少雪時における収入がより増加するよう見直したところです。 今後も、関係団体の意見やほかの道路管理者の状況などを踏まえながら、必要に応じて見直しを検討し、除雪体制の確保を図ってまいります。 次に、道路除雪における作業員の待遇改善についてでありますが、建設産業において、将来の担い手確保は喫緊の課題であり、週休2日制の導入など働き方改革の推進は重要な取組と考えております。 一方で、道路除雪作業は降雪状況に左右され、十分なオペレーター数を確保したシフト体制の構築が困難な場合もあることから、計画的な休日の確保が難しい側面もあると認識しております。 現在、県の積算では道路除雪作業に係る休日割増しを導入しておりませんが、今後、実態の把握に努めるとともに、国や他県の取組状況なども踏まえながら、その必要性について検討してまいります。   〔警察本部長村田達哉君登壇〕 ◎警察本部長(村田達哉君) お答えいたします。 道路管理者への、グリーンベルトやハンプ等の物理的対策導入の働きかけについてでありますが、議員御指摘のとおり、路側帯のカラー舗装であるいわゆるグリーンベルトやハンプ等の物理的デバイスは、通学路や生活道路における安全対策に一定の効果があり、県警察ではゾーン30による交通規制と、道路管理者が設置する物理的デバイスを組み合わせた、新たな連携施策、ゾーン30プラスを推進することとしております。 引き続き、道路管理者と緊密に連携しながら、通学路や生活道路の交通安全対策を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(佐藤純君) 与口善之君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午後0時1分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時5分 開議 ○副議長(小島隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、保坂裕一君の発言を許します。保坂裕一君。   〔保坂裕一君登壇〕(拍手) ◆保坂裕一君 自由民主党の保坂裕一です。通告に従い、一般質問を行います。 まず初めに、本県における伝統産業の現状と振興に向けた取組などについてお伺いいたします。 我が国には、歴史と風土に育まれ受け継がれてきた生活用品が数多く存在します。本県においても様々な工芸品が発達し、今なお、脈々と受け継がれております。 伝統的工芸品産業の振興を目的とした伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)により、経済産業大臣が指定している伝統的工芸品に関して、伝統工芸青山スクエアのホームページによると、新潟県は、東京都の18品目、京都府の17品目に次いで、沖縄県と並び、全国で3番目に多い16品目が指定されているところです。 しかしながら、伝統的な製法や原材料により作られてきたこれらの工芸品の産地は、現代の生活様式の変化や天然原材料の減少など様々な要因により、企業数・従事者数はともに減少が続き、存続が危ぶまれるほどの厳しい状況にあると認識しています。 そこで、まず最初に、本県における伝統的工芸品産業をめぐる現状の受け止めと振興策の必要性について、知事の認識をお伺いいたします。 先月11月13日、14日の2日間、三条ものづくり学校で開催された第38回新潟県伝統的工芸品展に足を運び、産地組合の現状や職人の皆さんの思いを直接伺うことができました。 伝統産業については、産業振興の観点からも地場産業の一つとして捉え、振興策を深化、強化すべきと考えますが、多くの課題を抱えていることから、課題解決に向けた方向性について、何点かお伺いします。 伝統的工芸品を将来に残していくために、技術の継承者を育成していくことは喫緊の課題と考えます。 先ほど紹介した伝統的工芸品展の会場においても、組合の皆様から、高齢のため、あと何年続けられるか分からない、このままでは自分の代で廃業するしかないなどと聞いており、技術の継承についての危機感が広がっていると感じました。 継承者の育成は、全国の産地でも共通かつ深刻な状況と思われますが、他県においては、職人養成を目的とする大学校や伝統工芸を学ぶことができる学校が幾つかあると聞いています。 伝統産業は地域経済の発展に資するものとの観点から、本県においても農業大学校のような工芸職人養成大学校の設置を検討すべきと考えますが、所見をお伺いします。 私の地元、加茂市、田上町は古くから木工のまちとして知られ、とりわけ桐たんすの全国生産量の7割を占めており、今テーマにしている新潟県の伝統的工芸品にも指定されています。 先般、地元で開催されたイベントに伺った際に、加茂箪笥協同組合理事長は、新潟県内各地で取り組んでいる地域おこし協力隊制度に、例えば職人版を織り込めないものか、伝統工芸に興味を持つ人が工場で修行し、国が報酬費などを負担する。マッチングがうまくいけば産地としては技術、事業とも継続する一方で、アフターコロナにおける働き方や暮らし方を見直したい人たちの地方への移住・定住にもつながるのではないかとの意見を頂きました。 調べてみますと石川県や岐阜県などには、伝統工芸の専門的知識や技術の習得を目指す人に奨励金を支給する制度や、独立して工房を開設するときに、資金を助成したり、家賃を助成する制度もあると聞いております。 そこで、お伺いしますが、伝統的工芸品の技術の伝承と事業の継続を図るために、県内各地で取り組んでいる地域おこし協力隊制度を活用し、興味を持つ人たちや働き方や暮らし方を見直したい人たちを地方に呼び込む取組が必要と考えられますが、所見をお伺いいたします。 また、他県では伝統工芸の専門的知識や技術の習得を目指す人に対して、奨励金の支給や独立時に資金を助成する制度がありますが、本県における支援の在り方について、併せて所見をお伺いいたします。 また、担い手育成の観点から、子供のときから地域の伝統産業を知り、伝統工芸品に触れる機会を増やすことが大切だと考えます。 オーケストラやオペラ、バレエの公演を学校単位で団体鑑賞するように、先ほど紹介した伝統的工芸品展のような催事の機会に、児童生徒が学校教育のカリキュラムとして学び、制作を体験できるようにすることは、子供たちの豊かな感性を育むことや、キャリア教育の観点からも有効であると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。 そして、伝統産業を持続可能な産業とするためには、販路拡大と後継者養成が重要でありますが、そのためには、伝統工芸を見てもらう、知ってもらう場所の確保が重要と考えます。その意味では、昨年9月にオープンしたNIIGATA1〇〇の運営事業者と連携し、県産品の伝統技術の紹介と首都圏市場の開拓を目指した取組は意義あるものだと考えます。 オープンから1年を経過したNIIGATA1〇〇に対して、県はどのように評価し、今後の取組を期待しているのか、所見をお伺いいたします。 伝統産業に関する最後の質問となりますが、県内には、伝産法に指定された伝統的工芸品が16品目あり、産地は13産地あります。また、伝産法に指定はされていないものの、古くから地域に伝わる歴史的な工芸品の産地も多数存在しています。 県内各地に点在するこれらの産地を線で結んだ観光ルートの開拓や、民間と連携した観光商品開発を行うことによる伝統産業観光の推進は、周辺地域における経済活性化につながると考えますが、所見をお伺いいたします。 また、今後、需要が回復すると見込まれる外国人観光客の受入れも意識し、体験型観光を取り入れることにより、さらなる効果が見込まれると考えますが、併せて所見をお伺いいたします。 伝産品製造事業者及び産地に対する経営戦略、ブランド戦略等、総合的な支援の強化を要望して、この項の質問を終わります。 次に、様々な課題を抱える、子供たちへの支援についてお伺いします。 本年6月に全国知事会から国に対し、子どもの健やかな育ちと学びのための105の提言がなされ、国も骨太の方針2021を閣議決定した中で、成長を生み出す4つの原動力の一つとして、少子化の克服、子供を産み育てやすい社会の実現を推進することを打ち出し、新たな行政組織の創設の検討に着手することが盛り込まれました。 この新たな行政組織がこども庁であり、子供の貧困、児童虐待、重大ないじめなどの課題に総合的に対応することや、年齢による切れ目や省庁間の縦割りをなくすこと、教育と福祉の連携など、困難を抱える子供への支援が抜け落ちることのないような体制の構築を図ることとしております。 子ども・子育て分野は、仕事と育児の両立の難しさ、子供の貧困や教育格差、少子化の進展など、様々な課題が存在します。その対策は、内閣府、厚生労働省、文部科学省など複数の省庁にまたがっていますが、縦割り行政の弊害を克服して、一元的な組織を創設したいというものです。 現在、こども庁創設に向けた国の方針は、子供から意見を聴き政策に反映させるモニター制度の導入や、現場で支援に取り組む民間人材の積極登用を盛り込み、2023年度のできる限り早い時期を目指すと聞いているところですが、まず最初に、今年6月、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームから、国に対して、チルドレン・ファースト社会を構築するための緊急提言をはじめとした、子どもの健やかな育ちと学びのための105の提言が行われましたが、本提言の内容に込められた知事の思いについてお伺いいたします。 次に、全国知事会が国に提言した、この子どもの健やかな育ちと学びのための105の提言に関連して、何点か質問いたします。 厚生労働省から、2020年度の全国の児童相談所が児童虐待として対応した件数が速報値で20万5,029件に上り、統計開始以来30年連続で最多を更新したことが発表されました。 一方、本県の相談対応件数は、3,336件で過去2番目に多かったものの、2013年度以来7年ぶりに前年度を下回る結果となりました。その要因と、児童虐待の種別割合について他県との比較を踏まえた、本県における現状をお伺いいたします。 また、国は2018年に児童福祉司等の増員を図る児童相談所の体制強化を柱とした抜本的強化策を取りまとめていますが、本県における現在の取組状況をお伺いいたします。 次に、大人が担うような家事や、病気や障害がある家族の介護を日常的に行っている子供たち、いわゆるヤングケアラーについて、私は6月定例会の一般質問において、新潟県ヤングケアラー支援検討会議設置の趣旨や目的についてお伺いし、福祉保健部長より、会議での検討内容は本県における支援に向けた論点・課題、早期発見のための広報啓発方法、実態把握方法などについて議論いただくこととしているとの答弁を頂きました。 そこで、今年10月に開催された新潟県ヤングケアラー支援検討会議において、県が実施した、初の実態調査の結果が報告されましたが、実態調査の結果に対する知事の受け止めと、検討会議での意見を踏まえ、県として支援のために、これからどのような方向性で取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、20歳未満の障害児がいる保護者に支給される国の特別児童扶養手当をめぐり、判定事務を担う都道府県や政令指定都市の間で人口当たりの支給対象児童数に最大で5倍の差があり、受給できる障害の程度に関する説明が自治体によって異なるなど、同じ状態の障害でも申請の有無や受給の可否に不公平が生じているのではないかとの報道がありました。 障害の程度が一人一人それぞれに異なることから対応の難しさは理解するところではありますが、判定の客観性を担保する取組が必要と考えます。 本県の対応状況についてお伺いいたします。 次に、アレルギー反応を起こす食材を使った給食を食べた子供が、激しく嘔吐して意識をなくすなどするアナフィラキシーショックで亡くなった例が報告されています。 厚生労働省では、食物アレルギー等、食事に特別な配慮が必要のある子供の増加等を受け、主治医が学校生活における注意点等の診療状況を記載した文書を学校医等に提供した場合、新たに診療報酬の対象とし、医師と学校側の連携強化を図ることを検討しているとの報道がありました。 本県では、現在、アレルギー疾患対策を推進するための計画策定を進めていると承知しています。子育て支援対策の観点から、子供とその家族への支援体制の強化も必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、政府は、子供の貧困や虐待を防ぐため、家庭の経済状況や子供の学力など、子供に関する情報をデータベース化し、困難を抱える子供を早期に見つけ出し、支援につなげるとの報道がありました。 新型コロナウイルスによる雇用状況の悪化で生活が苦しい世帯が増え、子供への影響が懸念される中、手助けがなく孤立する子供の増加や家庭での虐待にもつながりかねず、子供の貧困対策は急務である一方で、子供に関する情報は教育委員会や福祉部門などにデータが分散しており、情報一元化は重要な取組と考えます。 データベース活用による子供の貧困や虐待対策に関して、知事の所見と今後の方向性についてお伺いいたします。 次に、国は先月、来春卒業予定で就職を希望する大学生の就職内定率が、10月1日時点で71.2%になったと発表しました。 新型コロナウイルスの影響により、旅行業や飲食業を中心に経営が悪化した企業は依然厳しく、業界ごとに回復のスピードに差があると聞いていますが、県内における就職内定率の状況をお伺いします。 また現在、オンラインによる面接等が行われるなど、就職活動をめぐる状況はコロナ前と一変していることから、新たな就職活動支援のための取組を検討すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、文部科学省は、2020年度に全国の小中学校で不登校だった児童生徒が、19万6,127人で過去最多となったことや、自殺した小中高生は415人と調査開始以来、最多となったことを公表し、その要因として、家庭で居場所のない子供にとって、救いの場になっていた学校がコロナ禍で休校となり、行事が中止や延期になった影響もあるとしています。 また、コロナ禍が長期化する中で、これまで問題を抱えていなかった子供が、生活や家庭環境の変化で生きづらさを感じている、疲労や先の見えない不安がストレスとして蓄積され、死にたいと訴える子供の数も増加しているなど、新型コロナウイルスの影響が考えられるとの報道がされました。 このため、感染への不安や学校生活の変化に戸惑う子供たちがSOSを出しやすくする環境を整えるとともに、学校現場では子供たちの異変を速やかに把握することが重要と考えますが、本県における児童生徒の不登校及び自殺数の現状と原因や動機について、近年の推移状況を伺うとともに、今後の対策方針を併せてお伺いいたします。 子供支援に関する最後の質問として、国は、平成29年に福祉サービスを公的支援の縦割りから丸ごとへの転換、我が事・丸ごとの地域づくりを育む仕組みへの転換を目指した地域共生社会の実現に向けた取組を始めています。 この一環として、市町村が、福祉サービスの縦割りをなくし、包括的に支援する体制の構築を推進する改正社会福祉法が今年4月に施行されましたが、この改正は、高齢の親がひきこもりの中高年の子供の生活を支えることや、介護と育児を同時に抱え就業が困難になるなど、複雑化・複合化した支援ニーズに対応するためのものと認識しています。 地域共生社会の実現に向けて、子ども・子育てを含め、県はどのように支援を行っていくのか、お伺いいたします。 次に、県央地域の医療体制についてお伺いします。 県央地域の医療体制は、令和5年度中の開院を目指して現在建設中の県央基幹病院が、圏域内の救急医療・専門医療の中心的な役割を担い、県立加茂・吉田病院と済生会三条病院は、地域密着型病院として、慢性疾患を持つ高齢者の入院診療や重症化予防等の役割を担う病院として相互に連携しながら、限られた医療資源を効率的に配置することにより、地域の医療提供を持続させていくことになると認識しています。 まず初めに、医師不足の状況の中で、県央基幹病院の医師並びに医療スタッフ確保に向けた現在の取組状況をお伺いするとともに、先般開催した県央基幹病院オンライン海外留学支援制度の説明会に対する参加者の関心度、反応に対する受け止めをお伺いいたします。 次に、県央基幹病院のミッションとして、次世代の医療人材育成を掲げていますが、これからの医師育成は、あらゆる分野の専門医だけでなく、総合的に患者を診る医師を育てなければならないとの意見も仄聞しています。 このような意見に対する所見をお伺いするとともに、人材育成の方針をお伺いいたします。 次に、県立加茂病院と県立吉田病院は、公設民営など民間活力を生かした運営に向けた取組が進んでいると承知しています。 県央基幹病院が開院するタイミングに合わせ、県立加茂病院と県立吉田病院が担うこととなる機能に最も適した運営主体に移行することにより、圏域内の病院連携がスムーズに行われると考えます。 そのためには、相応の準備期間の確保も必要であり、いつまでも意見交換を行っている余裕はないと考えますが、現在の進捗状況と今後のスケジュールについてお伺いいたします。 次に、地域の住民には、既存病院の機能がどうなるのかという不安があり、積極的な情報提供や、繰り返し丁寧に説明することが重要と考えます。 私は6月定例会においても、コロナ禍の中で説明会の開催が困難であれば、分かりやすいイラストを入れたチラシ等を作成し、市町村の協力を得た上で広報紙などとともに戸別配布することも一案ではないかと提案をさせていただき、前向きな御答弁を頂いたと認識しています。 その後、市町村との協議はなされたのか、市町村との協議の上、導き出された丁寧な説明と情報提供が県のホームページで公開されているユーチューブでの発信だったのか、そのプロセスについて疑問を感じているところです。 今年9月、県立病院の運営主体が医療法人に変わった場合、外来機能を心配する声があるがとの地元紙による取材に対して、病院局長は、今より悪くなることはあり得ない。確実に医療水準を上げたい、そのための手段ですと回答している記事が掲載されていました。 私は、間接的には報道が伝えることになったとしても、本会議のような公式の場面で答弁として発言されれば、地域住民への大変心強いメッセージになると同時に、安心感につながるのではないかと考え、改めて質問します。県央地域の医療再編における民間活力を生かした運営の必要性と、再編後の地域密着型病院における外来機能について、病院局の方針をお伺いするとともに、今後の住民理解に向けた取組の方向性を併せてお伺いいたします。 次に、新潟県歯科医師会では、歯科疾患が重症化しやすく、かつ口腔機能に問題を抱えることが多い障害者や介護を必要とする人が適切な時期に必要な医療を受けられるために、新潟県歯科保健推進条例の基本理念に基づき、新潟県歯科医師会認定障害者診療医養成事業を行っています。 本県における障害者等の歯科診療に対する支援体制の考え方と現状をお伺いいたします。 また、障害を持つ方や介護を必要とする方及び医療的ケア児に対する歯科診療の拠点として、県内には障害者歯科診療センターが新潟市と上越市に設置されていると仄聞します。 広域な本県において、中越地区が空白となっていることから、県央地域の医療再編の進むこの時期に、県央圏域内に障害者歯科診療センターの増設を検討してはどうかと考えますが、所見をお伺いいたします。 最後に、県政の諸課題についてお伺いします。 新型コロナウイルスの感染者数は、現在、国内や県内においても、ワクチン接種の進捗などにより、落ち着いた状況となっておりますが、将来の感染再拡大の可能性に備え、引き続き最大限の警戒が必要と考えます。 今後の感染状況について、11月上旬の報道ではありましたけれども、内閣官房のCOVID-19AI・シミュレーションプロジェクトに参加する名古屋工業大学の平田晃正教授は、人工知能、AIによる分析の結果、12月から感染者数が再拡大し、年明けの1月中旬頃に第6波のピークを迎えると予測し、警戒を呼びかけていました。 同教授は、12月になるとワクチンの効果が薄れ、年末の飲食の機会が増えることから、そこで一定程度広がったものが、年末の帰省の際にさらに広がるというような構図が見えているとコメントしています。 このため、政府は先月12日、今冬の流行が懸念される第6波に備え、最悪の事態を想定した総合対策の全体像を決定したところではありますが、新たな変異株であるオミクロン株による国内初の感染者が先月30日に発生し、世界中で感染者が確認される状況となっており、感染力や重症化リスクは不明ですが、今後、社会経済活動への影響も懸念されると同時に、第6波への危機感は非常に高まってきております。 そこで、お伺いします。 新型コロナウイルスの今後の感染拡大に備えた対策として、医療提供体制の観点から病床の確保と臨時の医療施設の整備、自宅・宿泊療養者への対応、医療人材の確保、ITを活用した稼働状況の見える化について、本県の取組方針をお伺いいたします。 また、新型コロナワクチンの3回目接種に関して、国は12月から接種を開始し、追加接種対象者のうち、希望する全ての方が受けられるよう体制を確保するとしていますが、市町村が行う集団接種や企業、大学等の職域接種に対して、県はどのような支援に取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、警察庁では事件、事故及び火災の現場に居合わせた人からの110番通報を受ける際、スマートフォンで撮影した映像等を送ってもらう通報システムを、今年度から全国の警察で導入するという報道がありました。 迅速かつ的確な初動警察活動に効果があるものと大いに期待されますが、この取組の概要及び本県における検討状況をお伺いいたします。 また、スマートフォンを活用した通報システムは、通報者の送信する映像や画像に、負傷者の個人情報やプライバシーに配慮しなければならないものも含まれている可能性があります。映像等の保存や公開には相当な留意が必要になるとともに、撮影者の安全確保も含めた相当の周知が必要と考えます。 これらの課題についての所見をお伺いするとともに、しっかりとしたガイドラインに基づく取組の実施が重要と考えますが、併せて所見をお伺いいたします。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 保坂議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、伝統的工芸品産業の現状と振興策についてでありますが、本県は、全国有数の伝統的工芸品産地であり、長い歴史や風土に根差した特色ある技術などを、大切な地域資源として守り、継承していくことが必要と考えています。 一方、ライフスタイルの変化に伴う需要の減少や、製造に必要な原材料の不足、従業者の高齢化など様々な課題があり、議員御指摘のように、伝統的工芸品産業は厳しい状況にあると認識しています。 県といたしましては、産業の魅力や製品の付加価値を高めるため、今後とも関係機関と連携しながら、産地が取り組む新商品開発や人材育成等に対し、必要な支援を行ってまいりたいと思います。 次に、伝統的工芸品の技術の伝承についてでありますが、本県では、村上市や長岡市において、伝統的工芸品である羽越しな布や越後与板打刃物の技術伝承に向けて、地域おこし協力隊を活用した後継者の育成が行われております。県といたしましては、こうした協力隊の活動を積極的に情報発信し、地方での働き方や暮らしに関心のある人たちから本県が選ばれるように取り組んでまいりたいと思います。 また、伝統工芸の専門知識等の習得希望者への支援に当たっては、産地の状況やニーズも踏まえつつ適切な情報提供に努めながら、引き続き、産地の組合や事業者が実施する技術継承や人材育成の取組を支援してまいりたいと考えています。 次に、子供支援についてお答えします。 まず、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームによる提言についてでありますが、歯止めのかからない出生数の減少に対して、実効性の高い対策を講じる必要があり、さらに、新型コロナウイルス感染症拡大による子供たちへの影響が懸念される中、全ての子供たちが幸せを実感しながら健やかに育つことができる社会を目指していく必要があります。 こうした課題に対応していくため、本提言では、子供関連政府支出の拡大とそれに伴う制度の充実、子育てに対する不安の軽減や困難な環境にある子供への支援強化などが盛り込まれております。 少子化を克服し、日本の子供たちがより健全に、そして健やかに成長していけるよう、本提言を踏まえ、国においてしっかりと対応していただきたいと思います。 次に、ヤングケアラーへの支援等についてでありますが、本県における実態調査結果では、世話をしている家族がいると回答した生徒の割合は、中学生6.8%、高校生では3.2%となっており、その中で宿題や勉強をする時間が取れない、自分の時間が取れない等の回答が約2割程度ありました。 今回の調査により具体的な困り事を抱えた子供が一定数いることが明らかになったことから、早急に支援体制を整備し、支援につなげる必要があると改めて認識したところです。 また、検討会議では、本県のヤングケアラー支援に関する基本的な方向性として、福祉、教育等関係機関における支援策の充実・強化、社会的認知度の向上、身近な地域での早期発見・把握、及び適切な支援につなげる体制の構築に重点的に取り組むべきとの意見を取りまとめております。 県といたしましては、これらの意見を踏まえ、さらなる関係機関での研修や早期発見のための広報啓発など、地域全体で見守り、支援につなげる体制の構築を早急に図ってまいりたいと考えております。 次に、アレルギー疾患対策における子供とその家族に対する支援についてでありますが、厚生労働省では、主治医から学校医等への情報提供を診療報酬の対象とすることで、保護者の負担軽減を図るとともに、医師と学校側の連携を促して子供の健康を守る観点から検討を行っているものと認識しております。 本県では、アレルギー疾患を有する子供とその家族が安心して生活できるよう、乳幼児健診の機会を捉えた保護者への適切な情報提供や相談等の支援のほか、学校等において児童生徒のアレルギー疾患に関する情報を正確に把握するなどの取組を行っているところです。 また、議員御指摘のアレルギー疾患対策を推進するための計画については、家族も含めた適切な情報提供や専門医をはじめとする関係者間の連携といった課題に対応しつつ、年度末までに策定してまいります。 今後とも、国の動向を踏まえつつ、市町村や関係機関等と連携をし、子供とその家族への支援体制を強化してまいりたいと考えております。 次に、データベース活用による子供の貧困や虐待対策についてでありますが、問題を抱えながら声を上げられない子供たちを見つけ出し、支援につなげていく上で、子供に関するデータベースの活用は有効な手法の一つと認識しております。 国の研究会では、令和4年度に実証実験の後、令和5年度から全国展開及び導入支援を行う予定とあり、現在は、データベースに入れる項目や支援の必要性の判定方法、個人情報共有の在り方やデータベースを取り扱う組織及び職員の範囲等について検討を続けていると聞いております。 県といたしましては、引き続きこれらの議論の状況を注視していくとともに、今後の実証実験や関係省庁の動きについても情報収集に努めてまいります。 次に、地域共生社会の実現に向けた県の取組についてでありますが、地域共生社会の実現に向けては、制度や分野ごとの縦割りや支え手、受け手という関係を超えて、地域住民や多様な主体が参画しながら、地域を共に創っていく必要があると認識しております。 そうした中、地域共生社会の実現を目指し、本年4月に改正社会福祉法が施行され、市町村が地域住民の複雑化・複合化した課題に対応していくため、包括的な支援体制を整備する重層的支援体制整備事業が創設されたところです。 県内の市町村においても事業実施に向けて検討が進められているところであり、議員御指摘の介護と育児を同時に抱え就業が困難なケースに対してもワンストップで支援が可能になるものと考えています。 県といたしましては、市町村において円滑に支援体制の整備が進むよう、本年6月に事業説明会を開催し、先行事例の共有や意見交換を行ったところであり、今後とも、市町村職員への研修などを通じて地域共生社会の実現に向けて支援してまいります。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、今後の感染拡大に備えた対策についてでありますが、病床の確保については、今後、感染力が2倍となるような感染拡大にも対応できるように、このたび98床増床しまして653床確保したところです。 臨時の医療施設については、感染ピーク時に入院先が決定するまでの一時的な受入先として、入院が必要な患者に酸素投与等を行う入院待機ステーションを長岡市内に設置することとし準備を進めております。 自宅・宿泊療養については、感染ピーク時に症状変化に対応できるよう、オンライン診療担当医の増員やバックアップを行う病院による医療相談体制の整備を進めるとともに、宿泊療養施設の稼働率向上と新規開拓に努めております。 医療人材の確保については、重症患者に対応する看護師派遣の強化や各医療機関の連携によりICUに従事する看護師の相互派遣などを行うとともに、平時から看護職員の確保に取り組んでおります。 見える化のための病床使用率の公表については、既に全病院から承諾を頂いているところであり、今後、適切に受入れ状況を公表してまいりたいと考えております。 県といたしましては、医療関係者や市町村等と連携をしながら、引き続き医療提供体制の強化に取り組んでまいります。 次に、新型コロナワクチンの3回目接種に関する支援についてでありますが、1回目、2回目の接種では、県としては、広域的な視点で市町村を支援することが役割とされたことから、ワクチン流通体制の整備などの広域事務を担うとともに、医療従事者のマッチングや大規模接種会場の設置などにより、市町村を支援してまいりました。また、職域接種については、経費の支援や相談・助言を実施してきたところです。 今後とも、市町村に対する支援として、ウェブ上での情報交換を通じたノウハウの提供や医療従事者のマッチングなどに取り組むとともに、職域接種については、希望する企業、大学等が3月から開始できる方針を国が示しているところであり、引き続き円滑な接種に向け支援をしてまいります。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 6点お答え申し上げます。 児童虐待相談対応の現状等についてでありますが、議員御指摘のとおり、令和2年度の児童虐待相談対応件数は、全国では、前年度比で6%増で推移しておりますが、本県を含む18県が前年度比で減少となっております。 本県においては、前年度比4%減少となっており、学校等の休校や外出自粛が継続した中で、子供の見守り機会が減少したことが要因の一つであると考えております。 なお、本県の主な虐待種別ごとの割合については、面前DVを含む心理的虐待が約60%、身体的虐待が約25%、ネグレクトが約15%であり、全国同様の傾向となっております。 国は、児童相談所の体制強化について、児童虐待防止対策体制総合強化プランを策定し、具体的な数値を掲げて都道府県に対して体制強化を求めており、本県においても、平成29年度以降、児童福祉司等専門職を41名増員したところでありますが、今後も必要な人員を確保するとともに、各種専門研修への参加やOJTによる職員の資質向上、経験のある職員の適切な配置などにより、専門性の強化にも努めてまいります。 次に、特別児童扶養手当の判定事務についてでありますが、新潟県においては、県と新潟市が判定事務を行っており、県と新潟市の人口1万人当たりの申請件数は、全国平均と同程度である一方で、認定率は県が97%、新潟市は95%と、全国平均の90%に比べ高くなっております。 判定事務については、国の通知等に基づき行っておりますが、新潟市も参加する担当者研修を毎年実施し、情報共有や事務の適正化を図っており、今後も新潟市と連携しながら適正な判定事務に努めてまいります。 次に、県央基幹病院の医師や看護職員等のスタッフ確保についてでありますが、現在、県が中心となって、医療系メディアをはじめ、ユーチューブライブ、募集パンフレットなどを活用し、県内外に向けて、県央基幹病院の魅力や燕労災病院における段階的な救急の拡充に向けた取組等の発信に取り組んでおります。 その一環として、全国の若手医師等を対象としたオンライン海外留学支援制度の説明会を先月行ったところです。 参加した医師からは、この制度が将来の自らのキャリア形成にどのように生かせるかなどについて関心が示されており、特に興味があると示された方とは個別に面談を行うなどの対応を進めているところですが、改めて、医師等のキャリア形成に貢献できる体制を構築していくことが重要であると認識したところです。 今後、運営主体である新潟県済生会と共に、県央基幹病院の開院に向けた地域医療の現場経験がキャリアパスにつながる環境や、働きやすい環境を整備し、それらの魅力等を伝えることにより、医師の確保につなげてまいりたいと考えております。 次に、県央基幹病院における総合的な診療を行う医師の育成についてでありますが、人口構造の変化に伴い増加する75歳以上の高齢患者は、複数の疾患を持ち、多様な症状があることから、ER救急を担う医師や総合的な診療を中心的に担う医師を確保するとともに育成していくことが重要であると考えております。 燕労災病院では、ER救急、外傷再建外科、総合診療の専門の医師を既に確保したところですが、現在、これらの医師と共に、臨床研修内容の磨き上げやオンライン海外留学の支援など教育研修体制の充実を図っているところです。 このような環境の中、ER救急の立ち上げの一員となって病院と共に成長できるという県央基幹病院の魅力を、全国の医師・医学生に伝え、キャリア形成を目指す多くの若手医師の確保・育成につなげてまいります。 次に、障害者等の歯科診療に対する支援体制の考え方と現状についてでありますが、県では、障害児・者の方が身近な地域で望む医療が受けやすい環境整備を目指し、平成22年度から新潟県歯科医師会認定障害者診療医養成事業において、地域の障害者診療を担う歯科医師の養成を行っており、現在74名の認定障害者診療医が登録されています。 また、障害者等は自力で十分なセルフケアができないことが多く、歯科疾患のリスクが高いため、口腔ケアを手助けする施設職員等への指導を行うとともに、施設において歯科健診を実施し、必要な治療につなげるなどの取組を行っているところです。 県といたしましては、引き続き、認定障害者診療医の養成や障害児・者等に対する歯科保健対策に、しっかりと取り組んでまいります。 次に、県央地域の障害者歯科診療センターの設置についてでありますが、議員御指摘の障害者歯科診療センターについては、県内では、新潟市に次ぎ、今年4月に上越市においても、地元歯科医師会の主導で設置されたと承知しています。 障害を持つ方や介護を必要とする方、医療的ケア児に対する歯科診療は、重要であると認識しております。県央地域においては、近傍に新潟大学医歯学総合病院や日本歯科大学新潟病院などの高次医療機関があり、医療機関の適切な役割分担の観点や、地域における障害者歯科診療のニーズ、認定障害者診療医の登録状況などを踏まえ、市町村など関係者の意見を聞きながら研究してまいりたいと考えております。   〔産業労働部長佐野哲郎君登壇〕 ◎産業労働部長(佐野哲郎君) 3点についてお答えいたします。 まず、工芸職人養成大学校の設置についてでありますが、事業規模が小さく、製造に必要な技術や技法が多岐にわたる伝統的工芸品の継承者育成に当たって、県では、これまで国や関係機関と連携しながら、産地主導による研修会の開催や、認定職業訓練校における職業訓練など、産地の実情も踏まえた支援を行ってきたところであります。 議員御指摘の大学校の設置につきましては、運営を含め費用対効果を考慮しながら慎重に検討する必要があると考えておりますが、いずれにしましても、県としましては、歴史と伝統を有する伝統的工芸品が地域を支える産業として次代に引き継がれるよう、産地のニーズに即して支援をしてまいりたいと考えております。 次に、NIIGATA1〇〇の評価と今後の期待についてでありますが、議員御指摘のとおり、この店舗は昨年9月にオープンし、新型コロナウイルス感染症の拡大により対面での顧客対応が十分にできない状況の中、SNSによる情報発信や、角打ち体験など、創意工夫を凝らした取組を続けておられます。 昨年8月には、NICOと県産品の魅力発信に関する連携協定を締結したところでございまして、首都圏における県産品のプロモーションや販売において大きな役割を担っていただいていると評価をしております。 県としましても、先月、ネスパスで開催した新潟プレミアサロンでNIIGATA1〇〇を紹介したところであり、今後とも、首都圏におけるほかのアンテナショップとも連携し、観光も織り交ぜながら、県産品の魅力を首都圏の消費者に届けていただきたいと考えております。 次に、就職内定率と新型コロナウイルスの影響下における学生の就職活動支援についてでありますが、新潟労働局によりますと、県内大学の令和4年3月新規卒業予定者の就職内定率は、10月末現在で64.7%と、前年同月比で4ポイント上回っております。 また、就職活動支援については、新潟労働局と連携して設置しているジョブカフェや、新卒応援ハローワークにおいて、オンライン化が進む就職活動のノウハウなどのセミナー開催や、面接指導などを実施しております。 加えて、オンラインでの就職活動は常態となりつつあり、採用する企業側にも対応が求められることから、今年度、県内企業のオンライン採用の導入を支援しているところであり、引き続き若者の県内就職促進に向けて、しっかりと取り組んでまいります。   〔観光局長妹尾浩志君登壇〕 ◎観光局長(妹尾浩志君) お答えいたします。 伝統的工芸品等を活用した観光振興についてでありますが、地域に伝わる工芸品は、その土地の歴史や暮らし、風土を背景に受け継がれてきたものが多いことから、ストーリー性を持った発信が可能であり、これらの産地を組み込んだ観光ルートの開拓や商品開発により、周辺地域における経済活性化が期待できるものと考えております。 また、旅行消費単価の高い欧米を中心とした外国人観光客の間で、日本の伝統文化に対する関心やニーズが高まっていることから、地域の特色ある工芸品に関する体験メニューの充実を図ることで、本県への誘客や域内消費額の増加につながるものと考えております。 県といたしましては、関心を有する地元市町村や関係者と連携しながら、体験型コンテンツの開発や受入れ体制整備を支援するなど、伝統的工芸品等を活用した観光振興に努めてまいりたいと考えております。   〔病院局長藤山育郎君登壇〕 ◎病院局長(藤山育郎君) 2点についてお答えいたします。 まず、加茂、吉田病院の公設民営に向けた進捗状況等についてでありますが、運営に関心をお持ちの法人と意見交換を重ねることを通じて、公設民営により効果的で効率的な運営が見込めるとの考えに至ったことから、本定例会に加茂、吉田病院の指定管理を可能とする条例改正をお諮りしているところです。 民間ノウハウを効率的に生かすためには、県央地域の医療再編に伴う機能転換に合わせた民間運営への移行が基本となると考えており、議員御指摘のとおり、運営移行に向けて十分な準備期間の確保が必要であることから、早期に指定管理者を選定できるよう進めてまいります。 次に、県央地域の医療再編後の病院運営の在り方等についてでありますが、医療再編により、加茂、吉田病院は地域密着型病院として高齢者医療を中心とする役割を担うこととなりますが、公設民営により、これに適する民間ノウハウを生かした効果的、効率的な病院運営に加え、介護関連の取組を通じた医療と介護のより一層のスムーズな連携も期待されます。 また、外来機能については、先日開催された県央地域医療構想調整会議において、現状の診療科目を基本に地域に必要な外来機能を維持すると整理されたところであり、県央基幹病院をはじめ、医療機関等と連携しながら、医療需要に適切に対応していけるよう取り組んでまいります。 こうした医療再編の内容や運営の在り方などについて、住民の方から御理解いただくことは重要と考えており、これまで議員から御提案のあった市町村広報紙の活用なども含め、地元市町村等と連携し、地域住民への情報発信や、分かりやすい説明の機会の確保に努めてまいります。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 2点についてお答えいたします。 子供たちの伝統工芸に触れる機会についてでありますが、新潟県教育振興基本計画では、ふるさとの自然や歴史、文化等の学びを通じて、郷土を愛する心を育み、郷土への貢献意欲を高めるための取組を行うこととしております。 小中学校では、社会科や総合的な学習の時間で、伝統産業や伝統工芸の調査及び体験学習等を実施し、高等学校では、芸術の授業で、地域の伝統工芸や伝統芸能の鑑賞や実演などを行っております。 子供の頃から伝統工芸に触れることを通じて、地域を知ることは、豊かな感性を育むとともに、郷土への貢献意欲にもつながることから、引き続き機会の確保に努めてまいります。 次に、不登校及び自殺者数の推移と今後の対策についてでありますが、本県における不登校の児童生徒数は、平成28年度から増加傾向にあり、令和元年度は2,780人、令和2年度は3,112人となっております。不登校の原因として、最も多いのは無気力や不安、次いで家庭環境、友人関係、学業不振となっております。今後も、子供や保護者とのきめ細かな面談や家庭訪問を徹底し、不登校の発生と長期化防止のための取組を進めてまいります。 また、本県における児童生徒の自殺者数は、近年4人程度で推移しております。自殺の原因や動機は複合的で特定は難しく、国の調査でも不明が最多であり、次いで親子関係、学業や進路の悩みとなっております。今後は、学校生活の様々な場面で教職員が子供の発するSOSのサインを見逃さないよう自殺予防教育プログラムの拡充を図るとともに、自殺予防ツールRAMPS設置校の拡大に努めてまいります。   〔警察本部長村田達哉君登壇〕 ◎警察本部長(村田達哉君) 2点についてお答えいたします。 110番映像通報システムに係る取組の概要及び県警察における検討状況についてでありますが、110番映像通報システムは、110番通報者から協力を得て、事件、事故等の発生現場の状況を撮影して送信していただくことで、現場の状況を本部通信指令室において映像として視覚的に把握するとともに、速やかにこの映像を警察署や現場警察官等へ配信して共有することが可能となるものです。 本システムについては、警察庁から令和4年9月から全国一斉に運用を開始する予定であると聞いており、県警察といたしましては今後、円滑なシステムの運用開始に向けて諸準備を進めてまいります。 次に、110番映像通報システムの課題等に関する所見についてでありますが、議員御指摘のとおり、通報者から送信していただく映像に係る個人情報やプライバシー及び撮影者の安全確保については考慮しなければならない課題であると認識しております。 県警察といたしましては今後、警察庁から示される本システムに関する運用要領等を詳細に理解し、習熟に努め、これらの規定にのっとって適切に対応してまいりたいと考えております。 ○副議長(小島隆君) 保坂裕一君の質問は終わりました。 次に、高見美加君の発言を許します。高見美加君。   〔高見美加君登壇〕(拍手) ◆高見美加君 自由民主党の高見美加です。通告に従いまして質問をさせていただきます。 質問の1点目は、農業施策についてです。 農業者の高齢化、減少に歯止めのかからない現状を受け、農林水産省は、令和4年度予算概算要求において、新規就農者育成総合対策の事業スキームを大幅に見直し、令和5年までに40代以下の農業従事者40万人への拡大を目標に、経営開始の支援として新規就農者に対して、最大1,000万円を日本政策金融公庫が無利子融資の上、その償還金を国と地方が支援、雇用就労への支援として、雇用元の農業法人に対して最長5年間で最大396万円を助成、研修生への支援として研修期間中の最長2年間で最大312万円を助成することで、新たな農業者の経営安定化や長期定着を後押しするとしております。 従来の全額国負担から、新たな支援策は自治体負担を求める仕組みとなっており、目的に異論はないものの、各自治体の財政力によって支援に差が生じることが懸念され、国との調整が必要であると認識しております。 担い手確保は本県にとっても喫緊の課題であると認識していますが、国の事業見直しに対する県の受け止めと今後の取組方針について伺います。 本県では、野生イノシシの生息域が拡大を続けており、広範囲に被害が及んでいます。取組を強化し、捕獲頭数は年々増加しているにもかかわらず、昨年の農作物被害額は1億2,500万円で、前年の2.4倍以上となっており、さらなる対策を求める御意見を多数頂いております。 イノシシによる被害は、作物への食害だけではなく、耕地の掘り起こし、畦畔や水路を崩すなど農業基盤への被害もあり、また、ダニや寄生虫を落としたり、イノシシが入った田んぼの米は臭くなるとの声もお聞きしております。 加えて、野生イノシシは豚熱の感染を広げる可能性があります。本県では、これまでに42頭の感染が確認されており、養豚農場への感染リスクも懸念されております。 農作物被害低減及び豚熱対策強化に向けた今後の取組の方向性について伺います。 新型コロナウイルス禍で農林水産物の輸出額は引き続き好調を維持し、2021年1月から10月の輸出額は、対前年同期比プラス28%の9,734億円となり、1月から11月期で、長年の目標である1兆円突破が確実な見通しとなったとのことです。 国は、今後の対応の方向性として、品目団体の認定制度の創設、長期の運転資金など輸出事業の実施に必要な制度資金等を検討し、次期通常国会での輸出促進法の改正を目指すとしております。 本県でも新潟県産農林水産物輸出拡大実行プランの策定に向け、議論が続いていると承知しておりますが、これまで農産物の輸出は、日本国内の市場向けに生産したものを、高品質を売りにして、いかに海外の富裕層に高く売っていくのかというところに主眼が置かれてきましたが、現状では他の輸出国でも同様の農産物の品質や味も向上しつつあり、日本オリジナルの優良品種が流出し、他国生産のものが安く流通しているような状況下では、日本産というブランド力が通用しないとも言われております。 今後は富裕層だけでなく、中間層や一般の大衆層に向けたマーケティングも行っていく必要があります。 内需拡大が見込まれない中、日本にとって海外は有望市場であり、こうした層を取り込まない限り、今後、輸出の大幅な拡大は見込めないと認識しております。 そのため、国内市場向けの農産物の一部を海外向けに回すといった単純な発想はせず、海外輸出のチャンネルをしっかりと目標に据えた商品作りを緻密に行っていく必要があると認識しております。 そのため、輸出有望国をリサーチし、ターゲット国を絞った上で、相手方のニーズを踏まえた販路開拓等を支援していくことが重要と考えますが、知事の所見を伺います。 また、園芸品目の輸出拡大に向けて課題となるのは、確実なロットの確保、輸送手段の最適化であり、県主導で輸出に意欲的な生産者を中核とした広域的な産地づくりを推進するとともに、産地が輸出できるよう、相手国の輸入条件等への対応や輸送方法の検討を、行政、民間、関係団体が一丸となって支援するプラットフォームを形成し、強力に産地を後押しすべきと考えますが、知事の所見を伺います。 新たな働き手の確保につながる農福連携の取組は、障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけではなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、SDGs等の観点からも注目を集めております。 本県においても、さらなる推進を図っていくべきであると考えますが、特にノウフクJASは、その取組価値を見える化するための効果的な手法であると受け止めています。 県内の認証状況を伺うとともに、認証促進に向けた取組強化について所見を伺います。 森林の荒廃が、鳥獣被害や災害発生を助長しているのではないかとの地域住民の声があることから、森林整備計画の着実な進捗が必要だと考えます。 国は平成30年度より森林環境税及び森林環境譲与税を創設し、令和元年度より市町村に譲与税を配分したところであり、本税導入に対し、長年、山林への課題を抱きつつ、取組を進められなかった地域住民は、今後の取組に大きな期待を持っていると認識しております。 これまでの市町村の譲与税の活用状況について、県はどのように評価しているのか伺うとともに、さらなる有効活用に向け、県としてどのような支援を図っていくのか、知事の所見を伺います。 本県は素材生産や県産材利用の促進を図ってきたと承知しておりますが、他県に比べ丸太価格が安く、思うように林業振興が図れていないように感じております。 昨今の気候変動対策や持続可能な林業の発展のために、森林への投資は次世代に豊かな森林環境を引き継ぐことにもつながると認識しておりますが、現在、県が進めている新潟県森林・林業基本戦略の策定状況について伺います。 将来にわたり、本県の森林が、山地災害の防止や水源の涵養など、多面的機能の維持増進を図っていくためには、本県独自の森林環境税等の森林整備に必要な新たな財源の確保が必要だと考えますが、知事の所見を伺います。 農林水産省は、環境負荷を低減した生産体系への転換が急務であるとして農林水産業のグリーン化を目指して、みどりの食料システム戦略を策定し、農薬だけに頼らない総合的な病害虫防除であるIPMの推進を植物防疫法に位置づけるため、法改正を行うとともに、全国的にIPMへの転換を果たすための指針を国が策定する法案提出を次期通常国会で目指しているとのことです。 また、今回の経済対策では、生産者や地域ぐるみで化学農薬や肥料の低減、有機農業など環境負荷低減に取り組む水稲や野菜などの産地を創出するため、みどりの食料システム戦略緊急対策交付金を先行して創設すると報道されております。 今回のみどりの食料システム戦略に、ネオニコ系農薬削減という文字が載りました。やはり殺虫効果が高いネオニコ系農薬を、JAも農家も手放したくないというのが現場の本音であり、これに代わる対策の必要性があるとも承知しておりますが、現時点では禁止や規制の方向が世界の動きであることも事実であり、有機市場は国内外で成長が見込まれているという現実もあります。 このような動きを捉え、本県においても持続可能な環境保全型農業の実現、さらには、安全・安心な農産物の提供につながる化学農薬の低減の取組を強化・拡大すべきであると考えますが、知事の所見を伺います。 中山間地域の農業生産の維持・発展や地域の活性化に向け、令和2年度より中山間地域等直接支払制度の第5期対策が始まりました。 農地中間管理機構による農地集約化が加速する一方、農地の再分配から抜け落ちた条件が不利な中山間地の農地は、その地域の少子高齢化とともに耕作放棄が進んでおります。 昨年の県内の協定締結数は、一昨年より85協定減り、小さな農業法人も近い将来、農地の維持が困難になるとの声が日増しに大きくなっております。 第5期対策が始まり、体制整備のための前向きな活動として、集落戦略の作成が本格化したとされているものの、集落戦略は、地域の農地、農業施設等を将来にわたって維持していくため有効に機能しているのか、対策を話し合い、より深く地域の農地、農業施設、鳥獣被害等、農業に関する現状・課題を整理し、地域農業の将来像を描かなくてはなりません。 戦略策定に当たっては、行政からの働きかけやサポートが必要不可欠であり、県も市町村と連携して、強力に下支えすべきであると考えますが、県の取組方針について伺います。 県は、令和2年度までに経営環境が不利な中山間地域での公的サポートの拡充を国に提案するため、「公的サポート」モデル事業を実施いたしました。その成果をまとめ、国の制度や事業などに反映されるよう、国に提案する事業設計をしたとお聞きしております。 県の提案内容及び国の対応状況について伺うとともに、県独自でどのような対応を図ったのか伺います。 農林水産省は、令和4年度予算概算要求において、約102億円を掲げた農山漁村振興交付金の一部として農村RMO形成推進事業を新設し、2025年度までに350地域で、集落営農組織や農業法人のほか、自治会など多様な地域の関係者が連携し、農業振興と併せ、住民の買物や子育て支援を担うなど、多角的な事業を展開する農村RMO設立を目指すとのことです。 中山間地域等直接支払制度でも、農村RMO設立を目指す集落への加算を新設する方針であり、地域の課題や改善点などをNPO法人やJAなどと協力しながら、専門家の分析、移動車両、農地保全を担う人材とのマッチングなどの支援が期待されます。 人口減少などにより弱体化する集落機能を補完する役割を担うことが期待され、本県においても国の事業を活用しながら、農村RMOの育成を図っていくべきであると考えますが、知事の所見を伺います。 質問の2点目は、過疎対策についてです。 昭和45年以来、4期にわたり議員立法として過疎法が制定され、本県でも、直近では平成28年度から令和2年度までの5年の期間で、新潟県過疎地域自立促進方針や新潟県過疎地域自立促進計画が策定され、過疎対策に取り組んできました。 そして今年4月、旧法の失効を踏まえ施行された第五次の過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法で新設された前文では、過疎地域の役割や課題を、東京圏への人口の過度の集中により大規模な災害、感染症等による被害に関する危険の増大等の問題が深刻化している中、国土の均衡ある発展を図るため、過疎地域の担うべき役割は、一層重要なものとなっていると、明確化されました。 また、法の目的を過疎地域の自立促進から持続的発展に見直し、人材の確保・育成、情報通信技術の活用、再生可能エネルギーの利用促進等が目標項目に追加されるなど、旧法の考え方を基本として見直しが図られたと受け止めております。 これを受け、本年8月、本県では新潟県過疎地域持続的発展方針が策定されました。 これまで本県では新法制定に向け、国へ要望してきたと認識しておりますが、新法は要望が実現された内容になったのか、評価を伺います。 過疎地域等の持続的発展に向け、新過疎法に基づき措置されている過疎地域持続的発展支援交付金について、採択状況を見ると、長岡市山古志地域と阿賀町の2地域のみであり、過疎地の深刻さに対し、少ないと感じております。 過疎地域において積極的な取組が増えれば、必然的に本交付金の活用も増えてくると考えますが、過疎地域の積極的な取組の増加に向け、県はどのような取組や支援を行っていくのか、所見を伺います。 地域人口の急減に直面している地域において、農林水産業、商工業等の地域産業の担い手を確保するため、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律に基づく、特定地域づくり事業協同組合として、粟島浦地域づくり協同組合が県内で初めて認定されました。 これにより、労働者派遣事業を、許可ではなく、届出で実施することが可能となり、組合運営費について財政支援を受けることができるようになるとのことです。 本制度を活用することで、安定的な雇用環境と一定の給与水準を確保した職場をつくり出し、地域内外の若者等を呼び込むことができるようになるとともに、地域事業者の事業の維持・拡大を推進することができるものと期待しております。 今後、県内への波及が望まれますが、今後の取組方針について伺います。 県も各自治体も過疎対策に尽力いただいていることは承知しておりますし、多くの事業が示されているところでありますが、現実には、人口減少、少子高齢化は加速度的に進んでおり、それぞれの地域がコミュニティー力の低下を実感する実例が重なり、限界集落から消滅集落への道を確実に歩んでいると思わざるを得ないという悲痛な声も聞こえてきております。 残念ながら、全ての地域が持続的に発展する姿を描くことは困難であるのも現実です。消滅集落となった後の地域の姿をどのように想定し、事前に対応していくのかを考えなければならない時期に来ていると認識しております。 地域で納得いくまで話合いを進め、発展のために努力する地域と戦略的に撤退する地域を整理し、それに向け適切に支援していくべきであると考えますが、知事の所見を伺います。 このたびの衆議院議員選挙でも人口減少の進む中山間地、豪雪地などの条件不利地域での投票率が高い傾向は顕著でありました。これは政治に対する期待であると認識していますが、年々受益者が減少する過疎地域の防災・減災に資するインフラ整備や克雪対策に係る要望は山積しているにもかかわらず、事業実施に当たっての採択要件である受益者の減少などにより、新規採択が困難になっています。と同時に、地域から商店がなくなり、周辺の救急病院の再編統廃合や介護、福祉サービスを在宅や地域に戻すという方針への転換や、公共交通の減少により、道路整備はますますニーズが高まっているという状況になっております。 このような状況を県ではどのように受け止め、今後どのように対応していくのか、所見を伺います。 3点目の質問は、県政の諸課題についてです。 8年前に積極的な接種の呼びかけを中止していた子宮頸がんを予防するためのHPVワクチンについて、厚生労働省は、来年4月から積極的な接種勧奨を再開することを決定いたしました。 勧奨が再開されれば、自治体は定期接種の対象者に予診票を送ることになりますが、これまでの子宮頸がんに関するワクチンの勉強会、保護者や周辺の方々の反応に触れると、懸念や不安が払拭されていない方も相当おり、やはり、積極的勧奨中止の大きな要因となった、子宮頸がんワクチン接種による副反応と断定して繰り返された報道のインパクトの大きさを痛感しているところです。 県は市町村と連携し、子宮頸がんワクチンの接種に向けた正確な情報提供や積極的な呼びかけ、及び不安解消に向けた問合せ窓口の強化等を図るべきと考えますが、知事の所見を伺います。 令和2年3月に厚生労働省から発出された、新型コロナウイルス感染症の発生に伴う定期の予防接種の実施に係る対応についての中で、施行令で規定する接種時期に定期接種ができない相当な理由があると市町村が判断し、やむを得ず規定の接種時期を超えて定期接種を行った者についても、規定の接種時期に定期接種した者とみなすという規定を、この2年間、接種を控えていた世代に準用し、子宮頸がんワクチンを接種している市町村が他県にはあるとのことです。 子宮頸がんワクチンは、初交以前に接種することが効果的であり、接種を中止していた1997年から2005年までに生まれた女の子は、既に24歳に達している子もおります。迅速な対応が求められます。 本県においても、全ての市町村で準用するよう指導すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 また、報道によれば、接種機会を逃した人へのいわゆるキャッチアップ接種も来年度から開始される見込みとのことですが、県としてどのような対応を検討しているのか、併せて所見を伺います。 政府が閣議決定した自殺対策白書では、令和2年の全国の自殺者数は11年ぶりに増加し、男性自殺者が11年連続で減少する中、女性の自殺者は935人増加し、総数を押し上げました。 ただ、数としては男性の自殺者がいまだ2倍と圧倒的に多いことは指摘せねばなりません。 過去5年平均の自殺者数と比較すると、女性については、主婦、その他の無職者は減少しておりますが、被雇用者・勤め人が381人と大きく増加しております。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、飲食・サービス業など女性が多い非正規労働者の雇用環境の悪化が影響したことや、DVの増加、産後鬱の問題など、原因は複合的だと認識しております。 政府は、一次補正、二次補正で相談体制の拡充を図っており、自治体、民間の電話相談、SNS相談の相談員の拡充・増員等、対策に取り組んできたところですが、令和3年の自殺者数は、6月までは減少したものの、7月からまた増加に転じているとのことです。 本県の女性の自殺の現状を伺うとともに、現在の対策の効果と課題について伺います。 日本のシングルマザーの就業率は世界的に見ても高いと言われますが、それでも貧困率が高いと指摘されるのは、賃金が低いことなどによる就業実態が大きな要因であると認識しております。 コロナ禍でより問題が深刻化しているのではないかと推察されますが、独り親世帯への一時的な給付金支給などの支援では根本的な課題解決にはならないと認識しております。 県においては、現在、自立支援プログラムや職業訓練、ひとり親ジョブマッチにいがたなどの取組を進めていると承知しておりますが、繰り返される独り親家庭の貧困への指摘は、事業が当事者に確実に届いているのか、現行の事業効果をしっかり評価し、新たな事業の取組も模索する必要があると思います。 特に低所得が指摘されている母子家庭の親に対し、高等職業訓練促進給付金事業など就業に結びつきやすい資格取得を支援し、効果を上げているとお聞きしておりますが、それ以外のIT産業や建設業など、雇用が見込まれる県内企業への就業においても、必要なスキルを身につけ、安定した継続的な就業に結びつけることが重要であると考えます。 雇用を希望する企業と具体的に連携し、必要なスキルを養成することで、就業につなげる仕組みを構築してはいかがか、知事の所見を伺います。 フェムテックが注目されているそうです。フェムテックとは、フィーメールとテクノロジーを掛け合わせた造語で、女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品やサービスのことを指し、海外のスタートアップでは、生理痛の改善や月経周期の予測、妊娠中のQOL向上、不妊対策、更年期障害の改善、セクシュアルヘルス、女性特有の病気などのケアが取り組まれているとのことです。 フェムテックの市場規模は、2025年までに5兆円規模になると予測されております。 県では先日セミナーを開催したとお聞きしました。女性の健康のための支援にも、また女性による女性のためのビジネススタートアップのためにも、そして何より女性に選ばれる新潟県のためにも、有効な取組であると認識しております。 また、異業種とテクノロジーの融合によるビジネス創出のためのインセンティブなど、複合的な可能性を秘めています。 女性の雇用の場の確保にもつながるフェムテックビジネスを本県に取り込むことは、本県産業振興に有益であり、こうした女性の活躍が期待される分野における起業・創業の支援を強化すべきであると考えますが、知事の所見を伺います。 施行は2年以内とのことですが、本年4月公布の民法改正により、越境した枝の切除に関するルール、民法第233条が改正されました。 改正法により、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合において、竹木が共有のときは、各共有者は、その枝を切り取ることができるという規定が設けられました。 この規定によって、越境されている側の土地の所有者としても、共有者の一人に対し、枝を切除させることについての給付判決を得れば、代替執行の方法により強制執行することができるようになります。 県が管理する道路や河川、公共施設を適切に維持管理するために、本改正は有益であると受け止めていますが、知事の所見を伺います。 少子高齢化の中、空き家の増加は深刻な課題となっており、さらなる拡大が想定されます。 改正前民法では、相続の放棄をした者は、相続財産の管理を継続しなければならないとされていましたが、管理義務の発生要件や内容が明らかでなかったため、相続放棄をしたのに過剰な負担を強いられるケースがあると指摘されていました。 そこで、今回の改正法では、亡くなった方が所有していた住居などに実際に居住するなどしておらず、放棄のときに相続財産に属する財産を現に占有していなければ、財産保存義務を負わないことになるとされました。 少子化の中、将来は1人の子供が何軒もの家を相続しなければならなくなるとの課題も指摘されており、対応が求められてきましたが、一方で、これにより、空き家のさらなる増加や、保存されていない危険な空き家の増加が懸念されますが、県の受け止めを伺います。 先日、知事は5年後の開通を目指す国道289号八十里越の工事現場を視察し、広域観光周遊ルートができ、経済的交流は大きなインパクトがあると期待を持たれたとの報道に触れました。 40年もの長きにわたるこの工事が完成を見る中で、県内有数の観光地である弥彦方面への観光ルートのほか、長岡方面など複数ルートを設定することで、県内広くにその益を分配するよう取組を進めていただきたいとお願いをいたします。 国土交通省北陸地方整備局の八十里越事業の資料を見ますと、本事業効果として、通行不能期間の解消による交流促進に加え、救急医療や高度医療の機能を有する病院機能への所要時間の短縮が示され、県央基幹病院へのアクセス向上はもとより、長岡赤十字病院への救命救急体制の向上も示されており、本道路と長岡方面へのアクセスには親和性が高いと受け止めております。 今後は、本道路を有効活用した観光戦略を明確に描き、その実現に向け、県が主導的に、関係市町村との連携を図りながら、インフラ整備など準備を今から始めるべきと考えますが、知事の思いを伺います。 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 高見議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、国の新規就農者育成総合対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、概算要求では、地方自治体の大きな財政負担を求める内容が示されており、自治体の財政力によって支援に差が生じることを懸念しております。 このため、先般、国に対して、必要な予算の確保と併せて、新たな対策の制度設計については、地方の実情を踏まえて見直しを行うよう要望したところです。 県といたしましては、今後示される概算決定等を注視するとともに、これからの本県農業を担う新規就農者の確保・育成に向け、必要な予算の確保に努め、円滑な経営発展を支援してまいりたいと考えております。 次に、野生イノシシへの対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、イノシシの生息域は年々拡大しており、これまで農作物被害が少なかった地域でも被害が急増しております。 このため、県といたしましては、電気柵の活用ややぶの刈り払いなど、イノシシを寄せつけない対策を推進するとともに、ICTの活用等による捕獲の強化など、総合的に取組を展開することで、農作物被害の低減を図ってまいります。 また、豚熱対策につきましては、イノシシの捕獲の強化に加え、養豚農場へのウイルス侵入防止対策の徹底やワクチン接種の適切な実施などにより、発生防止に努めてまいります。 次に、輸出に係る販路開拓等の支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、所得水準に対応した販売促進や、輸出先のリサーチを踏まえたターゲット国の設定は重要であると考えており、これまでも、海外に拠点を持つ事業者との連携等により、現地のニーズを踏まえた販路開拓等を支援してまいりました。 また、現在策定中の新潟県産農林水産物輸出拡大実行プランの中で、流通事業者や商社等、海外市場に知見のある委員を含む有識者会議での意見を参考に、本県が強みを持つ輸出品目のターゲット国の設定と併せて、県の支援策を検討しているところであり、今後とも、相手先のニーズを踏まえた販路開拓等を支援してまいります。 次に、園芸品目の輸出拡大についてでありますが、議員御指摘のとおり、輸出に意欲のある生産者を中心とした広域的な産地づくりについて、関係機関等が一体となり、産地を後押しすることは重要であると考えています。 このため、これまでも、県がコーディネート役となり、産地や関係団体、流通事業者等と連携をした体制を構築し、輸出に意欲のある産地を支援してきたところです。 こうした取組を一層進めるため、現在策定中の新潟県産農林水産物輸出拡大実行プランにおいて、関係機関等と連携をし、輸出産地の育成のための推進体制を強化する方向で検討しており、生産、流通、販売までを一体的に支援することで、輸出に意欲的な産地づくりを促進してまいりたいと考えております。 次に、森林環境譲与税の有効活用についてでありますが、譲与税の配分開始から3年目となる今年度は、20市町村が、森林経営管理制度の下、森林整備計画の作成や間伐などに取り組んでおりますが、現時点では、大部分の市町村が森林整備の実施までには至っておらず、より計画的な取組が必要であると考えております。 今後、森林整備を計画的に進めるためには、専門職員が不足している市町村の実施体制の強化が課題となっていることから、市町村職員の森林整備に関する技術的な知見を深めていくことが重要であると認識しております。 県といたしましては、広域的・専門的な見地から、技術研修やアドバイザーの派遣など、市町村の実施体制の強化をしっかりと支援してまいりたいと考えております。 次に、森林整備に必要な新たな財源についてでありますが、森林整備と財源のあり方検討委員会においても議論されましたが、将来にわたり、本県の森林が、山地災害の防止や水源涵養など、森林の持つ多面的機能の維持増進を図っていくためには、議員御指摘のとおり、森林整備を進めるための財源の確保は重要と認識しております。 現在、持続可能な社会実現に向けた政策に係る検討委員会において、本県の発展のために進めていくべき新たな施策の一つとして、森林整備に関しても、森林吸収源対策等の新たな観点を加え、議論を進めているところです。 今後、この委員会において、こうした新たな施策についてさらに議論を深めるとともに、これに必要な財源の在り方等について議論していくこととしており、その中では、御指摘の財源についても、選択肢の一つとなるものと考えております。 次に、環境保全型農業の取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、化学農薬の使用量を低減するなど、環境への負荷軽減等に配慮した取組は重要であることから、本県はこれまでも、環境と調和した生産技術の確立や生産者・消費者への意識啓発などに取り組んできたところであります。 今後は、みどりの食料システム戦略の策定や法改正の趣旨も踏まえ、将来の世代に安全で快適な環境を継承できるよう、化学農薬の使用量を低減する取組を拡大するなど、環境と調和した持続可能な農業を一層推進してまいりたいと考えております。 次に、中山間地域等直接支払制度についてでありますが、過疎化・高齢化が進む中山間地域においては、集落での話合いを通じて将来像を明確にする集落戦略の作成と実践により、営農継続や集落機能の維持につなげていくことが重要と考えております。 このため、県といたしましては、集落戦略の作成を目指す全ての地区で取組が進むよう、市町村やJAなどと一体となった推進チームにおいて、地域の話合いのきっかけづくりや合意形成に向けて助言を行うとともに、営農体制の強化に向けた集落協定の広域化の提案を行うなど、継続的に支援してまいりたいと思います。 次に、農村RMOの育成についてでありますが、中山間地域での高齢化・人口減少の進行による集落機能の弱体化が全国的な課題となる中、国では、農業振興と併せて買物・子育て支援等の地域コミュニティーの維持に資する取組を行う、農村RMOの育成を掲げたものと承知しております。 県では、ビレッジプラン2030などの取組により、営農の継続と集落機能の維持に向け、将来プランの策定や活動の主体となる組織づくりなどを支援しているところであり、国が目指す農村RMOの育成は、まさに県の取組の方向と重なるものと考えております。 県といたしましては、市町村と連携をして、国の事業も活用しながら、活動全体として収益性を確保しつつ、地域の維持・発展に継続的に取り組む、モデルとなる農村RMOの育成を推進してまいりたいと考えております。 次に、過疎対策についてお答えをします。 まず、新たな過疎法に対する評価についてでありますが、議員御指摘のとおり、新たな過疎法では、過疎地域の公益的機能や持続可能な地域社会の形成といった過疎対策の理念が前文に定められ、旧過疎法より一歩踏み込んだ内容になっていると受け止めております。 県では、昨年度、関係市町村の意見を踏まえ、みなし過疎及び一部過疎を含めた現行過疎地域を、引き続き新法における過疎地域の対象とすること等について、他県とも連携して、国へ要望してまいりました。 その結果、新法では、みなし過疎及び一部過疎の枠組みが継続されるとともに、過疎地域の対象外となった市町村に対する経過措置が従前より拡充されたことなどから、本県の要望は一定程度実現したものと評価しております。 次に、特定地域づくり事業協同組合制度の県内への波及に向けた取組についてでありますが、本制度を活用することにより、過疎地域等において安定した雇用環境と一定の給与水準が確保され、若者等の定住につながることが期待されます。 そのため、県では、新潟県中小企業団体中央会と連携をし、粟島浦村の意向を踏まえつつ、各種手続や調整等の支援を行ってまいりましたが、その結果、先般、粟島浦地域づくり協同組合が県内第1号として、設立・認定されたところです。 現在、県内では、上越市や阿賀町において、組合の設立に向けた準備が進められており、粟島浦村の取組も参考にしつつ、県としても必要なサポートを行ってまいります。 また、これら先行事例に続く地域が出てくるよう、引き続き説明会等を開催し、周知を図っていくとともに、私からも様々な機会を捉え、本制度のメリット等を発信することで、市町村や事業者に対して積極的な活用を促してまいります。 次に、過疎地域に対する支援についてでありますが、過疎地域では人口減少と高齢化が進んでおり、集落機能の低下や生活サービスの減少などが生じる厳しい状況の中、議員御指摘のとおり、集落を維持しないと判断をするケースもあろうかと思います。 行政が主導する性格のものではないと思いますが、集落において十分な話合いをされた上でのそうした判断については、行政としてもしっかり受け止めていく必要があると考えております。 他方、東京圏への人口の過度な集中による問題が叫ばれている中、豊かな自然や歴史、文化を有する過疎地域が改めて見直され、移住者が増えている地域も出てきております。県としては、住み続けたいと思う人が住み続けられるよう、集落を維持していきたいという地域については、市町村と連携をし、サポートしてまいりたいと考えております。 次に、県政の諸課題についてお答えをします。 まず、HPVワクチンの正確な情報提供と相談体制の充実等についてでありますが、議員御指摘のとおり、HPVワクチンについて接種対象者や保護者の中に副反応などへの不安を持つ人がいることから、子宮頸がんが若い女性の健康を奪っているという事実や、副反応が起こる頻度、各国のワクチン接種状況などを正しく普及啓発することは重要であると認識しております。 県といたしましては、昨年11月に大学や県・市の医師会、小児科医会、産婦人科医会等とHPVワクチン接種に関する情報提供の在り方や接種後の体調不良を訴える患者を診療する医療体制について意見交換を行ったところです。その後も、国の方針を踏まえ、最新情報を関係機関で共有するなど、問題意識を持って取り組んでまいりました。 HPVワクチンについては、先月、国が積極的勧奨の再開について決定したばかりであり、今後の普及啓発等の詳細についてはまだ示されておりませんが、県としましては、引き続き国の動向を注視しながら、県民への普及啓発に努めるとともに、市町村や医師会等と連携をして、相談・医療体制の充実にしっかりと取り組んでまいります。 次に、HPVワクチンの定期接種を控えた世代への接種についてでありますが、議員御指摘のとおり、令和2年3月19日付国通知では、市町村の判断により新型コロナウイルス感染症の影響等によりやむを得ず接種時期を超えてワクチン接種を行った者も定期接種した者とみなすことができることになっており、市町村にその旨、通知したところですが、改めて県として国通知の趣旨などを丁寧に説明し対応を促してまいりたいと考えております。 また、接種機会を逃した人へのキャッチアップ接種については、現在、国の分科会での議論が始まったところであり、引き続き国の動向を注視しながら、市町村や医師会等と連携をし、適切に対応できるように努めてまいります。 次に、女性の自殺対策についてでありますが、令和2年の女性の自殺者数については、過去5年の平均値と比較して、全国では被雇用者・勤め人が最も増加している一方、本県では主婦が最も増加しており、被雇用者・勤め人についてはほぼ同数となっておりますが、自殺は、経済生活問題や勤務問題、介護疲れなどの要因が複雑に絡み合っていることから、様々な対策が必要と考えております。 県といたしましては、今年度新たに、新型コロナウイルス感染症の流行で不安やストレスを抱える方などに向けた専用相談窓口を設置するとともに、女性等をターゲットにしたユーチューブ広告、フリーペーパー等広報も活用して、こころの相談ダイヤルの周知に努めているところです。また、市町村等関係機関と連携をし、介護者等が必要な支援につながるような地域づくりにも取り組んでいるところです。 しかしながら、今年の女性の自殺者数は、10月までの状況では昨年より増加しております。このため、今後さらに、生活困窮者対象の専門家による相談会の開催や、包括協定企業との連携による相談窓口の周知を行うなど、自殺対策の強化を図ってまいります。 次に、母子家庭への就業支援の強化についてでありますが、議員御指摘のとおり、独り親の就業を促進していく上で、就職に有利な資格取得やスキルを身につけることは重要と考えています。このため県では高等職業訓練促進給付金事業により資格取得を支援しているところであり、今年度からは、情報関係の資格取得についても対象資格として拡充したところです。 また、新たに創設した独り親の就業バンク、ひとり親ジョブマッチにいがたにおいて、国の特定求職者雇用開発助成金などの制度を活用して、企業に就職しながら必要なスキルを身につける取組の促進を図っているところでもあります。 加えて、県立テクノスクールの職業訓練におきましても、独り親の受講に対する優先枠を設けるとともに、企業ニーズを踏まえて、IT分野のコースの充実を引き続き図ることとしております。 県といたしましては、こうした取組を組み合わせ、独り親の方が希望する企業へ就職することができるようきめ細やかな支援に努めてまいります。 次に、女性活躍が期待される分野での起業・創業支援についてでありますが、女性の健康問題やライフスタイルの課題などを、テクノロジーを用いて解決するフェムテックは、女性を対象とした幅広い分野での新たな商品やサービスであり、今後、市場拡大が期待されるものと認識しております。 こうした女性の活躍が期待される分野をはじめ、大きく市場拡大が見込まれる成長分野において、起業・創業支援を強化することは重要と考えています。 引き続き、県内スタートアップ拠点を中心に、関係機関との連携や新潟ベンチャー協会等とのネットワーク形成の強化により、大きく成長する起業家の輩出を目指してまいります。 次に、竹木の枝の切除に関する民法改正についてでありますが、道路等に越境してきた枝については、その所有者が切除することが基本であると認識しております。 一方で、改正民法の施行により、所有者が相当の期間に切除しない、あるいは所有者が不明な場合などにおいて、施設管理者が切除できるようになることは、事故の未然防止等につながり安全性が高まるものと考えています。 次に、国道289号八十里越の開通を契機とした観光振興についてでありますが、八十里越が開通することで、県央地域と会津地域が短時間で結ばれるほか、国道252号や国道49号などを通り、本県の魚沼、長岡、阿賀地域などを巡る大きな周遊ルートも想定されることから、県央地域はもとより、県内広域への誘客につながるものと期待しております。 県といたしましては、観光面での活用も視野に道路附属施設の整備を行うほか、八十里越沿線地域で進められている観光連携の取組を後押しするとともに、広域観光の推進の観点から、御指摘の弥彦・長岡方面を含めた八十里越を活用した観光ルートについて、開通に合わせて積極的にPRできるよう関係者と共に準備に努めてまいりたいと考えております。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 過疎地域における積極的な取組に向けた支援についてでありますが、過疎地域持続的発展支援交付金は、今年度、全国48地域が採択され、県内では、長岡市山古志地域において、地域資源等を発信するウェブ上のプラットフォームを構築する取組が、また阿賀町において、ドローンの実証飛行等を実施する取組が支援されているところです。 県といたしましては、このようなICTの活用や、地域における人材の育成など、地域課題の解決に向けた積極的な取組が進むことで、案件に応じて交付金など国の支援も活用されつつ、過疎地域の持続的な発展につながっていくものと考えております。 県では、市町村における地域課題の解決に向けて、市町村の企画部門及びICT推進部門と県の専門人材等との意見交換の実施や、地域おこし協力隊及び集落支援員を対象とする研修の実施などにより、市町村の取組を後押ししてまいります。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) 3点についてお答えします。 県内のノウフクJASについてでありますが、平成31年から開始されたノウフクJASは、議員御指摘のとおり、共生社会の実現などSDGsの達成に貢献する取組であると認識しております。 この認証制度は、農福連携で生産された農産品の価値化・見える化により、ブランド力を高める取組でありますが、消費者等の認知度が低いことや、農福連携に取り組む事業者からも十分に理解されていない面もあり、現時点では本県での認証取得はなく、全国でも19府県25事業者にとどまっております。 このため、47都道府県が参加する農福連携の全国ネットワークでは、国に対し、農福連携を国民的な運動として機運醸成を図るとともに、生産されたノウフクJAS商品等が着実に流通・販売・消費されていくための体制整備を進めるよう要望したところです。 県といたしましては、国と連携して消費者等の認知度向上を図るとともに、農福連携に取り組む事業者に対してノウフクJASの意義やメリットを周知し、一層の理解促進を図りながら、認証取得につなげてまいりたいと考えております。 次に、森林・林業基本戦略の策定状況についてでありますが、現在、森林・林業の関係者等を委員とする検討委員会において、森林資源を活用した林業の成長産業化や中山間地域の維持・発展に取り組む指針となる戦略の検討を進めていただいているところです。 これまでに、目指すべき将来像として、森林の多面的機能の発揮や、循環型林業の推進等が挙げられており、現在、その将来像に近づくための効果的な方策として、川上から川下までの関係構築や、地域の森林資源の利用拡大など、具体的な検討を進めているところです。 県といたしましては、今後策定する戦略に基づき、目指すべき将来像の実現に向けて、関係者と一体となって積極的に取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、「公的サポート」モデル事業の成果を踏まえた対応についてでありますが、県が令和2年度までに実施した「公的サポート」モデル事業により、非農家等が参画した営農体制づくりなどの取組が創出され、外部有識者からは、中山間地域の維持・発展には人材、地域ビジョン、活動のエンジンとなる組織が鍵となり、地域の主体的な取組には、自由度の高い助成金が効果的と評価されたところです。 これを踏まえ、県では本年度、国に対して、「公的サポート」モデル事業の成果を詳細に説明するとともに、地域の主体的な取組を後押しする自由度の高い支援策の創設などを提案したところ、次年度概算要求において、活動のエンジンとなる農村地域づくり事業体の形成に向けた支援策などが新たに示され、本県の取組の成果に沿った内容が一部盛り込まれたものと考えております。 また、県といたしましても、モデル事業の成果を踏まえ、今年度からビレッジプラン2030として、営農継続や集落機能の維持に向けた実効性のある将来プランの策定支援と、プラン実現に意欲的に取り組む体制づくりを全県で展開しているところです。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) 2点お答えいたします。 道路整備に対する受け止めと今後の対応についてでありますが、道路は、県民生活や経済活動を支える重要な社会基盤の一つであり、人口減少・少子高齢化が進展する中でも日常生活に欠かすことのできないインフラです。 このようなことから、冬季も含めた安全で安心な暮らしを確保するために、各地域における県民ニーズを考慮しつつ、すれ違いが困難な箇所や見通しの悪い箇所の解消に取り組むなど、道路整備を着実に進めてまいりたいと考えております。 次に、民法改正による空き家の増加への懸念についてでありますが、現行法では、相続放棄者が、管理に一切関与していない財産まで管理義務を負うことで、過剰な負担を強いられるケースがあるという議論を受け、今回の改正では、相続放棄時に現に占有している財産のみ、保存義務を負うことが明確化されたものと認識しております。 県といたしましては、空き家対策は重要なことから、改正民法の施行が空き家の増加に与える影響について注視しつつ、引き続き、市町村の空家等対策計画の策定を支援するとともに、早期の段階で空き家の整理が行えるよう、一般県民への意識啓発に努めてまいります。 ○副議長(小島隆君) 高見美加君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後3時4分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時20分 開議 ○議長(佐藤純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、市村浩二君の発言を許します。市村浩二君。   〔市村浩二君登壇〕(拍手) ◆市村浩二君 公明党の市村浩二です。 初めに、本年、新型コロナウイルス感染症との闘いに日夜奮闘していただいた医療従事者及び関係者の皆様に、心からありがとうございますの感謝を申し上げますとともに、新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方々の御冥福と、入院・宿泊療養中の皆様の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。 それでは、通告に従い質問を行います。 最初に、知事の政治姿勢について伺います。 まず、本県関係の国会議員に対する期待について伺います。 さきの10月31日投開票の第49回衆議院議員総選挙では、本県関係の国会議員が11名誕生しました。今回当選した衆議院議員を含む本県関係の国会議員に対し、今後、知事が新潟県の課題解決で特に尽力を期待する点について伺います。 次に、県民意見の県政への反映や若者との対話について伺います。 花角知事は就任以来、県民との対話を通じた県民最優先の県政を推進するため、これまで県内12市町村で、知事自らが出向き、地域が抱える課題等について、そのテーマに関連した活動を行っている現場の方々との率直な意見交換を行い、地域の課題について一緒に考えることを目的とした、知事と一緒に車座トークを開催してきたと承知していますが、県民意見の県政への反映を含め、この取組の成果について伺います。 また、現行の地域別の取組に加え、未来を担う若手事業者や学生など、若年層に限定した対話の機会を設けてはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、新潟県の魅力発信への取組について伺います。 知事の掲げる住んでよし、訪れてよしの新潟県を目指す上で、知事は県民自らが新潟の魅力を発信することの重要性を訴え、県民の自信・誇りを育む取組や県民の行動を後押しする取組を進め、具体的には、県民から新潟の魅力について主体的に考えてもらうきっかけをつくるため、専門家から必要な意見・助言をいただく、新潟の魅力を考える懇談会や、SNS等を活用して県民が魅力と感じていることを発信する「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」などの施策を進めてきたと承知していますが、これまで実施してきた新潟県の魅力発信の取組についてどのように評価しているのか、知事の所見を伺います。 次に、県行財政改革の取組について伺います。 昨年度に続き、県の財政状況や行財政改革の取組等について、県民へ説明し、理解を深めていただくための県行財政改革県民説明会が、本年11月に6つの地域で開催されました。 説明会は、会場参加のほか、オンラインを活用するハイブリッド型、さらにはサテライト会場を設けるなど、新型コロナ禍ではありますが、多くの県民に県の行財政改革の取組を伝えようとする知事の意思が感じ取れます。 そこで、開催後のアンケートや県に寄せられる県民の声等から、県民が現在の県の行財政改革への取組をどのように評価していると考えるか、知事の所見を伺います。 次に、公民協働への取組について伺います。 全国的に公民協働、PPPの取組が進む中、本県では、令和元年10月に、本県が抱える様々な困難な課題への対応やさらなる魅力づくりについて、行政と民間が率直に議論し、知恵を出し合って具体的な行動に結びつけていくため、県と市町村、経済界等で構成する新潟県公民協働プロジェクト検討プラットフォームを立ち上げ、本県の活性化に向けた議論が進められていると承知していますが、これまでの成果と今後の方向性について知事の所見を伺います。 また、本年10月には第4回会議が開催され、選ばれる新潟の実現がテーマであったと聞いていますが、知事の考える選ばれる新潟実現のための公民協働の在り方について伺います。 次に、2023年G7関係閣僚会合の誘致の取組について伺います。 新潟県と新潟市は、過去のG7関係閣僚会合等を開催した実績を生かし、ハイレベル国際会議を継続的に誘致し、2019年にはG20関係閣僚会合の誘致に共同して取り組み、新潟農業大臣会合の開催を実現してきました。 本年11月、新潟県と新潟市は、2023年G7関係閣僚会合の誘致へ名のりを上げましたが、誘致による本県へのメリット及び推進体制や今後の誘致活動について伺います。 また、現在、本県以外に栃木県と日光市、仙台市などが誘致を表明していると聞きますが、誘致実現への知事の決意について伺います。 次に、財政措置や制度改正等、国への県要望活動の成果について伺います。 県は、行財政改革行動計画において、安定的な財政運営に必要な地方税財政基盤が確保・充実されるよう、国に対し一般財源総額の確保及び補助金等の有利な財源を求めていくとしています。 知事は、これまで培った国とのパイプを生かし、自ら先頭に立って国への陳情や要望活動等を実施してきたと承知していますが、本県の要望に沿ったと考えられる財政措置や制度改正等について、知事の所見を伺います。 この項目の最後に、これまでの県政運営成果と明年の県政の展望及び決意について伺います。 知事は就任以来、行財政改革をはじめ国難とも言うべき新型コロナウイルス感染症対策など、県政に関わる難題に真摯に取り組んできたものと評価します。 明2022年のえとは、みずのえとら。みずのえとらは、陽気を孕み、春の胎動を助くとあり、冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力にあふれ、華々しく生まれる年になるという。このえとのように、感染症を乗り越え、県民一人一人が希望を持って新年を迎えてほしいと願うものです。 そこで、3年半の県政運営における具体的な成果と、それを踏まえた明年の新潟県政の展望及び決意について伺います。 次に、本県におけるSDGsの取組について伺います。 まず、行政としての本県のこれまでの取組と今後の事業展開へのSDGsの反映等について伺います。 持続可能な社会実現のため、17の目標と169のターゲットで構成されるSDGs、持続可能な開発目標への関心が高まり、県内においても様々な業界でSDGsの取組が進んでいますが、行政としての本県におけるSDGsのこれまでの取組について伺います。 また、今後見直しを予定する県の最上位計画である県総合計画や各種個別県計画にSDGsの目標やゴールとの関わりを明示し、個々の事業展開に反映させていくことは、県の施策・事業に対する県民の理解を促進する効果があると考えますが、知事の所見を伺います。 次に、新潟県SDGs推進建設企業登録制度の取組について伺います。 県土木部は、県内建設企業の人材確保・イメージ向上等を後押しするため、SDGsの達成に向けた取組を行う建設企業を登録し、その取組をPRする新潟県SDGs推進建設企業登録制度を本年9月に創設しました。 この制度創設の経緯について伺うとともに、10月より開始された第1回募集の現在の申込み状況と建設業界の反応、そして今後の登録促進のための周知方法について所見を伺います。 SDGsに関する本項目の最後となりますが、本県の学校教育におけるこれまでのSDGsの取組について伺うとともに、今後の取組の進め方や、どのような学習効果を期待するのか、教育長の所見を伺います。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 まず、国の新型コロナウイルス基本的対処方針の変更に伴う本県の対応と備えについて伺います。 国が感染状況を示す指標について、従来の新規感染者数などを全国一律の基準で評価した4段階のステージを、医療逼迫度に応じた5段階のレベルに変更し、緊急事態宣言発出はレベル3相当、蔓延防止等重点措置はレベル3または2相当で総合的に検討することになりました。 こうした国の方針を受け、県の方針や警報発令基準、医療提供体制をどのようにするのか、警報発令基準については去る11月30日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部会議での決定もありましたが、改めて知事の所見を伺います。 次に、3回目のワクチン接種の円滑な実施のための市町村支援体制について伺います。 今月から、3回目のワクチン接種がまず医療従事者から開始されました。1・2回目の住民接種の際に、一部市町村で発生した接種の予約受付等の混乱の教訓を踏まえ、3回目を円滑に実施するため、大規模接種や職域接種を含め県として市町村への支援をどのように行っていくのか、知事の所見を伺います。 次に、ワクチン・検査パッケージの活用と県実施の技術実証について伺います。 国は、11月19日、緊急事態宣言下でも、ワクチン・検査パッケージを適用した場合には、飲食店やイベントの人数制限は緩和すると基本的対処方針を改定しました。 一方、県は、この11月に国の採択を受け、宴会等の大人数でのワクチン・検査パッケージを活用した技術実証を実施したと承知しています。 技術実証に関わる国の分析評価に対する所見を伺うとともに、県民が安心できるワクチン・検査パッケージの活用や運用方法について、知事の所見を伺います。 新型コロナウイルス感染症対策の最後に、ワクチン医療健康相談内容の分析評価と予防接種健康被害救済制度の周知について伺います。 本県における新型コロナワクチン接種率は、11月29日時点で、12歳以上の県民約202万人のうち、1回目接種89.9%、2回目接種89.0%で、いずれも全国トップクラスであります。 多くの方の接種で、感染予防、発症予防、重症化予防のワクチンの3つの効果が発現され、感染が抑えられてきたと思いますが、一方で、接種後の副反応や健康被害に対する県民の安全・安心の対策・対応も不可欠です。 これまで県は、新型コロナワクチンの安全性や副反応などの相談窓口として、新潟県新型コロナワクチン医療健康相談センターを設置していますが、相談件数とその内容をどのように分析評価しているか伺います。 また、万が一健康被害が発生した場合、国の予防接種健康被害救済制度を分かりやすく周知すべきと考えますが、所見を伺います。 次に、防災・減災対策について伺います。 まず、本県が設置・所管する水管橋の老朽化の実態と対策について伺います。 本年10月、和歌山県和歌山市にある上水道の水管橋の一部が崩落し、6万世帯が約1週間断水しました。この水管橋は1975年の完成で46年を経過しており、橋と水道管をつなぐ部材が腐食し、破断したことが原因と見られます。 上水道の水管橋の設置者は原則として市町村でありますが、県内には県が設置・所管する下水道及び工業用水道の水管橋が複数存在すると承知しています。 これら水管橋の老朽化の実態について伺うとともに、今後どのように老朽化対策に取り組むのか、所見を伺います。 次に、インフラ分野のDXによる無電柱化の推進について伺います。デジタルトランスフォーメーション、以下DXと称します。 本年1月8日に秋田、山形、福島、新潟の4県では記録的な暴風と大雪に襲われ、複数の電柱が倒れ、真冬の大停電が起こりました。 また、令和元年に発生した台風15号により甚大な被害を受けた千葉県内では、2,000本もの電柱が倒壊し、道路の支障になったほか、停電が長期化する原因となりました。 このように、近年の大型台風や記録的な暴風雪により、本県を含む全国各地で多くの電柱が倒壊し、道路の支障や停電の長期化など甚大な被害が発生しています。 この課題を踏まえ、国土交通省も全国での無電柱化への対応を急ぐ考えを示していますが、本県における無電柱化の現在の進捗状況と今後の見通しについて伺います。 また、インフラ分野のDXとして、電磁波地中レーダーによる地下埋設物の三次元化技術を無電柱化事業に導入することにより、地下埋設物の位置情報を正確に把握することが可能となり、工期短縮やコスト削減が期待できると考えますが、このDXによる効率的な無電柱化の推進について所見を伺います。 防災・減災対策の最後に、原子力防災訓練と原子力災害時避難経路阻害要因調査の今後の方針等について伺います。 11月に実施した今年度の原子力防災訓練を振り返り、課題を含めたその総括について伺うとともに、昨年度実施の冬季避難訓練の課題も踏まえ、今後の原子力防災訓練の実施方針について、知事の所見を伺います。 また、本年11月19日に原子力災害時の渋滞箇所を把握し、対策を検討する目的で実施した原子力災害時避難経路阻害要因調査の結果が公表されましたが、この結果の活用方針について所見を伺います。 次に、県民の安全・安心について伺います。 鉄道施設内における安全確保対策について伺います。 今年に入り、東京都内の鉄道施設内で無差別刺傷事件が相次いで発生。8月6日には小田急線、10月31日には京王線で多数の負傷者が発生しています。 これらの事件は、犯人とは全く面識のない不特定多数の乗客に対して、刃物を使用した上、放火しようとした犯行であり、密閉された走行中の電車内で、遭遇した乗客は大変な恐怖を感じたことは容易に想像できます。 また、京王線の事件は小田急線の事件を模倣したとの報道もあり、今後も同様な事件が発生しないとは言い切れず、県内においても鉄道会社及び警察による何らかの対策が必要と考えます。 このような誰が被害者になってもおかしくない、不特定多数を対象とした事件を未然に防ぐため、県警察が行う鉄道施設における安全確保対策について伺います。 次に、観光・文化・スポーツ振興について伺います。 まず、観光文化スポーツ部への組織改正について伺います。 全国の都道府県の観光担当部局を調査したところ、現在、観光担当部局が文化・スポーツを併せて所掌している都道府県は11あり、観光分野と文化・スポーツ分野との親和性が高いと言えます。 県は、令和4年4月1日に現在の観光局に、文化振興課、文化行政課及びスポーツ課を移管し、観光文化スポーツ部に改組する方針を打ち出していますが、組織改正による効果と期待について、知事の所見を伺います。 また、本年3月に策定した新潟県観光立県推進行動計画において、文化やスポーツについても言及していると承知していますが、組織改正に伴い見直しを行う考えがあるのか伺います。 次に、アーバンスポーツの普及支援の取組について伺います。 アーバンスポーツとは、都市型スポーツのことであり、五輪競技として採用されたスケートボード、スポーツクライミング、BMXのほか、パルクール、インラインスケート、ブレークダンスなどが挙げられます。 東京2020オリンピックでは、新たに採用されたスケートボードが注目され、10代若者のメダル獲得の活躍もあり、子供たちの関心を高めました。 オリンピック後、新潟市の小中学生が市長に屋内スケートパークの設置を求め、2万人超の署名を提出するなど、本県においてもスケートボードやスポーツクライミングといったアーバンスポーツへの関心が若者を中心に高まっています。 県として、アーバンスポーツ普及に向けた施設整備や競技人口拡大に向けた取組について、知事の所見を伺います。 観光・文化・スポーツ振興の最後に、にいがたヘルス&スポーツマイレージ事業について伺います。 全国トップクラスの健康立県を目指す新潟県の取組である、にいがたヘルス&スポーツマイレージ事業について、本年9月1日の開始から3か月が経過しました。 主にスポーツ実施率の低い世代を対象に、楽しみながら運動や健康づくりに取り組めるよう、ウオーキング等の運動、スポーツイベントへの参加や健康診断の受診などの健康活動をスマートフォンアプリで見える化し、協力店舗で利用可能なポイントを付与するなど、インセンティブを設けることで、運動習慣の定着や健康づくりを推進する新しい事業と承知しています。 参加者数や協力店舗数など、これまでの利用状況と課題について伺うとともに、利用状況によってはより一層の周知を図るべきと考えますが、所見を伺います。 次に、デジタル化の促進とIT人材育成について伺います。 まず、デジタル格差解消のためのスマートフォン、略してスマホ講習会等のデジタル活用支援推進事業の取組について伺います。 社会のデジタル化が進み、オンライン診療や災害時の情報提供など、今やスマホは欠かせない生活インフラになりつつあります。 国は、60歳以上の5割近くに当たる約2,000万人がスマホを利用できていないと見込んでおり、総務省では、デジタル格差解消を図るため、高齢者等が携帯ショップなど身近な場所で、スマホによる行政手続や民間サービス利用の助言や相談などを受けられるデジタル活用支援推進事業を実施しています。 これまでに、県内では約30会場で実施されたと承知していますが、実施会場は主に携帯ショップのある15市のみとなっています。 こうした現状を踏まえ、県としても拠点となる会場提供や人材派遣、地域住民との協働による小学校単位での開催など本事業を強く後押しし、県民のデジタル格差解消を推進すべきと考えますが、所見を伺います。 次に、マイナンバーカードのさらなる普及策について伺います。 本県におけるマイナンバーカードの普及率は、本年11月1日時点で32.5%、全国39.1%と比べ遅れています。 今後、国が実施するマイナンバーカードの普及促進と消費喚起を目的とした最大2万円相当のマイナポイント付与の施策も踏まえ、県としてもさらなるマイナンバーカード普及策を講じるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、マイナンバーカードの健康保険証の利用について伺います。 本年10月20日からマイナンバーカードの健康保険証としての利用が開始されましたが、県内で利用を開始している医科・歯科医療機関、調剤薬局数は11月14日時点で186機関と、全体数が3,745機関であることを踏まえれば、いまだ5%しか利用できない状況です。 県民が健康保険証としての利用メリットを享受するためには、国による利用可能機関の拡大の取組と併せて、利用上のメリットを広く周知する必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。 最後に、IT人材の育成について伺います。 デジタル化を進めるためには、IT人材の育成が喫緊の課題であります。 本県では、希望する企業で働きながら学ぶIT雇用型訓練を3か月間受け、地元で正社員を目指すIT人材育成プロジェクトを実施していると承知していますが、訓練参加者数や参加企業及びマッチングの状況について伺うとともに、今後のIT雇用型訓練における人材育成目標数をどのように考えているのか伺います。 また、IT人材育成は、女性や障害者の就労支援施策としても有効であり、対象者を限定した取組も必要と考えますが、知事の所見を伺います。 質問は以上でございますが、最後に一言だけ申し上げます。 今季、アメリカ大リーグでエンゼルスの大谷翔平選手は、投手と打者、投打二刀流の活躍で全世界を沸かせました。 大谷選手はプロ1年目に、これは無理、絶対にできないといった限界を感じたことは一度もありませんと発言していますが、その大谷選手の愛読書は、日本資本主義の父、渋沢栄一の「論語と算盤」とのことであります。 渋沢栄一の玄孫、渋沢健氏はこうおっしゃっています。「論語と算盤」という目標を達成するために最も重要な要素とは何か。それは、「論語と算盤」のど真ん中の存在である「と」の力であると。「と」は、論語とそろばんのように、一見すると矛盾しているようなものを組み合わせることによって、新しいものを生み出す力と考えることができる。既に存在している状態を比べて進める「か」の力だけでは新しい創造はない。大谷選手の二刀流は、まさに「と」の力であり、我々に新しい感動を与えてくれたと。 この話を現在の新潟県政に置き換えた場合、新型コロナウイルス第6波への備えや新たな変異ウイルス・オミクロン株などへの感染防止対策と社会経済活動の両立は、困難な課題ではあるものの、新たな価値創造を生み出すチャンスであると考えます。 新しい年を県民が希望を持って迎えられるよう、花角知事のさらなるリーダーシップに期待し、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 市村議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、本県関係の国会議員への期待についてでありますが、議員御指摘のとおり、今回の選挙により本県関係の国会議員がこれまでより多くの11名誕生したことで、本県の実情や幅広い層の意見をより多くの切り口で国に発信していただけるものと考えております。 国会議員には、人口減少や財政問題、医療の確保、拉致問題といった、県だけでは解決できない様々な深刻な課題の解決や、地方の活力を維持、確保する地方創生の実現に向けた積極的な取組に期待をしております。 県といたしましては、国への要望や働きかけなど様々な機会を捉えて、国会議員と連携をして取り組んでまいります。 次に、知事と一緒に車座トークの成果と若年層との対話についてでありますが、県民最優先の県政の実現のためには、県民一人一人の声に丁寧に耳を傾け、対話を重ねていくことが重要と考え、就任以来、各地域で車座トークを実施してまいりました。 これまで12の市町村で、地域が抱えている課題に向き合って活動されている方々と率直に意見交換することにより、各地域の切実な課題を実感し、移住や関係人口づくりなどに関する新たな視点を得られるなど、政策形成や判断の上で大変意義があったと感じています。 また、地域の特産品の販路拡大や商品開発、課題の共有により地域の新たな取組が促進されるなど、活動の後押しにもつながったのではないかと考えております。 引き続き、車座トークを通じて県民の声に耳を傾けていくとともに、多様な視点やテーマによる対話を行っていく上で、若年層との対話についても検討してまいります。 次に、新潟県の魅力発信の取組の評価についてでありますが、本県の豊かな食や自然、文化などの様々な魅力について、県民の皆様に、改めて見詰め直し、誇りを持って外に向かって発信・表現していただくことが大事であると考えております。このため、新潟の魅力を考える懇談会で議論を深めていただき、その意見を踏まえ、「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」を実施してまいりました。 その結果、SNSによるフォトコンテストをきっかけとして、これまで延べ4万件の投稿がなされ、多くの県民の皆様から年間を通して発信していただけるようになりました。 その成果は、県外でのイベントやウェブサイトなどにおいても、県の魅力発信のために活用させていただいております。 また、県民による物語性のある発信についても後押ししていくため、実践事例や表現方法を学ぶセミナーにより記事執筆者の育成を進めており、県民による新潟の魅力発信の取組をさらに進めてまいります。 次に、行財政改革に対する県民の皆様からの評価についてでありますが、県民説明会参加者からの御意見やアンケート等においては、行財政改革の進捗状況に一定の評価を頂いた一方で、引き続き県民生活等への影響に最大限留意して改革に取り組むことを求める声も頂いております。 県では、これまでも、事業の見直しに当たり市町村、関係団体との丁寧な意思疎通を図ることや、国庫補助金等の積極的な活用による事業費の確保などにより、県民生活や県内経済に極力影響が生じないよう努めてきたところです。 今後も改革を進めるに当たっては、県民の皆様からより一層の御理解が得られるよう、引き続き、県民説明会をはじめ様々な媒体を通じて丁寧な説明に努めてまいります。 次に、公民協働プロジェクト検討プラットフォームについてでありますが、このプラットフォームは、知事就任以来、本県が抱える様々な困難な課題への対応等について、公と民が率直に議論し、知恵を出し合って具体的な行動に結びつけていくことを目的として設置したものであります。 これまでに議論を重ねてきた起業・創業の推進では、県内8か所に民間スタートアップ支援拠点が整備されるなど、起業家の発掘・育成を行う好循環が生まれつつあり、新潟空港活性化ではトキエアが就航間近の段階にあります。 また、本年10月の第4回会議では、人と企業の地方分散の動きが見られる中、選ばれる新潟を共通テーマに、新たに大学も参加する形で、働き方改革、女性活躍、起業・創業の推進、Uターン施策、観光の反転攻勢等について議論を深めたところです。 引き続き、この場を活用して、公民で情報と認識の共有を図りながら、プロジェクトの具体化に向けた取組を進めるとともに、選ばれる新潟の実現に向け、公民で目指すべき方向を共有し、それぞれが実効性のある取組を推進することで、新潟の企業や地域のさらなる魅力の向上を図ってまいります。 次に、G7関係閣僚会合の誘致についてでありますが、誘致の実現により、会合開催による経済効果が期待されるほか、新潟の魅力を国内外へアピールする機会になると考えており、平成29年2月に県と新潟市で立ち上げたハイレベル国際コンベンション等新潟開催推進会議の体制を基に、国への要請など誘致活動を積極的に展開してまいります。 議員御指摘のとおり、これまでに本県を含む複数の都市が誘致を表明しておりますが、県と新潟市には、2008年G8、2010年APEC、2016年G7、2019年G20の関係閣僚会合など重要な国際会合を開催してきた実績があります。今後こうした実績や、県と市の緊密な連携体制、高速交通インフラの優位性、温かいおもてなしなどの強みもしっかりと国にアピールしながら、2023年のG7関係閣僚会合の本県開催を実現し、交流人口の拡大や地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。 次に、国への要望の成果についてでありますが、厳しい財政状況の中でも必要な行政サービスを確実に提供していくためには、地方交付税をはじめとした一般財源総額を確保し、国庫補助金などを積極的に活用していく必要があると考えています。 このため、様々な機会を捉えて国に対して要望を行い、地方法人課税の偏在是正措置による地域社会再生事業費の創設、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の実施、道路除排雪経費に対する過去最大の国庫補助金の配分等、本県の要望に沿った財政措置等を実現してきたところです。 今後も、歳出歳入改革を行いつつ必要な行政サービスを確実に提供できるよう、引き続き、様々な機会を捉えて地域の実情を国に対して訴えることで必要な財源の確保に努めてまいります。 次に、具体的な成果と明年の県政の展望等についてでありますが、この3年半、できるだけ各地域に出向き、対話をすることにより地域の課題を拾い出し、一つ一つの課題について、できるだけ先送りしたり、蓋をしたりせず、真正面から取り組み、少しでも成果を出すよう一生懸命取り組んできたつもりです。その中で、防災・減災対策の集中的な実施、医療提供体制の整備、官民一体となった起業・創業の推進、園芸の拡大に加え、行財政改革や新型コロナウイルス感染症への対応など、多岐にわたる分野において施策を前に進めてまいりました。 また、明年の県政の展望等としては、残された任期において、来年度予算の編成等、引き続き新潟県のために全力で取り組んでまいります。 あわせて、これまでの取組を振り返りつつ、分散型社会の実現、脱炭素社会への転換、デジタル社会の実現といった新たな課題も含めて、今後の新潟県の発展に何が必要であるか整理していきたいと考えております。 そうした中で、私、自分自身の役割についても考えてまいりたいと思います。 次に、本県におけるSDGsの取組についてお答えします。 SDGsに係るこれまでの取組等についてでありますが、県では、昨年4月に発足した産官学金連携によるプラットフォームに推進メンバーとして参画し、先進的な取組などを紹介するセミナーの開催や、優れた取組を行う県内企業・団体・個人への表彰等、このプラットフォームの活動を通じ、県内のSDGsの推進に向けて取り組んでいるところです。 また、県の施策・事業は、SDGsと深い関わりを持っており、議員御指摘のとおり、県総合計画等にSDGsとの関係を明示することで、県民の理解の促進につながるものと考えております。 既に、新潟県環境基本計画など一部の個別計画においては、施策とSDGsの関係を明示している事例もありますが、8月に開催されました新潟県総合計画評価委員会においても、委員から県総合計画にSDGsの視点を盛り込むべきとの意見が出されており、今後予定する計画の見直しの際には、これを明示することについても検討してまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお答えをします。 まず、国の新基準に関する県の運用方針等についてでありますが、先月19日に、国は、新型コロナウイルス感染症対策分科会における検討結果を受けて、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を決定し、医療の逼迫状況等を評価するための新たなレベル分類を踏まえて緊急事態宣言の発出等を判断することといたしました。各県が5段階レベルのどこに該当するかについては、新規感染者数などの指標や国の提示したシミュレーション資料等により、それぞれの県で総合的に判断することとされています。 本県は、感染拡大を防止するため、新規感染者数を指標として独自に基準を設けて県民に警戒を呼びかけてきたところです。新規感染者数は県民にとって分かりやすい指標であること、国から現基準を変更するに足るデータが示されていないことから、当面はこの現基準を運用するとともに、新たな変異ウイルスの蔓延等の状況変化があれば、基準の見直しを行っていくことについて、専門家の意見を伺った上で、先日開催しました新型コロナウイルス感染症対策本部会議で決定したところです。 また県では、今後の感染拡大に備えて第5波の振り返りを行い、確保病床数を98床増床するとともに、入院待機ステーションの設置に向けて準備を進めるなど、医療提供体制の強化に取り組むこととしており、今後とも新型コロナウイルス対策に全力を挙げて取り組んでまいります。 次に、新型コロナワクチンの3回目接種に関する支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、1回目、2回目の接種では、当初、接種の予約受付で混乱が生じるなどの課題がありました。県としては、ウェブ上で市町村と取組状況や好事例を共有することなどにより課題解決につなげたほか、医療従事者のマッチングや大規模接種会場の設置などにより、市町村を支援してまいりました。また、職域接種については、経費の支援や相談・助言を実施してきたところです。 今後も医療従事者のマッチングや職域接種の促進などにより市町村を支援してまいりますが、議員御指摘の大規模接種については、接種の主体は市町村であり、1回目、2回目接種に取り組むことで接種能力も大きく向上したことから、まずは市町村が自律的に運営できるよう県として最大限の支援に努めてまいりたいと考えております。また、職域接種については、希望する企業、大学等が3月から開始できる方針を国が示しているところであり、引き続き円滑な接種に向け支援をしてまいります。 次に、ワクチン・検査パッケージの活用等についてでありますが、先般、国が公表した技術実証に係る中間報告では、ワクチン接種証明や検査結果通知の確認に係る現場のオペレーションに大きな混乱がなかったこと、利用者からは安心感があるとの肯定的な意見が多かったことが評価された一方で、子供の年齢確認の方法や検査費用の負担、検査時間の短縮などの課題も示されたところです。 県といたしましては、今後、ワクチン・検査パッケージが有効に機能するよう、国において全国で行われた技術実証の課題を検証した上で、実践的で使いやすい制度としていただきたいと考えております。 次に、防災・減災対策についてお答えいたします。 原子力防災訓練の実施方針と原子力災害時避難経路阻害要因調査結果の活用方針についてでありますが、今回の訓練では、11月に新潟県ハイヤー・タクシー協会と締結しました協定に基づき、福祉タクシーによる車椅子利用者の搬送手順の確認を実施したほか、避難所等において、AIを活用した顔認証による住民受付の効率化を試験的に実施するなど、新たな取組も行い、原子力災害時の対応力のさらなる向上を図るという目的は、おおむね達成できたと考えております。 評価については、現在、外部の専門機関が行っておりますが、訓練の視察を通じ、参加住民の皆様へ、訓練の内容や状況を、現場においても、より丁寧に説明する必要があったのではないかと、課題として感じたところです。 県といたしましては、議員御指摘の冬季避難訓練も含め、これまでの訓練の中で明らかになった課題を踏まえ、引き続き、国、市町村、関係機関と連携をし、様々な想定により訓練を実施することによって、原子力災害時の対応力の向上を図ってまいります。 また、避難経路阻害要因調査結果の活用方針についてでありますが、今回の調査では、スマートインターチェンジなどの進入路を設置し、多くの車両が通行することができる北陸自動車道を一層活用することなどが、円滑な住民避難に有効であることが示されました。 県といたしましては、北陸自動車道への進入路の設置をはじめとした道路整備等の実現に必要な財政措置について、関係市町村とも連携をし、国に対し強く要望してまいります。 次に、観光・文化・スポーツ振興についてお答えをします。 まず、観光文化スポーツ部の設置等についてでありますが、組織改正による効果と期待としては、観光・文化・スポーツに関する組織を集約し、交流人口の拡大につながる施策を一体的に推進することで、全国や世界から人々が訪れる魅力ある地域の実現につなげてまいりたいと考えております。また、文化芸術の振興や文化財の保存・活用、スポーツ振興についても、新しい組織の下で、一層の推進を図ってまいりたいと考えております。 新潟県観光立県推進行動計画については、御指摘のとおり、本年3月に改定した際に、地域資源としての歴史・文化や自然・スポーツを生かした観光地づくりに取り組んでいく旨を盛り込んでおり、組織改正に伴う見直しについては考えておりませんが、組織改正の効果も生かしながら、文化・スポーツを生かした観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、アーバンスポーツ普及に向けた取組についてでありますが、本県のスポーツの推進、競技力の向上を図る上で、アーバンスポーツを含め様々なスポーツに関心を持った子供たちが県内において練習できる環境を整えることが望ましいと考えております。 一方、スポーツ施設の新たな整備については、建設費はもとより、維持管理費等が新たな財政負担につながることから、県内における競技人口や市町村等施設の整備状況、費用対効果などを踏まえ、その必要性や設置主体を慎重に検討する必要があるものと考えております。 また、競技人口の拡大に向けた取組については、個別競技の競技人口拡大はそれぞれの競技団体等が中心に取り組むべきものと考えています。 県といたしましては、幼児期に楽しく体を動かす運動遊びが経験できる環境づくりや小学生を対象としたスポーツ体験イベントの開催のほか、世界で活躍が期待できる選手の活動を支援し、その活躍により競技への関心を高めることなどにより、アーバンスポーツを含めたスポーツ人口の拡大を図ってまいりたいと考えております。 次に、デジタル化の促進とIT人材育成についてお答えをします。 まず、マイナンバーカードのさらなる普及策についてでありますが、カード申請者等へのメリット付与については、取得率の向上に寄与するものと考えており、県におきましても、11月から、カードを新規申請した県民の方を対象に、抽せんで県産品を贈呈するキャンペーンを開始したほか、市町村に対しても、独自のメリット付与の実施を働きかけ、実施自治体が拡大しているところです。 県といたしましては、国が実施するマイナポイント付与の施策と併せて、これらの取組に加え、カードの利用メリットや安全性を周知することにより、多くの県民の皆様にカードを取得していただけるよう取り組んでまいります。 次に、女性や障害者を対象としたIT人材の育成についてでありますが、議員御指摘のとおり、IT関連の業務は、テレワークで従事しやすい等の特性から、子育て中の女性や、障害者の就業のチャンスが広がる可能性があるものと認識しております。 県が女性を主な対象として行っている就労支援や、ハローワークなどの窓口においては、希望に応じて、IT分野の職業訓練の受講を勧めており、県立テクノスクールで実施しているIT分野の職業訓練において、女性の受講率が令和2年度で55.9%となっております。 また、障害者の方に対しては、就労移行支援事業所においても、本人の障害の種類や程度に応じてIT関係の職業訓練等を実施しております。 今後とも、こうした方々の就業に向けたスキルアップを効果的に支援するなど、IT人材の育成に取り組んでまいります。 なお、IT雇用型訓練の実施状況等については、産業労働部長からお答えをいたします。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 県民のデジタル格差解消についてでありますが、今年度本格実施されたデジタル活用支援推進事業について、県においても活用を後押しするための周知を行い、これまで県内の約30会場で、高齢者等を対象とした、オンラインによる行政手続等に関する助言、相談等が実施されるなど、一定の意義はあったと考えております。 一方で、本事業の多くが携帯キャリアにより実施され、携帯ショップのある都市部が中心となったため、議員御指摘のとおり、今後はより幅広い市町村でこうした取組を行っていく必要があると考えております。 国においても、同様の問題意識から、来年度は実施箇所を増やすとともに、携帯ショップが身近にない市町村については講師を派遣する仕組みを導入するなど、都市部以外でも実施が進むよう、制度改正を検討していると聞いております。 県といたしましては、制度改正を踏まえつつ、来年度は、携帯キャリアによる実施箇所を早期に把握し、実施されない市町村に対しては、講師派遣といった別途の枠組みによる実施を後押ししていくとともに、市町村における独自事業についても、積極的に横展開に取り組んでまいります。   〔総務管理部長森永正幸君登壇〕 ◎総務管理部長(森永正幸君) お答えいたします。 マイナンバーカードの健康保険証利用についてでありますが、健康保険証利用により、本人が同意すれば、医師と服薬履歴等が共有でき、よりよい医療が受けられるほか、確定申告の医療費控除において、医療費通知情報が自動入力されるなど、様々なメリットを受けることができます。 議員御指摘のとおり、現時点では健康保険証利用が可能な医療機関が少ないところではありますが、導入に必要なカードリーダーの申込率は5割を超えており、今後、拡大が進むものと考えております。 県といたしましては、カードの健康保険証利用のメリットについて、県ホームページやテレビなどを通じてお知らせしてきたところですが、今後は、利用を開始した医療機関等での周知を強化していくほか、11月から実施している県独自のキャンペーンにおいても、窓口や出張申請受付時にPRしてまいります。 引き続き市町村とも連携し、様々な機会を捉え取り組んでまいりたいと考えております。   〔県民生活・環境部長村山雅彦君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(村山雅彦君) お答えいたします。 にいがたヘルス&スポーツマイレージ事業についてでありますが、健康立県の実現に向けた取組の一環として、県民の運動習慣の定着等を目的に、本年9月にアプリの運用を開始したところですが、11月末現在、登録者数は約7,300人で、その約8割をスポーツ実施率の低い20歳代から50歳代の、いわゆる働く世代が占め、地域協力店数は約400店舗となっています。 これまで、アプリの利用促進に向けて、ホームページやSNS、市町村等を通じた情報発信のほか、市町村やスポーツ団体などと連携して、スポーツイベントへの参加・観戦に対するポイント付与やアプリの競争機能を活用したイベントの開催、市町村の健康ポイント事業との連携等に取り組んでいるところですが、さらなる利用者の増加と、スポーツや運動に関心の低い方々への普及が課題と考えております。 今後は、これまでの取組に加え、にいがた健康経営推進企業をはじめとして、従業員の健康づくりに関心の高い企業・団体等との連携を進めるなどにより、一層の利用促進を図ってまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) お答え申し上げます。 新型コロナワクチンに関する相談及び被害救済制度についてでありますが、新潟県新型コロナワクチン医療健康相談センターへの相談件数は10月末時点で約2万4,000件であり、このうち接種後の副反応に関するものが約48%と最も多く、次いでワクチンに関する一般的な質問等が約21%となっております。 ワクチンの安全性や副反応については国で全国の事例の分析評価がなされておりますが、本県としても、総合診療の専門家などで構成する新潟県新型コロナワクチン副反応アドバイザリーボードを設置し、症例検討を行い、医療機関等に定期的に情報を提供し、安心して接種が受けられる体制を整えているところです。 また、予防接種健康被害救済制度については、これまでもホームページによる情報発信や大規模接種会場での接種者へのリーフレット配布などを実施してきたところですが、今後とも、救済制度に関して、分かりやすい周知に努めてまいります。   〔産業労働部長佐野哲郎君登壇〕 ◎産業労働部長(佐野哲郎君) お答えいたします。 IT雇用型訓練の実施状況等についてでありますが、この訓練は、国の地域活性化雇用創造プロジェクト事業を活用して、令和2年度から実施しているものです。 昨年度の実施状況は、雇用型訓練の受講者が10名、参加企業は24社で、マッチングにより正社員として就職された方は5名となっております。今年度は、参加企業が30社に増加し、雇用型訓練の受講者は11月末現在で5名であり、引き続き、受講者及び企業を募集しつつ、マッチングも進めてまいります。 また、IT雇用型訓練では、年間18名の人材を育成することを目標として設定しており、その達成に向けて引き続き取り組んでまいります。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) 3点お答えいたします。 新潟県SDGs推進建設企業登録制度についてでありますが、建設産業は、将来の担い手確保が喫緊の課題であり、第四次・新潟県建設産業活性化プランにおいて、県内建設企業によるSDGsの取組を喚起・PRし、産業イメージの変革や県民理解を促進する中で、人材確保につなげることとしております。 新潟県SDGs推進建設企業登録制度は、こうした取組の一環であり、11月末現在で42社から申請を受けており、制度創設を契機として、関係団体においてSDGs啓発のためのセミナーが開催されるなど、業界の機運も徐々に高まっております。 県といたしましては、引き続き、県のホームページはもとより、地域創生プラットフォーム、SDGsにいがたと連携した情報発信に努め、官民一体となって取組を推進してまいりたいと考えております。 次に、下水道の水管橋の老朽化の実態と今後の対策についてでありますが、県で管理している流域下水道施設の水管橋は11橋あり、最も古いもので30年を経過しておりますが、定期的な目視点検、また、本年10月の和歌山市の事故発生を受けた緊急点検においても、問題ないことを確認しております。 今後の老朽化対策といたしましては、新潟県流域下水道ストックマネジメント計画に基づき、定期的な点検・調査を行うとともに、劣化した施設に対し、被災時の影響度や腐食環境などの観点でリスク評価を行い、優先順位を考慮した計画的で効率的な維持管理や補修、更新を行ってまいります。 次に、無電柱化の進捗状況と今後の見通し等についてでありますが、本県では、道路の防災機能の向上などの観点から無電柱化を推進しており、令和2年度末までに新潟県が整備した延長は約61キロメートルとなっております。 無電柱化の推進に当たっては、コストの高さに加え、関係者との合意形成の難しさなどが課題となっております。 県といたしましては、合意形成が図られた箇所から順次進めることとしており、令和6年度末までの整備延長の目標を約63キロメートルとしております。 また、インフラ分野のDXによる技術の活用についてでありますが、議員御指摘のとおり、三次元化技術等の活用により工期短縮やコスト縮減が期待できることから、今後の技術開発の動向を注視しつつ、無電柱化事業への活用を検討してまいります。   〔企業局長桑原勝史君登壇〕 ◎企業局長(桑原勝史君) お答え申し上げます。 工業用水道の水管橋の老朽化の実態と今後の対策についてでありますが、企業局で管理している水管橋14橋のうち、3橋は設置から50年余りが経過しておりますが、いずれも更新や撤去を予定しております。 なお、各水管橋は耐震診断や定期的な巡視点検により、現状では問題のないことを確認しております。 今後も、適切な維持管理に努めるとともに、計画的に水管橋の更新を行ってまいります。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) お答えいたします。 学校におけるSDGsの取組についてでありますが、小中学校では、社会や理科、総合的な学習の時間などで、持続可能な開発目標に示された課題の中から、地球環境問題や資源・エネルギー問題、人口・食料問題、ジェンダー平等などを取り上げて幅広く学習を行っております。 また、県立高校においても、地理歴史・公民・理科等の教科や総合的な探究の時間において、SDGsの様々なテーマに関する学習を行っております。特に、今年度から、ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築事業のカリキュラム開発拠点校として指定された三条高校では、産業・農業・環境などの身近なテーマについて、大学や地元企業等と連携しながら、SDGs達成に向けた課題研究活動に取り組んでおります。 県教育委員会といたしましては、関係部局と連携しながらSDGsの取組事例や成果を紹介するなど、地球的課題への理解促進や課題解決力の育成に努めてまいります。   〔警察本部長村田達哉君登壇〕 ◎警察本部長(村田達哉君) お答えいたします。 鉄道施設における安全確保対策についてでありますが、県警察では、議員御指摘のような事件を未然に防止するため、鉄道施設内において、制服警察官による警戒や不審者に対する積極的な職務質問を実施しているほか、鉄道事業者に対して自主警備の強化や不審者情報の迅速な通報を依頼するなど、事業者と連携を図りつつ、鉄道施設内における違法行為の防止対策に努めているところであります。 引き続き、鉄道施設における安全確保のため、事業者と連携を図りながら、県警察として安全確保対策に万全を期してまいる所存でございます。 ○議長(佐藤純君) 市村浩二君の質問は終わりました。 次に、佐藤久雄君の発言を許します。佐藤久雄君。   〔佐藤久雄君登壇〕(拍手) ◆佐藤久雄君 無所属の佐藤久雄でございます。通告に従い、順次お伺いをいたします。 まず、第1に、県の地震被害想定についてであります。 新潟県地震被害想定調査検討委員会は、9月22日、県独自の地震被害想定の見直し案をおおむね了承しました。最大の被害想定は、長岡平野西縁断層帯が一度に動く場合で、モーメントマグニチュード7.5程度で死者7,920人、全壊建物17万1,000棟、避難者は47万1,000人とのことであります。 そこで、第1の質問であります。今回の見直し結果が、前回調査時の最大地震被害想定の死者1,232人の6倍以上の7,920人に達した理由は何か、これまでの調査手法に問題があったかを含めて知事御所見をお伺いいたします。 津波堆積物調査の第一人者、平川一臣博士は、東日本大震災は、約1,000年前にほぼ同じ地区で同程度のマグニチュードで起きた地震に酷似しているとの研究成果を発表し、さらに、ほぼ時を同じくして佐渡北方沖地震が連動するかのように起きていると指摘しております。 そこで、第2の質問であります。このたびの検討委員会が明らかにした最悪の被害は長岡平野西縁断層帯に起因しますが、この断層帯による地震はその先にある佐渡北方沖断層やその他の断層と連動することはないのか、また、連動すると仮定した場合の被害状況はさらに拡大すると思われるが、その想定規模につきお伺いをいたします。 長岡平野西縁断層帯の南部から柏崎刈羽原発まで約20キロあります。マグニチュード8クラスの地震が発生した場合、同原発の過酷事故を誘発しないとも限りません。最悪、長岡平野西縁断層が北の佐渡北方沖断層、南の十日町断層帯西部と連動すると、自然災害のほか、柏崎刈羽原発の過酷事故による原子力災害で、被害は無限大となる可能性を秘めております。 そこで、第3の質問であります。行政は、県民の命と暮らしを守るため、想定外は許されず最悪の事態に備える必要がありますが、知事御所見をお伺いいたします。 第2に、柏崎刈羽原発に係る離島の避難計画についてであります。 県は11月9日から13日にかけて、柏崎刈羽原発の過酷事故を想定した原子力防災訓練を柏崎、上越、妙高等県内各地で行いました。 そこで、質問であります。佐渡は、赤泊の一部が柏崎刈羽原発から50キロ圏内にあります。島民の中には、日本海の孤島の佐渡が風向きによっては放射能に汚染されるのではないか、また、波浪の高い冬場には避難もままならないのではないかとの懸念もあります。 これらを踏まえ、避難委員会の検討対象に離島島民の避難計画を加えていただきたく、知事御所見をお伺いいたします。 第3に、県の農業問題についてであります。 中国、唐の太祖李世民は、その名著「帝範」で、それ食は人の天たり、農は国の本なりと後継者高宗に教えを諭しております。そこで、農業が県の基となり得ているかが問題であります。 まず、我が国農業が直面する問題は2つあります。その1つは、米の消費量の減退であります。我が国の米の最大消費量は1963年の1,340万トンでありましたけれども、現在は761万トンと約半減しております。 また、県の主要銘柄の新潟一般コシヒカリの最高値は、作況の悪かった2003年産で60キロ当たり2万5,673円でしたが、2021年産は1万5,689円で、最盛期の約4割減であります。 そこで、第1の質問であります。このように米の消費量が半減し、県産コシヒカリの価格が低迷する中で、県農業を維持発展させるための農業振興の方向性につき、知事御所見をお伺いいたします。 昨年、農林水産省は2018年農業産出額を発表し、県の農業産出額は2,462億円で、統計が始まった1960年以降初めて、都道府県別順位を1つ下げ13位となり、山形県の後塵を拝することになりました。 そこで、第2の質問であります。本県の農業産出額は1994年の4,169億円をピークに右肩下がりで、特に、園芸作物は1991年の744億円をピークに2019年には504億円と漸減傾向であります。 県は2019年7月に園芸振興基本戦略を策定し、園芸1億円産地の創出に取り組み、作付面積や担い手が増加している旨を公表しておりますが、園芸産出額の減少傾向に歯止めをかけられるのか、知事御所見をお伺いいたします。 次に、農業基本法は他産業並みの農業所得の確保を目指しております。しかし、東京大学、生源寺眞一博士は、その名著「農業再建」で、利潤の大きさは商業、工業、農業の順で、商工業の発展によって、農業は衰退するとのイギリス経済学者、ウィリアム・ペティの学説を紹介しております。 そこで、第3の質問であります。農業が他産業並みの所得を得られるかどうかが県農業再生の鍵となります。米の消費量が最盛期から半減し、米価が長期低迷する中で、県農業の起死回生策は園芸であると言っても過言ではありません。 県は園芸の収益性の現状をどのように受け止め、その将来展望をどのように描くか、知事御所見をお伺いいたします。 第4に、県の産業構造とその対策についてであります。 県の民営事業所数は、平成3年の製造業が2万2,000社であったところ、平成28年には1万1,000社となり、25年間で半減しております。また、非製造業も12万5,000社から10万4,000社となり、2万1,000社、すなわち18%減少しております。 そこで、第1の質問であります。特に注目されるのは、この25年間で製造業が2万2,000社から半減していることであります。恐らく、長年にわたる円高傾向とデフレ経済によるものと考えます。 県産業界の99.9%が中小零細企業で、6割が後継者難にある県産業の実態を踏まえ、県はいかなる産業政策を講じていくか、知事御所見をお伺いいたします。 国は、半導体不足に対処するために、法改正を行い、半導体産業にも補助できるようにする意向であります。我が国は半導体の国内需要の6割強を台湾や中国に依存し、自動車産業は半導体不足から減産を余儀なくされております。 そこで、第2の質問であります。台湾のTSMC社はソニーグループの半導体子会社と共に、熊本県菊陽町に約70億ドルで新会社を設立し、2024年末までに生産を開始する計画であります。これに対し、我が国政府は4,000億円程度を支援する異例な策を講じております。 中小企業が99.9%と中小零細企業が多い本県では、このようなプロジェクトこそ求められ、半導体工場の誘致を推進すべきと考えますが、知事御所見をお伺いいたします。 第5に、外国貿易航路の誘致についてであります。 県は、中国東北部・ロシア極東地域等との航路の誘致を図っております。これは、日本海経済圏構想華やかなりし頃からの構想と理解しております。 そこで、第1の質問でありますが、県には日本海横断航路の苦い経験がありますが、この反省の上に外国貿易航路の誘致にいかなる展望を描いているかお伺いするとともに、現在の進捗状況を知事にお伺いいたします。 平成23年11月、新潟港は日本海側拠点港に選ばれ、特に伏木富山港ほか3港とともに総合的拠点港に選定されております。 そこで、第2の質問であります。新潟港は、日本列島のほぼ中央にあり、関東甲信越の広範な後背地を持ち、物流ネットワークを構築するに最適な港であると考えます。 国は委員会を年1回程度開き、計画の実施状況を調査検討していたとのことでありますが、国の評価結果をお伺いするとともに、それに対する知事の御所見をお伺いいたします。 慶應義塾大学名誉教授、国際政治学者の国分良成氏は、東シナ海は中国の海になりかねないと懸念を表明しております。中国が東シナ海等の海洋進出を積極的に展開し、同海域で摩擦が生ずれば、貿易立国の我が国のシーレーンが分断され、欧州貿易等に支障を来す懸念があります。この懸念を払拭するには、日本海外国貿易航路とシベリア鉄道を結び、陸路で欧州との交易ルートを構築すべきであります。 そこで、第3の質問であります。県はシベリア鉄道を利用した国際物流を主なテーマとするセミナーを開催するなど、中国東北部・ロシア極東地域への航路開設に向けて取り組んでおりますが、これは欧州との新たな交易ルート構築の国家ニーズと合致するため、県単独事業に終わらせることなく、国を巻き込んだ国家プロジェクトに昇格させるべきものと考えますが、知事御所見をお伺いいたします。 第6に、佐渡汽船問題についてであります。 11月18日開催の佐渡航路確保維持改善協議会で、佐渡汽船の2021年12月期連結決算で債務超過が約27億円になるとの見通しが報告されました。 そこで、第1の質問であります。前期、すなわち2020年12月期連結決算での債務超過9億円は、政府系金融機関3行から劣後ローン14億円、県から支援金8億円、佐渡市から第三者割当て増資3億6,000万円等の合計26億円が投入されましたが、この債務超過は解消されず、当期、2021年12月期連結決算ではさらに18億円拡大し、約27億円に上る見込みであります。 コロナ禍で経営環境が一層悪化する中で、債務超過が27億円に拡大したことをどう捉え、どのような対策を講ずるか、知事御所見をお伺いいたします。 佐渡汽船社長、尾崎弘明氏は、運賃一部値上げ等で収益基盤を立て直し、第三者割当て増資が必要であると述べ、花角知事も第三者出資に向けた調整の動きをしっかりと支えたいと述べ、両者は共通の認識に立っておられます。 そこで、第2の質問であります。もとより、運賃値上げ等による経営改善は必要でありますが、コロナ禍の前代未聞の経営環境に遭遇しているので、運賃値上げ等で対処できる問題ではありません。また、第三者出資も民間投資家に投資余力があるかどうか疑問であります。 そこで、第三者出資の調整の現状につき知事の御所見をお伺いするとともに、自治体だけではこの難局を乗り切ることは難しく、政府系金融機関の佐渡汽船への劣後ローン枠の拡大で、国をも巻き込んだ対応が必要と考えますが、知事御所見を併せてお伺いいたします。 小木-直江津航路にはジェットフォイル「ぎんが」が就航しておりますが、上越市、佐渡市をはじめ民間の小木直江津航路利用促進協議会も同航路へのカーフェリーの再投入を求めております。カーフェリーを就航させないと、佐渡の産業経済に与える影響は大きく、観光・物流面で佐渡全体にとって死活問題であります。 そこで、第3の質問です。同航路は単に佐渡汽船だけの問題ではなくて、佐渡産業経済全体の問題であり、カーフェリーの再投入を求める内外世論を踏まえて、知事御所見をお伺いいたします。 第7に、日本海国土軸構想と新幹線の整備についてであります。 2011年3月の東日本大震災で、日本海沿岸地域を縦貫する日本海国土軸の重要性が再認識されております。 北陸新幹線ですが、上越妙高駅での速達型の停車は、同地域の開発や世界遺産登録の国内推薦が年内の射程内にあり観光客等の佐渡へのアクセス改善のため、また、金沢以西への延伸は関西経済圏を新潟に取り込むため、早期実現が望まれます。 そこで、第1の質問であります。上越妙高駅での速達型の停車と金沢以西への延伸に関して、県の基本認識とその進捗状況につき、知事御所見をお伺いいたします。 羽越新幹線の整備と奥羽新幹線との連結についてであります。 そこで、第2の質問であります。羽越新幹線等は鉄道面での日本海国土軸の形成に不可欠であり、それが実現すれば、新潟は北陸新幹線や上越新幹線と併せ3つの新幹線でつながり、新潟は産業経済や文化の丁字路となり、さらなる発展が期待されます。 県の基本的な考え方と現在の進捗状況につき、知事御所見をお伺いいたします。 第8に、佐渡空港問題についてであります。 9月定例会で、同僚議員が佐渡空港の現在の敷地内での滑走路延伸の課題につき質問したのに対し、佐瀬交通政策局長は、延伸を行う場合、航空法上の確認や費用対効果の分析を行った上で、PI手法を導入し、地元と合意形成を図っていくと答弁されております。 そこで、第1の質問であります。同一敷地内での滑走路延伸で何ゆえ、改めてPIを行う必要があるのか疑問であります。これは国土交通省の公式見解であるのか、またそうであるとした場合、その理由は何かをお伺いいたします。 佐渡金山の世界遺産登録の国内推薦が年内の射程内にあれば、予想されるインバウンドも含む観光客の急増に商機を逸するわけにはいきません。 そこで、第2の質問であります。従来型のATR42-600の佐渡空港での供用に向けては、佐渡空港の敷地内の滑走路延伸のほか、搭乗制限をかけて就航させる方法もあります。しかし、これはトキエアの採算性の問題もあり一概には言えません。 他方、県としても巨費を投じて佐渡空港の環境整備に努めているので、従来型機材でも、可能な限り早期に就航させることをトキエアに主張すべきではないかと考えますが、知事御所見をお伺いいたします。 羽田空港の地方空港枠は全部で465枠あり、そのうち5枠が政策コンテスト枠、3枠が新規参入枠で、プロペラ機も飛行可能と仄聞しております。 そこで、第3の質問であります。トキエアは新潟-佐渡-東京の航空路を企画しており、観光面のみならず、産業経済面や医療体制面等の強化の観点からも、県にはトキエアによる羽田枠の獲得を強力にバックアップしていただきたく、知事御所見をお伺いいたします。 1991年11月、宮沢内閣は第6次空整で、また、1996年12月、橋本内閣は第7次空整で、民生安定と地域経済の活性化を掲げ、佐渡空港滑走路2,000メートル化の閣議決定を行っております。 さらに、2010年3月、当時の泉田知事は離島のハンデ克服を掲げ、佐渡-羽田航空路開設事業計画案を当議会に提案しましたが、否決されております。 そこで、第4の質問であります。佐渡空港滑走路2,000メートル化は、過去には国の航空整備計画に取り込まれ、県も佐渡-羽田航空路の飛行実績を重ね、滑走路2,000メートル化の事業化に取り組む方針であり、花角知事におかれましてもこの基本路線をしっかりと継承されていると承知をしておりますが、知事の取組姿勢をお伺いいたします。 佐渡空港滑走路2,000メートル化の地権者159名、行方不明者6名、仮同意者141名で、未同意者は12名であります。このうち、家屋の移転を伴う地権者は4名であります。この4名は平成24年4月11日、当時の佐渡市長と覚書を結び、国、県に対して建設促進の意向の確認を求めております。 そこで、第5の質問であります。地権者交渉は受益者の佐渡市が積極推進すべきものと考えますが、地権者の中には、県は空港管理者として、滑走路2,000メートル化に取り組んでくれるであろうかと疑念を抱く向きもあります。 花角知事も3年半前の知事選でその取組を力強く訴えておられましたけれども、地権者の同意取得率は92.2%に達し大詰めを迎えている今日、佐渡市と共に最後の総仕上げに参画していただきたく、知事御決意をお伺いいたします。 第9に、県の医療問題についてであります。 厚生労働省は昨年、医師の充足度を示す医師偏在指標を示し、本県は全国最下位となり、県内の医師不足の深刻さが浮き彫りになりました。県の医師確保計画では、15年後の2036年度末、追加で養成等が必要な医師数は1,534名とのことであります。 そこで、第1の質問であります。県は医師確保に向け、大学医学部の地域枠の拡大、臨床研修医の確保、国への制度改正の要望に取り組んでおりますが、この延長線上で、15年後の2036年度に1,534名の不足を解消できるのか、その見通しにつき知事御所見をお伺いいたします。 新潟大学医学部への県内高校からの入学者は、平成24年に38名でしたが、令和3年には47名と漸増傾向にあるものの、募集人員127名中37%にすぎません。 そこで、第2の質問であります。医療サービスの地元還元を高めるため、県内高校出身者をせめて過半数まで持っていくべきと考えます。それには、迂遠なようでも、県内高校の理数科教育水準のさらなる向上を目指すことが医師不足を解消する一方策と思料しますが、知事御所見をお伺いいたします。 佐渡総合病院は、僻地医療拠点病院、災害拠点病院、救急告示病院、地域がん診療病院、臨床研修病院等、県立病院並みの政策医療を担っております。 そこで、第3の質問であります。県立病院には年間110億円から170億円を一般会計から繰り入れておりますが、厚生連病院には十二、三億円程度であります。厚生連病院の地域医療への貢献を考慮し、それにふさわしい財政支援と医療従事者の確保をお願いしたく、知事御所見をお伺いいたします。 佐渡は医師不足が急速に顕在化し、私立佐和田病院は来年3月末で5診療科を閉鎖、また、佐渡市立相川病院は院長退任で病床機能の再編が急務となりました。これらにより、市内医療機関の一般療養病床数は現在の515床から来年4月には421床に減る見込みであります。 そこで、佐渡市は、国から財政支援、医療提供体制の見直しにつき助言を受けるため、県の強力な支援体制の下に、国の重点支援区域への申請を行いました。 そこで、第4の質問であります。佐渡は、高齢者率43%の超高齢者社会で、今後の医療提供体制を持続可能なものにするために抜本的な改革が求められます。国の重点支援区域の選定を受け、県はどのように取組を進めていくか、知事の御所見をお伺いいたします。 以上、私の一般質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 佐藤久雄議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、今回の地震被害想定調査で、被害想定が大きくなった理由についてでありますが、今回は、国における最新の断層調査に基づき評価を行った結果、長岡平野西縁断層帯で起こる地震被害が最大のものとなり、特に断層面積が前回調査時の最大震源断層の5倍以上にもなることから、より広範囲に地震の影響が及び、それに応じて被害想定が大きくなったところです。 このように、これまでの調査手法に問題があったわけではなくて、最新の科学的知見に基づき見直した結果であると受け止めております。 次に、断層帯相互の連動などによる最悪の事態への備えについてでありますが、県といたしましては、現在得られる最新の科学的知見に基づき、最大の地震被害想定を行っているところであります。 断層帯相互の連動に関する新たな知見が得られた際には、必要に応じて再検討するなど、最悪の事態に備えられるよう努めてまいります。 なお、柏崎刈羽原発6、7号機の設置変更許可に関する国の審査においては、万が一の事故発生による影響の大きさに鑑み、仮に長岡平野西縁断層帯と十日町断層帯西部を連動させた場合の地震の評価も行い、耐震安全性が確保できることが確認されていると承知しております。 次に、柏崎刈羽原発に係る離島の避難計画についてお答えをいたします。 避難委員会において、離島の避難計画を検討することについてでありますが、避難委員会での検証は、福島第一原発事故を踏まえた、安全に避難するための課題の抽出・整理であり、佐渡市などの離島を含め、県内市町村の避難計画の検討については、避難委員会の役割ではなく、地方公共団体が行うべきことであると考えています。 なお、国の防災基本計画では、原発から30キロ圏外の市町村に避難計画の策定を義務づけておりませんが、県といたしましては、市町村の意向を踏まえ、住民が円滑に避難するための取組を支援してまいりたいと考えております。 次に、農業問題についてお答えをします。 まず、本県の農業振興の方向性についてでありますが、これまでの農業政策は、ややもすると本県の強みである主食用の米作りに偏重していたのではないかと考えております。 主食用米の需要減少が続くと見込まれる中、今後は、非主食用米と合わせた新潟米全体の需要拡大と、生産者所得の最大化のための多様な米作りを一層推進するとともに、園芸振興基本戦略に基づく園芸生産の拡大や、海外も含めた県産農産物の販売拡大などを積極的に進め、農業の成長産業化を目指してまいりたいと考えております。 加えて、生産条件が不利な中山間地域等においては、農業を産業として捉えるだけではなく、農業をベースに多様な人材が多様な働き方で中山間地域を維持・発展させる政策を併せて展開することで、付加価値の高い持続可能な農業を実現してまいりたいと考えております。 次に、本県の園芸産出額についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県の園芸産出額は、農業者の離農や高齢化等により減少が続いておりますが、基本戦略の策定以降、園芸に挑戦する農業者や産地を、関係機関・団体が一体となって伴走型で支援した結果、園芸産地の栽培面積は増加に転じ、新たに取り組む農業者も増加してきており、成果は着実に上がっているものと認識しております。 今後も、基本戦略の目標達成に向け、県内外の優良産地の取組を横展開しながら、さらなる栽培面積の拡大や新規取組者の定着を進めることで、園芸産出額の減少に歯止めがかかるものと考えております。 次に、園芸の将来展望についてでありますが、園芸は稲作と比較して単位面積当たりの収益性が高く、その導入や拡大は、農業所得の向上に有効であると認識しております。 一方、園芸生産は労働時間を多く要することが拡大に向けた課題の一つであり、園芸振興基本戦略に基づき、機械化や集出荷施設の整備を推進するなど、園芸に取り組みやすい環境づくりを進めているところです。 これらの取組を通じて、県内市場における県産園芸品目のシェアが3割程度と低迷している状況や、首都圏で認知されている品目が枝豆やルレクチエなどの一部に限られている現状を打破し、本県の強みである米に加え、地域の特性や優位性を生かした園芸生産の拡大により、もうかる農業を実現することで、農業が成長産業となっていく姿を目指してまいりたいと考えております。 次に、本県の産業構造とその対策についてお答えをいたします。 まず、後継者難を踏まえた産業政策についてでありますが、後継者不在の状況が長期化し、事業承継が円滑に進まない場合、地域のサプライチェーンを支える事業者が失われるなど、地域の活力低下が懸念されるところです。 県といたしましては、M&Aを含む第三者承継や、後継者不在の事業者と起業家とのマッチング等を通じて、必要な事業資産の円滑な承継を促してまいります。 加えて、挑戦する方に選ばれる起業環境の整備を進め、大きく成長する事業者の輩出につなげるなど、本県経済の持続的発展に向けて取り組んでまいります。 次に、半導体工場の誘致についてでありますが、国は、経済安全保障の観点から、半導体をはじめとする戦略的な産業基盤を国内に確保するため、製造拠点の整備を促進することとしており、本県においても、この動きを県内への立地や設備投資につなげてまいりたいと考えております。 また、県内に立地済みの半導体工場についても、サプライチェーン対策や新型コロナウイルス収束後の需要増加を見据えた生産能力拡大の動きがあることから、県といたしましては、これらの設備投資への支援にも取り組んでまいります。 次に、外国貿易航路の誘致についてお答えをします。 まず、中国東北部・ロシア極東地域への航路誘致についてでありますが、県では、これらの航路を、新潟港の拠点性を高めるために取り組むべき航路の一つとして位置づけ、外貿航路を有する船社による運航を模索することとしております。 また、現在の進捗といたしましては、県内港で取り扱う貨物量が定期航路を運航する水準に達していないことから、貨物の掘り起こしをはじめ、船社には潜在貨物量や荷主の意向等を提示するなど、積極的なポートセールスに努めているところです。 次に、日本海側拠点港の評価についてでありますが、直近である平成29年における国の評価によりますと、選定された港湾において、全体的には官民一体で計画実現に向けた様々な取組が行われ、コンテナやLNG等の取扱貨物量が増加するなど、成果が現れているとされております。 新潟港においても、近年コンテナ取扱貨物量が増加傾向であり、さらなる成果を目指し、引き続き集荷拡大や航路誘致に努めてまいりたいと考えております。 次に、シベリア鉄道を利用した欧州との交易ルートの構築についてでありますが、既に国においては、シベリア鉄道による日欧間の貨物輸送について、平成30年度から実証事業に取り組んでおり、本年度も継続しているものと承知しております。 このため、県といたしましては、本県の地理的優位性を生かせる航路の開設に向けて、実証事業により明らかになった課題や効果など、引き続き国と情報交換しながら進めてまいりたいと考えております。 次に、佐渡汽船問題についてお答えをします。 まず、経営の見通しについてでありますが、長引く新型コロナウイルスの影響により債務超過額が拡大し、依然として、厳しい経営状況が続いているものの、おおむね計画の範囲内で推移していると認識しております。 債務超過解消に向けて、佐渡汽船は第三者出資による資本増強の検討を進めているところであり、県といたしましては、引き続き、関係市や金融機関等と連携をしながら、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。 次に、第三者出資の調整状況についてでありますが、佐渡汽船からは、現在、出資候補者が出資を検討中と聞いており、県といたしましても、引き続き、関係市や地元金融機関などとしっかり連携しながら進めてまいります。 なお、議員御提案の劣後ローンは、あくまで借入金であることから、債務超過を解消していく上では、第三者出資など、何らかの対応が必要となると認識しております。 次に、小木-直江津航路の就航船舶についてでありますが、議員御指摘のカーフェリーの必要性については理解しておりますが、長引く新型コロナウイルスの影響により、佐渡汽船では厳しい経営状況が続いていることから、カーフェリーの再投入に当たっては、初期費用をはじめ、運航費や維持費など、慎重に検討する必要があると考えております。 次に、日本海国土軸構想と新幹線の整備についてお答えをします。 まず、北陸新幹線の速達型「かがやき」の上越妙高駅停車と金沢以西への延伸についてでありますが、地方負担に応じた「かがやき」の県内駅停車、並びに北陸新幹線の早期全通は、日本海国土軸の形成など本県の拠点性向上にとって重要であると認識しております。 このため、県内駅停車については、JRに対して具体的なダイヤを提示しながら、要望を行ってきたところであり、また、金沢以西への延伸については、敦賀までは令和5年度末の開業を、大阪までは令和12年度までの全線整備を、国等へ要望しております。 次に、羽越新幹線についてでありますが、議員御指摘のとおり、羽越新幹線の実現は、日本海国土軸の形成はもとより、本県の一層の拠点性向上や地域経済の維持・発展につながるものと考えております。 また、現在の進捗といたしましては、関係6県で連携をし、本年6月に公表しました費用対効果の調査結果も活用しながら、国への要望に取り組んでいるところであります。 次に、佐渡空港問題についてお答えをします。 まず、トキエアの佐渡線早期就航についてでありますが、現在、議員御指摘の従来型機材であるATR42-600の活用を含めトキエアと協議を進めているところであり、県といたしましても可能な限りの早期就航を目指してまいりたいと考えております。 次に、トキエアによる羽田枠の獲得についてでありますが、議員御指摘のとおり、佐渡-東京地区の航空路の開設は、県民の利便性向上に資することから、県といたしましては、これまで同様、最大限協力してまいります。 次に、佐渡空港の滑走路2,000メートル化についてでありますが、滑走路の2,000メートル化により、大都市圏の空港へ乗り入れが可能となるなど、さらなる交流人口の拡大や地域の活性化につながるものと期待しております。 そのためにも、まずは、現在の佐渡空港を活用したトキエアの就航を進めることにより、滑走路2,000メートル化へつなげてまいりたいと考えております。 次に、佐渡空港滑走路2,000メートル化に向けた地権者交渉に対する県の対応についてでありますが、地権者からの同意取得については、これまでも、地元自治体である佐渡市が主体となって取り組んでいるところであり、県といたしましては、今後も佐渡市と十分調整しながら進めてまいりたいと考えております。 次に、県の医療問題についてお答えをします。 まず、2036年度における医師不足解決の見通しについてでありますが、県では、医師不足解決に向けて、定着率が高い医学部地域枠の新設・拡大を行い、今年度から20名増の7大学53名としたほか、臨床研修医の確保に向けて、研修病院における魅力向上の取組に加え、県独自の研修コースや市町村と連携をした海外留学支援等に取り組み、昨年度より臨床研修医のマッチ者数は22名増加の120名となったところです。 しかしながら、現状の取組のみでは、医師不足解決の見通しは道半ばであると考えており、目標の実現に向けては、さらなる地域枠の拡大や臨床研修医等の確保が必要と考えております。 また、制度的な対応など国でなければできないことも多いことから、今後も、本県など12の医師少数県による地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会などを十分に活用しつつ、実効性のある偏在対策につながる抜本的な制度改革の実現について、国に働きかけるなど、医師確保に全力で取り組んでまいります。 次に、医師不足解消に向けた方策についてでありますが、国公立大学医学部に進学するためには、大学入学共通テストにおいて5教科全てで高い学力が必要となることに加え、個別試験で中心となる理数系科目の学力向上が特に重要であると認識しております。 県教育委員会には、県立高校4校の理数科メディカルコースをはじめ、各学校で医学部進学を目指す生徒の希望が達成されるよう、引き続き学力向上に取り組んでもらいたいと考えております。 一方、医師不足を解消するためには、私立大学医学部への進学者の増加も有効であり、今年度から地域枠を拡大した私立大学での主な入試科目が、数学、理科、英語と、国公立大学とは異なることを踏まえ、教育委員会には志願者増加と理数科教育の充実に努めてもらいたいと考えております。 次に、厚生連病院への財政及び人的支援についてでありますが、県では、これまでも、県内のどこに住んでいても、安心して生活できる医療提供体制の確保に努めてきており、僻地や救急等の政策医療を担っている医療機関に対しては公的・民間を問わず、国の財政措置を活用するなどにより、必要な財政支援を行ってきたところであります。 これに加え、地域医療構想の実現に向けた今後の方向性に沿って、病床の機能分化・連携に取り組む医療機関に対しては、公的・民間を問わず、地域医療介護総合確保基金等を活用し、引き続き必要な財政支援を行ってまいりたいと考えております。 また、医療従事者の確保については、県全体の医師や看護職員の数の増加に取り組んでいるほか、修学資金を貸与した医師を厚生連病院をはじめとした医師不足地域の病院へ配置してきたところであり、引き続き必要な支援を行ってまいります。 次に、佐渡圏域における医療再編の進め方についてでありますが、佐渡圏域については、重点支援区域の選定を受け、国の技術的支援により詳細な現状分析を行うほか、その結果に基づき、持続可能な医療提供体制の在り方の検討を行い、年度内に今後の体制の方針が固まるよう、関係者間での調整を早急に進めてまいります。 なお、佐渡圏域は、他圏域と比べ特に医療資源が不足しており、再編を進めるに当たっては、中長期的な医療ニーズの変化や医師確保等の見通しも踏まえた上で、体制の在り方を検討していく必要があるものと考えております。   〔防災局長熊倉健君登壇〕 ◎防災局長(熊倉健君) お答えいたします。 今回の地震被害想定調査で想定した震源断層についてでありますが、現在得られる最新の科学的知見に基づき、県内に最大の被害をもたらす断層帯による地震被害想定を行っているところであります。 なお、議員御指摘の、断層帯相互の連動につきましては、国において調査研究が始められた段階であり、まだ知見が確立されていないことから、県といたしましては、新たな知見が得られた際に、必要に応じ再検討してまいりたいと考えております。   〔交通政策局長佐瀬浩市君登壇〕 ◎交通政策局長(佐瀬浩市君) お答えします。 滑走路延伸を行う場合の手続についてでありますが、国土交通省に確認したところ、同一敷地内であっても、新たな投資に対する費用対効果の分析とともに、滑走路延伸により航空法上の制限範囲に変化が生じることから、改めて住民の理解を得るパブリックインボルブメントの実施が必要との公式見解を伺った次第です。   〔佐藤久雄君登壇〕 ◆佐藤久雄君 知事、御答弁ありがとうございました。 佐渡汽船の問題ですけれども、債務超過がこの12月末で27億円と、非常に巨額に上るものですから、質問させていただきました。確かに知事がおっしゃるように、第三者割当て増資を引き受けたいという向きもあるかなとは思いますけれども、ただまだ確約されたわけではありませんので、そうなるとなかなか債務超過を解消するというのも難しいかなと。 そこで質問なのですけれども、知事がおっしゃったように、確かに劣後ローンはあくまでローンでありますから、ネットワースの改善にはつながらないと思うのです。ただ、劣後ローンといえども、便宜、ネットワースの改善に資するような見方ができるのが会計上の見方でありますから。最悪、その有力な第三者割当て増資の引受者が見つからなかった場合の一つの代替案として、やはり劣後ローンの枠を広げてもらうということも視野に入れておかなければいけないのではないのかなと。もしこれさえもできなくなると、恐らく佐渡汽船は運転資金の調達に支障を来すようなことになりかねないというのが私の考えであります。まずその第三者割当て増資の引受先を見つけていただくことと、次善の策として、それが見つからない場合には、やはり国にも劣後ローンの枠の拡大をお願いするということも選択肢の中に入れておかなければいけないのではないかと思います。 知事、よろしくお願いいたします。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 佐藤久雄議員の再質問、再質問だとは思うのですけれども、質問かどうか分からないところもありますが、もう一度お話をさせていただきたいと思います。 まず第三者出資の調整を佐渡汽船が今行っている最中でございますので、まずはその調整状況を、関係市や地元金融機関などと連携しながら確認をしているところであります。 議員がおっしゃったように、仮にうまくいかなかったときには劣後ローンも考えておかなければならないのではないかという御指摘については、それは既に前期で金融機関から劣後ローンを頂いております。その際に、2期続けての劣後ローンということは難しいよと。御指摘のとおり、本来は、みなし資産みたいなものであって、金融機関が融資する際に、確かにこの劣後ローンというものは有効に使われることがあるのですが、前期もそれを使っておりまして、2期続けての劣後ローンによって債務超過を解消し、みなし純資産のような形にするということは、金融機関側からはもう既に難色を示されているという状況があるということを御理解いただきたいと思います。 ○議長(佐藤純君) 佐藤久雄君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(佐藤純君) これにて一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(佐藤純君) お諮りいたします。 議案審査等のため、明12月8日から12月10日まで、12月13日から12月17日まで及び12月20日の9日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(佐藤純君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、12月11日、12月12日、12月18日及び12月19日は、休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○議長(佐藤純君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は、12月21日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後5時25分散会...